COLUMN

電気を通じて利用者の暮らしに寄り添うプロフェッショナル~電気工事の仕事~

#道東ではたらくの新シリーズ「#美幌ではたらく powered by 美幌建設業協会」。
美幌町建設業協会の代表的な5業種で働く方への取材を行い、それぞれの業種の役割や働く人の思いについてお伝えしていきます。

第四回目の業種は「電気工事業」です。
美幌町で創業56年を迎える株式会社電建の電設工事部 課長 榎本徹(えのもととおる)さんに、電気工事業のお仕事内容と、やりがいについてお話を伺いました。

現代生活に無くてはならないもの、電気

 私たちの暮らしと切っても切り離せない電気。電気を1度も使わない日は無いといっても過言ではありません。

私達が安定して電気を使うことができるのは、電気工事業者がいるからです。
「弊社は、オホーツク最大の総合電気工事業ということで、北海道電力のグループ会社様の業務委託を受け、インフラ整備をメインとした配電部、施設や住宅等の電気工事、改修、保全を行う電設部などがあります。

▲例えば、電柱を見上げるとバケツのようなものが載っていることがありませんか?
変圧器と呼ばれる機器で、発電所から送られてくる電気を家庭や施設で使える形に変えるものです。
こういった機器の設置や調整は電気事業者の仕事です。

このようなインフラの整備を行う部署もありますが、私たち電設部の仕事は、家庭や施設の各部屋で快適に電気を使用できるように工事を行うことです」と榎本さんは話します。

私たちが安定して電気を使うために、電気工事業の皆さんはどのようなお仕事をされているのでしょうか。

https://denkenkknet.wixsite.com/website

▲上記以外にも、光回線等通信機器、建物の計装設備など様々な業務を行っています。

施工前から引き渡し後まで電気を見つめる

榎本さんのご出身は北見市。高校を卒業後、弱電(通信、情報、防犯機器など)設備の会社を経て、電建に入社し11年目になります。現在33歳、電設工事部の課長として様々な工事を担当しています。

▲手に職をつけて早く就職したいという思いがあり、北見工業高校電気科へ入学。
前職の現場で電建の社員の方から、声がけしてもらったのが入社のきっかけでした。

 電設部の仕事は、建物の施工前から、利用者への引き渡し後に至るまで長期に渡ります。
一級電気工事施工管理技士の資格をもつ榎本さんは現場代理人(現場における社長の代理人=最終責任者)として工事の様々な管理を行っています。

 榎本さんに、業務の流れについてお伺いしました。
「建築工事が作成した平面詳細図を元に、壁や床、天井に取付する機器配置を記載した総合図を作成します。これは、全ての電気機器をどこに取り付けるのか記載したものです。この段階で、『スイッチやコンセントがここに欲しい』というご要望があれば、『壁、床、天井、どこからケーブルをもっていくか』といった検討をしていきます。様々な機械設備や空調などのスイッチとも干渉してはいけないので、他の業者さんとも相談しお互いに検討しながら図面化していくんです。

また、電気機器に必要なケーブルの太さや種類を検証し、どういったルートで配線をするかの計画を記した施工図を作成します。この作業は建物の規模にもよりますが、経験豊富な社員2〜3人で担当し、建築業者の方や利用者の方とも調整しながら、1週〜数週間かけて作成します」

 実際の工事がはじまると、序盤の基礎工事の段階から電気工事業の職人さんたちが活躍します。建物に電気を引き込む際に、電線を地中に埋めたり、ケーブルや配管を壁や床、天井に通す工事をしたり、コンセントのボックスを壁に埋め込んだりと様々な工事を進めていきます。さらに、建物の工事が終わってもネットワーク関係などの業者との調整や工事、引き渡し後もトラブルがあれば検査や修理などを行います。

▲電気は目に見えないものなので、常に危険と隣り合わせです。
感電事故を防ぐために安全管理には特に気をつけており、作業時には、電気が生きているかどうか(電気が通っているかどうか)を都度、検電するそうです。

電気は多くの業者の方や利用者の方と関わるため、施工中にも何度も打ち合わせがあり、その都度計画の変更が求められます。現場の進行管理や、品質管理、安全管理などと平行しながら、そういった業務を進めていきます」と榎本さんは話します。

