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【長期実践型インターンシップ】牧場×チーズ×アクティビティで酪農とまちの魅力で道東に人を呼び込もう!北海道・新得町の新牧場でインターンを募集【#道東天職活動】

ただいま募集期間外


近年の飼料高や後継者不足によって、離農が進む酪農業界。

長時間にわたる労働がつらい。
消費者との距離が遠く、仕事のやりがいを感じにくい。
こうした理由から牧場の従業員が離職するケースも多く、人々の食卓を支える重要な仕事でありながら、業界全体を通して担い手が少なくなっています。

北海道・新得町の北広牧場では、酪農業界が抱える人材不足や離職率の高さを改善すべく、さまざまな取り組みを行ってきました。

社員の段階に応じて取り組んでほしい業務や、身につけてほしい知識・技術を明示する「成長支援制度」によって社員の離職率は低下。自社商品の開発・販売を手がけることで、消費者の「ありがとう」を直接受け取れるようになり、従業員の働くモチベーション向上に寄与しました。

さらに、HACCPの食品衛生管理手法を採用した食品安全マネジメントシステムに関する国際規格である「ISO22000」を北海道の生産者として初めて取得。これにより、仕事の意味や流れを明確にしたマニュアルを作成して作業の標準化を図り、社員同士で共有できるように。作業の効率化はもちろん、働きやすい組織づくりにつながっています。

こうしたさまざまな取り組みを通じて、人材不足が顕著な酪農業界においても、若いスタッフの勤続年数は伸びてきました。


▲北広牧場専務取締役の若杉真吾さん

一方で、北広牧場の専務取締役である若杉真吾さんには、次なる挑戦の景色が見えてきたといいます。

スタッフがこの町で楽しく暮らしていくためには、町自体にも楽しい取り組みを増やしていかなければいけない。
酪農の新たな価値を発掘し、より多くの人に発信したい。

今回ご紹介するインターンの募集元である「しんとく未来創造プロジェクト」は、まさに離農者が多い酪農業の課題と、人口が流出するまちの課題を同時に解決することを目指すプロジェクトの一つ。離農跡地を拠点とし、「地域の産業を最大限活かしたまちづくり」に取り組みます。

プロジェクトメンバーは、北広牧場のほか、新得町内のチーズ製造業者である株式会社広内エゾリスの谷チーズ、アクティビティ事業を営むTACアドベンチャークラブの三者。地域の魅力をより多くの人に届けるため、地域の事業者が連携して事業を進めています。

一見するとつながりがないように思われる、酪農とチーズとアクティビティの三者はなぜタッグを組むようになったのでしょうか。
また、今回募集するインターンに参加すると、このプロジェクトにどのように関われるのでしょうか。

今回のプロジェクトのメンバーである有限会社北広牧場取締役の若杉真吾さん(写真中央)、株式会社広内エゾリスの谷チーズ 代表取締役の寺尾智也さん(写真右)、TACとかちアドベンチャークラブ代表の野村竜介さん(写真左)に、今回のプロジェクトの概要やインターン受け入れの経緯についてお話をお聞きしました。

若杉真吾(わかすぎしんご)さん
有限会社北広牧場 取締役

1983年北海道新得町生まれ。酪農学園大学を卒業後、豊頃町内の牧場で2年間勤務。2007年、父の代で近隣農家3軒とともに立ち上げた有限会社北広牧場に入社。2016年に役員に就任し、自社オリジナルの乳製品開発や、人材育成プログラム「成長支援制度」の導入、HACCPの食品衛生管理手法を採用した国際規格であるISO22000の取得など、人と牛を大切にした牧場経営を推し進めている。

寺尾智也(てらおともや)さん
株式会社広内エゾリスの谷チーズ社 代表取締役

1977年北海道函館市生まれ。2000年に東京農業大学農学部畜産学科在学中に、雪印メグミルク主催「チーズ&ワインアカデミー東京」を受講し、チーズの魅力にとり憑かれる。大学卒業後、北海道・十勝の有限会社NEEDS(旧 カシユニリゾート槲館)と共働学舎新得農場にて数カ月間チーズ研修を受け、2001年に渡仏。2005年、約2年間半のフランス滞在から帰国後、国内で2社のチーズ製造業務経験を積み、共働学舎新得農場で勤務をスタート。6年間の在籍中には製造チーフも務めた。2017年に株式会社広内エゾリスの谷チーズ社を創業し、現在に至る。

