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【地域おこし協力隊】北海道・阿寒町で空き家の所有者と住みたい人を結ぶ「地域づくり推進コーディネーター」を募集中!

ただいま募集期間外

釧路市阿寒町行政センター地域振興課

北海道釧路市阿寒町中央1丁目4−1
(提供:崎一馬)

北海道の東側にある釧路市。その市街地から車で40分ほどの場所に阿寒町はあります。平成17(2005)年の合併により、釧路市となりましたが、市街地とは異なる風景が広がっています。

(提供:崎一馬)

阿寒町には、淡水性の緑藻の一種である「マリモ」が有名な観光地「阿寒湖温泉地区」と、「阿寒丹頂黒和牛」「阿寒モルト牛」「阿寒ポーク」「阿寒もみじ(エゾシカ肉)」など、多くの農畜産物を生産する「阿寒本町地区」があります。

阿寒本町地区の中心地には行政センターや病院、学校のほか、コンビニやスーパー、金融機関など生活に必要な施設は揃っています。また、釧路空港から車で15分、高速道路の阿寒ICからは車で5分というアクセスの良さも魅力のひとつです。
町から少し離れれば牧草地が広がり、冬になると国の特別天然記念物「タンチョウ」が見られる。
一方で、生活に必要最低限の施設が整っており、札幌や東京へのアクセスも良い「ちょうどいい」環境。

……そういった環境が生活圏にあったらいいなと思いませんか?
今回の「#道東ではたらく」では、そんな阿寒本町地区のお仕事をご紹介します。

今回、阿寒本町地区で募集しているのは、地域おこし協力隊のお仕事。
空き家・空き店舗の所有者と利活用したい人をマッチングする仕組みづくりが主な業務です。

阿寒町での暮らしや開業に興味がある方にとって最初の壁となる物件探しをサポートするお仕事になります。

具体的なお仕事の概要や働き方、阿寒の暮らしなどについて、釧路市阿寒町行政センター地域振興課3年目の山賀崚さん(写真右)、1年目の笹森俊哉さん(写真左)、地域おこし協力隊3年目になる崎一馬さん(写真中央)にお話をお聞きしました。
阿寒町で暮らすこと、働くことに興味がある方は、ぜひお読みください。

<こんな方におすすめ!>
・北海道・阿寒町での暮らしに興味がある
・地域に密にかかわる仕事をしてみたい
・コミュニケーションを取ることに苦手意識がない

<募集詳細はこちらから>
▼募集職種
阿寒町地域おこし協力隊員(地域づくり推進コーディネーター)2名
求人詳細(求人条件や業務内容の詳細情報)

「住みたい人がいても、家を紹介できない」

―― 今回募集するお仕事の内容について教えていただけますか?

山賀 今回募集する「地域づくり推進コーディネーター(以下、地域おこし協力隊)」の方には主に、空き物件(家・店舗)の所有者さんとその物件を利用したい人をマッチングする仕組みづくりに携わっていただきたいと考えています。
まずは、行政と地域おこし協力隊、阿寒町商工会、地域の方々と連携して、空き家・空き店舗の情報を把握したうえで、集めた情報を一元管理し、必要な人に届けられるよう、発信・提供していきたいと考えています。また、空き店舗の紹介とともに、事業を手放したい方と事業継承希望者とのマッチングも視野に入れています。
現段階では、北海道の空き家情報を掲載するwebサイト「北海道空き家情報バンク」への情報掲載や、移住相談で空き物件を利用したい方からの問い合わせがあったときに情報提供したいと考えていますが、もっといいアイディアがあれば、むしろご提案いただけるとうれしいです。

―― 今回、なぜ「空き家問題」に注力することにしたのでしょうか?

山賀 阿寒町は少子高齢化が進んでいて、平成17(2005)年の合併以降も人の減少が著しい地域になっています。それに伴って、空き家も増えているのですが、そうした空き家の情報を把握できていないので、「阿寒町に住みたい」、「お店を出したい」と問い合わせてくださった方がいても情報提供ができず、空き家の所有者の方とたまたまつながることができた方だけが移住・開業できるという状態でした。
こうした問題に気づけたのも最近のことです。きっかけは、地域おこし協力隊の崎くんが2022年に企画してくれた移住体験ツアーでした。