美幌町新庁舎の電気工事責任者として

榎本さんの印象深かった現場の1つに、2021年に竣工した美幌町新庁舎の工事があります。

▲美幌町新庁舎の様子

榎本さんは電気工事業の現場代理人という立場でプロジェクトに参加しました。町民全員が利用する建物だということもあり、プレッシャーに感じることもあったそうです。

「設計段階の打ち合わせで最終的な利用シーンをイメージすることが重要になってきます。でも役場は多くの利用者や事業者が関わる工事なので、どうしても調整が多く発生し、計画の変更が生じます。『やっぱりここに電源をつけたいんです』というご要望を頂いた時は、頭をフル回転させて、その都度、可能かどうかの判断をしていきました」。榎本さんは当時を振り返ります。

18ヶ月の工期をかけ、新庁舎は完成。多くの職員や町民にとって、心地よい空間となっています。

▲竣工後、榎本さんは安堵でいっぱいだったと言います。

利用者に寄り添った考えをするということ

電気工事業の電設部で重要なことはなんなのでしょうか。

「それは、私たちが一番利用者に近い目線をもつことだと考えています。例えば、家を建てる際にこの部屋にテレビを置きたいと思ったら、その位置によってコンセントの場所が変わったりテレビ線の差し込み口も必要になるなど、工事の内容が変わってきます。最終的な生活導線をイメージしながら、工期や予算などに応じて臨機応援に対応していきます」と榎本さん。

▲利用者の想定と、設計者の想定していた配置とが異なることも。
利用者に一番近い立場として、設計の調整を提案することもあるそうです。

「引き渡しの後、利用者の方とお話する機会もあるんです。『使い心地はどうですか?』と聞いて『なんともないです』と言われるのが一番ホッとします。別段、気にしなくても電気を使えている状態が一番だと思うからです」

電設の仕事は利用者の方に満足していただけることが何より重要だ、と榎本さんは考えています。

▲利用者の生活を、利用者以上に考えています。

オホーツク最大の電気工事業者だからできること

電気工事業の未来はどのようなものなのでしょうか。

「例え、建築需要が減っても、人が住んでいる限り電気の仕事は無くなりません。この仕事は、地域全体の、そして地域に暮らす方のライフラインを支え続けるものだからです」と榎本さんは話します。

そのためにも必要なのは、業種に興味をもってくれる働き手の存在です。電建では週休2日制の導入や勤務時間の明確化など様々な働き方改革を行っているそうです。

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▲オホーツク最大の総合電気工事業者である電建が、働きやすい環境づくりを推進しているというスタンスを見せることが重要だと榎本さんは感じています。

最後に、榎本さんに電気工事業に興味がある方に向けたメッセージを頂きました。

「オホーツク管内では女性の電気工事士の方がいらっしゃったり、弊社でも工業高校などから毎年2名程度、新卒の方が入社したりしています。新卒でも若手でも、どなたにとっても、馴染みやすい、働きやすい環境作りをしながらお待ちしています。地域のライフラインを整える仕事に興味がある方、電気を通して利用者の生活に寄り添う仕事に興味がある方は、ぜひ一緒に働きましょう!」

 地域の便利な生活のため、目に見えない電気を見つめ続ける仕事があります。
そんな、誇り高い仕事に、あなたも挑戦してみませんか?

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「#美幌ではたらく powered by 美幌建設業協会」。
美幌町建設業協会の代表的な5業種で働く方への取材を行い、それぞれの業種の役割や働く人の思いについてお伝えしていきます。

地域や私たちの「当たり前の日常」を作る仕事、それが建設業。
建設業界にご興味ある方はもちろん、みなさんもぜひこのシリーズを読んで、建設業の価値や役割について考えてみてくださいね!

#美幌ではたらく powered by 美幌建設業協会がスタート!

取材・文

百目木(どめき)幸枝

青森県八戸市出身。秋田県立大学、北海道大学院修了後、東京の研究開発ベンチャーで8年働き、2019年夫婦で退社&息子出産&北海道網走郡美幌町で農業研修開始。2022年の就農に向けて「さいこうファーム」の設立準備中。夫婦で編集執筆ユニット「再考編集室」を結成し、地域や人の豊かさを日々発信しています。
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