野村竜介(のむらりゅうすけ)さん
TACとかちアドベンチャークラブ 代表

1972年北海道札幌市生まれ。札幌市内の大学を卒業後、ニュージーランドに渡る。自然の中で遊ぶ楽しみに触れ、アウトドアガイドの道を志す。1999年にTACとかちアドベンチャークラブでのキャリアをスタートさせ、夏はラフティングやカヌー、カヤック、冬はバックカントリースキーやトレッキング、エアボードなどのアクティビティガイドのほか、サウナ後に凍った湖に浸かって交互浴を楽しめる「北海道アヴァントinくったり湖」の維持管理を行うなど、新得町の自然の魅力を伝える事業を拡大している。

本プロジェクトは、一般財団法人 日本民間公益活動連携機構(JANPIA)の「休眠預金活用等」に選定されています。

牧場での体験観光を通じて、町に人を呼び込みたい


――しんとく未来想像プロジェクトの概要について、改めて教えていただけますか。

若杉 新得駅から車で5~6分の場所にある旧狩勝牧場※を利活用して新牧場を立ち上げるプロジェクトです。放牧酪農や体験観光を通じて酪農の魅力を発信しながら、新得町に人を呼び込みたいという目的をもってスタートしました。

動物との共生を目指した新牧場を整備する「拠点整備事業」、チーズを中心とした食品の「販売・飲食事業」、新得町の自然の中でアクティビティが楽しめる「イベント・観光事業」の3本柱で、癒しと学びのツアー(Tabi)を提供していく予定です。

――壮大なプロジェクトですね!コンテンツの構想はどのように練られたのでしょうか。

若杉 もともとは北広牧場の事業として「ファームツアー」や、デイキャンプをしながら読書やPC作業ができる「アウトドアコワーキング」などを実施する予定でした。ただ、酪農業だけではできることにどうしても限界がある。より多くの人に酪農の魅力を届けるためには、地域の異業種と連携したほうがいいのではないかと考えたんです。

そこで町内でチーズの製造・販売を行う寺尾さんと、アクティビティツアーを開催する野村さんにも、プロジェクトメンバーとして協力してもらうことになりました。

――当初は北広牧場さん独自で進めていた事業だったんですね。今回のプロジェクトメンバーである寺尾さんと野村さんとは、もともとお知り合いだったのでしょうか。

若杉 お二人とは顔見知りで、会えば話すくらいの間柄でしたが、プロジェクトを共同で進めることになったきっかけは「3人でなんか一緒にやったらどう?」と共通の知人に背中を押してもらったことでした。

寺尾 私は日本国内外のチーズ工房で働いてきましたが、新得町を含めた十勝はとくに晴天率が高くて牧草を育てるのに非常に良い土地なんですよ。チーズの原料は牧草を食べる牛から出る生乳ですから、新得町内でつくられるチーズは「新得町の特産品」と言って良いと思っていますし、その魅力をもっと伝えていきたい。
ただ、私は2020年に開業したばかりなこともあって、チーズを製造する傍ら、その魅力を広く発信していくには限界がある。そんな中でお話をいただいたんです。

でも今のご時世では、酪農とチーズをつなげただけじゃおもしろくないよねと。アクティビティを取り入れた現地発着ツアーをやるのはどうかということになって、野村さんにお声掛けしたかたちです。


野村 僕らはアウトドアのアクティビティ事業を「十勝の魅力を世界に発信したい」という想いでやってきました。僕たちの代で終わっては困るので、継続的に発信していく仕組みをつくらないといけないなと思いながらも、着手できていない状態でした。

そういう意味では、お二人と目的は全く一緒ではないけど、重なる部分もありました。新得町が盛り上がって注目してもらえるようになれば、うちにもおまけで人が来てくれるかなと思って。酪農とチーズの事業になぜかアクティビティで関わらせてもらえているのは、僕としてはラッキーですね。

それから、拠点となる旧狩勝牧場を利活用しようとしている若杉さんは熱い想いを持った男で、次世代の酪農のかたちという広いスケールで物事を考えて行動している。その姿勢に共感したことも参画した理由の一つです。

※旧狩勝牧場:1970年創業で、最盛期には乳牛を300頭以上も飼育していた北海道酪農の礎のような存在だったが、2018年に後継者不足で閉鎖。以来、跡地を町が取得したものの、中長期的な活用の方向性が見えてこなかった中、北広牧場が活用案を提出した。

新牧場の立ち上げで、酪農の課題も町の課題も解決したかった


――今回のプロジェクト立ち上げの経緯を伺っていると、新得町やそれぞれの事業への想いの強さが感じられます。北広牧場さんが旧狩勝牧場を利活用しようと考えた背景にも、そうした想いがありますか。

若杉 そうですね。旧狩勝牧場の利活用に踏み切った一番の理由は、ここ数年の酪農情勢の悪化です。後継者不足や飼料高をはじめとした採算の悪化で、酪農家の数がどんどん減っていますよね。