 2022年9月に「阿寒町のくらしのぞき見ツアー」という移住体験ツアーを企画しました。北海道外と北海道の釧路・十勝・オホーツク総合振興局、根室振興局管外の方を対象に実施した3泊4日のツアーに3名の方が参加してくださって、しかも皆さん移住を前向きに検討してくださってと、企画としては大成功だったんです。ただ、実際に「阿寒町めっちゃいいですね、じゃあ住みたいです」と言ってくださったときに、家を紹介できなかったんですよ。

―― 行政側が空き家の情報を把握していなかったから、でしょうか。

 行政側が空き家の情報を把握できていなかったこともありますが、空き家の情報を知っていても、どこの家が空いているかについても立場上教えてあげることができないんです。また、阿寒町の物件情報は、あまり表立って出てきません。阿寒町への移住に魅力を感じてくれても、空き家とその所有者を自力で探して交渉するとなると、どうしてもハードルが高くなってしまいますよね。「住んでほしいです」と情報発信をして、いざ「住みたいです」という問い合わせがあったときに「すみません、何もできないんです」と言うのは、ちぐはぐだなと。空き家の情報管理から移住相談まで、一貫して取り組めるような制度づくりが必要だと感じました。

―― 地方移住を促進するときは、「家」と「仕事」の紹介をセットで考えることも多いかと思います。阿寒町には移住者に紹介する仕事はすでにあるのでしょうか。

 今回の移住体験ツアーをきっかけに、阿寒町への移住を前向きに検討してくださっていた方のほとんどが、ご自身で起業されていたり、フリーランスだったりと、住む場所を選ばずに働ける仕事をお持ちの方だったんです。仕事よりもずっと手前に「家」の問題があることに気づけたことも、ツアー後の収穫の一つでした。

山賀 こうした崎くんの活動からのフィードバックを受けて、阿寒町全体として空き家問題解決に注力すべきだということになり、今回の募集につながった経緯があります。

崎さんに聞く、地域おこし協力隊の仕事

―― 阿寒町の移住体験ツアーを企画された崎さんも、もともとは阿寒町への「移住者」ですよね。阿寒町の地域おこし協力隊になるまでの経緯について教えていただけますか。

 最も大きなきっかけになったのは、「阿寒・釧路ゲストハウス コケコッコー」(2023年4月現在は閉業)の存在ですね。
話を少し遡ると、僕はもともと大阪出身なのですが、親戚が島根県・隠岐の島で暮らしていて「地域」や「地方」が身近な存在でした。それもあって、仕事として地域に携わることにはもともと興味がありました。ただ、進学した大学が理系だったので、文系の職種に就くのがなかなか難しく、一旦は理系の技術職として働き始めたんですね。
入社後もモヤモヤしながら働いていた中、知人を介して知り合ったドット道東の野澤一盛さんに「趣味のカメラ撮影を活かして地域に携われる仕事がしたい」と相談させてもらったことがあって。そのときに、ドット道東の理事で、デザイナーをしながら釧路市・阿寒町でゲストハウス運営をしていた名塚ちひろさんを紹介してくれました。「知り合いがいない土地にいきなり移住するのは大変だろうから、最初はゲストハウスのヘルパーとして来てみたら?」と提案してもらって、実際にゲストハウスのヘルパーとしてお手伝いし始めたのが、阿寒町との最初の出会いです。
当初は阿寒町と地元の大阪市を行き来していたのですが、その間に阿寒町で地域おこし協力隊を募集する話を聞きました。自分の写真や映像、情報発信スキルを活かせそうでしたし、何より仕事として地域に携わってみたいと思っていたので、すぐに応募した、というかたちです。

―― 実際に着任されてからは、どのようなお仕事をされていたのでしょうか。

 2021年の着任当時は「阿寒町の地域活性化」という大きなミッションを与えてもらって、それにつながることだったら何でも試していいよという自由度の高い業務でした。
ただ、ミッションがあまりにも大きかったので、自分なりにかみ砕いた結果、まずは「阿寒町を知ってもらうこと」を目標にしたんです。1年目と2年目はSNSや広報紙を中心として、阿寒町を知ってもらうための情報発信に力を入れてきました。2年目は一歩踏み込んで「阿寒町に来てもらえるきっかけを作る」ことを考えて、先ほどお話した「阿寒町のくらしのぞき見ツアー」を企画した、という流れです。
もともとやりたかったカメラや映像の仕事は、地域おこし協力隊の仕事でも活かせていますし、最近は業務時間外に、副業として受注させてもらっています。僕と同時期に阿寒町行政センター地域振興課に着任された山賀さんも「地域おこし協力隊の業務をしっかりやってくれれば、それ以外の時間はぜひ任期を終えた後の人生設計を考えて動いてね」と応援してくれています。

―― 崎さんのお仕事ぶりについて、笹森さんと山賀さんはどうお感じになっていますか?

笹森 私が阿寒地域振興課へ配属になる前は、市民協働推進課という部署で釧路市全体の移住・定住施策を担当していました。なので、﨑くんが企画した「くらしのぞき見ツアー」でも、釧路市全体の移住制度がどのようになっているか、参加者の方に説明するさせてもらう機会をいただいて、その時から交流はあったんですね。
そもそも「くらしのぞき見ツアー」を企画すること自体とても驚きましたし、これからの移住プロモーションを考える上で非常に参考になりました。「これ、自分がやりたかった企画だ」って、実は当時ちょっとだけ悔しかったです(笑)。
あと、協力隊の活動を続ける中で阿寒地域の課題感を自分ごととして的確に捉えていて、まちのことを真剣に考えてくださっているんだなと感じていますし、とても頼もしい存在だと思っています。

崎さんが運営を担当する阿寒町公式インスタマガジン「ヨッテ!」

山賀 僕は崎くんと同じ2021年に阿寒町行政センター地域振興課に配属になり、彼の活躍を間近で見てきましたが、まず驚いたのは情報発信への意欲的な取り組みでした。デザインの凝った広報紙を毎月発行してくれたり、インスタマガジンの立ち上げや毎日のTwitter投稿をしてくれたりと、私たちの想定を大きく超えてきてくれました。

阿寒ふるさと祭りの様子

山賀 それから、町の中の風通しを良くしてくれたことも大きいと感じています。たとえば、これまでは行政と小中学校をはじめとした教育現場のつながりがそれほどなかったのですが、崎くんが地域おこし協力隊になってから、小中学校と連携して行事の取材に行ったり、コミュニティスクール協議会に参加したりと、交流が生まれています。実際に、学校の校長先生や教頭先生からも「行政にいろいろと相談しやすくなった」というお声をいただいていて、いい流れが生まれたと感じています。

 実は、僕が地域おこし協力隊に着任した当初、校長先生のほうから直々にご連絡をいただいて、いろいろな取り組みをご一緒することになったんですよね。先生をはじめとしたアクティブな町の人たちに助けていただいているなという気持ちは、着任当初からずっとあります。

阿寒町での暮らしには「実家に戻ってきた」感覚がある

―― 崎さんは大阪市から阿寒町に来られたんですよね。こちらに住むにあたって不安はなかったのでしょうか。

 僕は当初、阿寒町についてほとんど知らずに来ることになったので「不安だった」というより「北海道の暮らしが想像できなかった」というほうが近いかもしれないですね。田舎で買い物に行くには片道1時間かかるのかなと勝手に思っていました。ただ、阿寒町には24時間営業のコンビニもあるので買い物の不便はなかったですし、ゲストハウスのヘルパーとして働かせてもらう中でできた町の人とのつながりに助けていただいて、当初から難なく暮らせました。地域おこし協力隊になった方には商工会青年部に所属していただくことになります。そこで町の人たちからいろいろと教えてもらえる機会もあると思うので、心配しなくてもいいんだろうなと思います。

―― 崎さんは大阪市出身、笹森さんは北海道・枝幸町出身、山賀さんは阿寒に近い釧路町出身と、お三方はそれぞれバックグラウンドが違いますよね。阿寒町の特徴や好きなところをそれぞれ教えていただけますか。

 阿寒はいろいろな意味で「ちょうどいい」ですよね。立地的には、北に行けば大自然が広がり、南に行けば市街地があり……という自然豊かな地域と利便性の高い町の間にあるところがちょうどいいと思います。個人的には、人との距離感もちょうどいいんですよね。
車同士ですれ違うときにも手を挙げて挨拶し合ったり、いろいろと助けてくれたりする一方で、お世話になっている定食屋のおかみさんが「任期が終わって阿寒を離れたい気持ちがあるなら、そうしてもいいんだからね」と言ってくれたり。言葉にするのが難しいのですが、そうした距離感がめっちゃいいなと思ってます。

町ですれ違った移住者の方と立ち話する崎さん。20~30代の移住者も増えてきました。

笹森 私は阿寒町に赴任したばかりですが、枝幸町の実家に戻ってきたような感覚があるんですよね。人口の規模感も同じくらいですし、時間の流れ方がいい意味でゆっくりで、落ち着くんですよね。

山賀 僕も実家に戻ってきた感覚はあります。道を歩く人がゆっくりで、僕のことを知らない子どもたちでも「こんにちは」と挨拶してくれることもある。心の壁をつくらず、距離感の近い人が多いのかなという印象です。

「行政と地域の懸け橋になってほしい」

―― 最後に、今回募集する地域おこし協力隊の方にどんなことを期待しているか、教えていただけますか。

山賀 地域おこし協力隊になってくださる方は、阿寒町の「外」の視点を持っていますよね。行政はどうしてもカチッとしなければいけないところがあるので、地域にどんどん溶けこんで僕たちが取ってこれない情報を取ってきていただいたりと、地域と行政の懸け橋になって新しい風を吹き込んでほしいですね。

笹森 そうですね。地域の人と対話することがすごく大きなミッションになってくると思います。空き家などを紹介する仕組みづくりということで、不動産関係に明るい人だともちろん助かりはしますが、マストなスキルではありません。

 スキル的な面で言うと、デザインができたり、絵を描けたりといった広報スキルがあると重宝されそうではあります。でも、居心地が良いと感じれば、仕事は自然とついてくると思うので、まずは阿寒での暮らしを純粋に楽しんでくれる人に来てほしいなと個人的には思っています。

<求人内容詳細>
▼募集職種
阿寒町地域おこし協力隊員(地域づくり推進コーディネーター)2名
求人詳細(求人条件や業務内容の詳細情報)

<募集要項>
▼募集職種
阿寒町地域おこし協力隊員(地域づくり推進コーディネーター)2名
(1)阿寒地域への移住等を誘引する活動(空き家等の情報発信等)
(2)自身の定住に繋がる活動
(3)その他の業務

▼任期
①令和5年6月1日から令和6年3月31日まで
②令和5年7月1日から令和6年3月31日まで
※①または②のいずれかより選択してください。なお、任用期間によって採用スケジュールや初年度の報酬等が異なりますので、詳しくは以下の記載事項を十分にご確認ください。
※任用日については相談の上変更することも可能です。

▼報酬
(1)月額 229,166円
※6月と12月に期末手当の支給あり

▼待遇・福利厚生
(1)各種保険:健康保険・厚生年金・雇用保険等に加入
(2)住居:民間アパート
※家賃や光熱水費、生活用品等は利用者本人の負担
(3)物品等の貸与:活動に必要なパソコン等の備品貸与
(4)活動用車両:公用車を利用
(5)活動用旅費:活動に要する旅費等は予算の範囲内において市が負担
(6)兼業:活動に支障のない範囲において届出のうえ可能

▼必要事項
・普通運転免許
・3大都市圏をはじめとする都市地域等(過疎地域を除く)に生活の拠点を置く方で、
釧路市阿寒町内に住民票を異動し、任期終了後も定住の意思がある方
※現住所が該当するか等、地域要件の詳細はお問い合わせください。

▼応募方法
所定の応募用紙・履歴書・添付書類を担当窓口へ提出(郵送または持参)

▼応募締切
①令和5年4月1日(土)~令和5年4月21日(金)午後5時まで ※必着
②令和5年4月1日(土)~令和5年5月31日(水)午後5時まで ※必着
※応募状況により、受付期間終了前に募集を締め切る場合があります。
事前に電話等でご確認ください。

▼問い合わせ
釧路市阿寒町行政センター地域振興課 担当:狩野・笹森・山賀
TEL:0154-66-2122
FAX:0154-66-3959
E-mail:agchi-chiiki☆ty.kushiro.lg.jp
(☆→@に変えてお送りください!)

ライター

佐々木ののか

1990年生まれ。筑波大学卒業後、東京の老舗カバンメーカーにて1年間勤務ののちに退職し、フリーランスとして独立。インタビューを中心としたライティング業務を幅広く承っているほか、新聞や雑誌に随筆・書評を寄稿している。2021年1月から音更町に拠点を移し、猫と馬と暮らしています。著書に『愛と家族を探して』『自分を愛するということ(あるいは幸福について)』(ともに亜紀書房)。

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カメラマン

大川彩果

1995年生まれ。大学在学中に交換留学で1年間フィンランドで暮らす。大学時代に一眼レフに触れてから、自分の目線で景色を切り取ることに魅力を覚える。卒業後はメーカーに就職し海外生産拠点の管理業務に3年間従事したのちに退職し、202110月より釧路市地域おこし協力隊に着任。フィンランドを髣髴とさせる、大自然に囲まれた阿寒湖を拠点に道東地域の魅力を海外に向けて発信するミッションを遂行中。

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