僕はただただ、牛が好きで、酪農が好きなんです。だから、離農する方の増加や温室効果ガス問題の原因の一つが牛のげっぷだと言われることもなんだか悲しい。


酪農の魅力をもっと伝えたいという気持ちから、これまでも自社で乳製品をつくってきましたが、製品をつくること以外でも何かできないかなと考え始めました。それが新牧場の立ち上げの理由の一つです。

新牧場では、人と動物の共生を目指して、牛の糞尿から出るメタンガスをつかったバイオマス発電や、食品残渣やエコフィード(未使用資源)を使ったエサの調達などにも取り組んでいきたいと考えています。

――若杉さんは新得町のご出身ですよね。そうした事業を地元で行うことにも思い入れがありますか。

若杉 もちろんあります。新得から人が流出していることに昔から漠然とした不安がずっとあって、外から人を呼び込みたいと思ったことも、今回のプロジェクトを立ち上げた大きな理由でした。

野村 そうですね。僕自身は新得の魅力を知っているからこそ20年以上もここに住み続けているわけですけど、現状では”わざわざ目指してくる場所”ではない。でも、おもしろいコンテンツをつくれば人が来てくれるかもしれないですよね。

若杉 新得町にはユニークな事業を立ち上げている人がたくさんいるのですが、新得を好きになって「新得町で働きたい」と思ってくれる人がいないと、今ある事業が継承されていきません。

新得町内でおもしろい取り組みをしている事業者の”点”がつながって”面”で動けたら、新得の魅力をより伝えられるおもしろいことができるかもしれない。今回の三者協働プロジェクトには、町内の異業種との連携を強めていきたいという意図もあります。

牛の飼育、チーズ製造、アクティビティ運営に携わりながら、新得の魅力を見つけてほしい

――今回、インターンの方にお願いしたい仕事内容について教えていただけますでしょうか。

若杉 まずは拠点である「新牧場の整備」を手伝ってもらいたいと思っています。インターンをスタートする8〜9月頃からは放牧を開始できるので、牛の飼育にも携わってもらいたいですね。

牧場の業務としては乳製品加工や新製品開発などもありますが、プロジェクトメンバーである寺尾さんや野村さんの事業の現場もぜひ体験してもらいたいと思っています。

寺尾 チーズづくりの工程は大まかに3つに分かれています。調達してきたミルクを使ってチーズをつくる工程、チーズを手で触ったりひっくり返したりして熟成させる工程、袋に入れて包装する工程。そのすべてを少しずつ体験してもらえたら。

野村 うちではまずツアーに同行してもらおうと思っています。準備や接客のほか、ボートに同乗してアクティビティを体験しながら、お客さんとコミュニケーションをとってもらったら楽しいかなと。

若杉 冬季間の放牧と川遊びのアクティビティを実施できないので、その間の業務内容は応募してくださった方の興味関心に合わせて柔軟に決めていきたいですね。

勤務の頻度もまだはっきりとは決めていなくて、無理のない範囲で来てもらえたらと思っていますし、住み込みで働きたい場合は宿泊先の相談にも乗ります。

――牧場の立ち上げに一から携われるだけでなく、新得の魅力をさまざまな角度から体験できて楽しそうですね!インターンの方に期待していることはありますか?

若杉 北広牧場の観点から言うと、酪農の魅力を見出してほしいですね。農業には生乳や作物の生産だけではなくて、命の教育や生物・環境保全、癒しといった多面的な価値があります。
ただ、酪農に毎日向き合っていると、当たり前になってしまって気付けない価値もまだまだたくさんあると思うので、インターンの方の新鮮な視点で魅力を見つけてもらいたいと思っています。

それから、新得町内は異業種の連携がそれほど強くないので、町内のいろいろな方に会ってもらうことで、人と人とをつなぐ役割も果たしてもらえたらうれしいです。

新得の魅力ある事業を次世代へ

――寺尾さんと野村さんはもともとは新得町外からの移住者ですよね。お住まいになって長いかとは思いますが、新得町のどんなところに魅力を感じていらっしゃいますか。

野村 ほとんど知られていないのですが、ラフティングとカヌーの両方を楽しめる環境があるのは、僕が知る限りでは国内で新得町だけなんですよ。大雪山の森を流れる川にはラフティングをするのに必要な激流があり、その先にはカヌーができる湖がある。
新得町を流れる川の上流は十勝川の本流ですし、川が流れ込む湖はほぼ十勝平野のスタート地点。こんなにもコンパクトに十勝の風土が表現できるフィールドもほかにはないんじゃないでしょうか。

寺尾 先ほどもお伝えしましたが、新得町を含めた十勝は晴天率が高くて牧草がつくりやすい環境がありますよね。僕のようにチーズをつくっている人間にとっては原料である生乳、もっと言うと牛の飼育環境が良い土地はとても魅力的です。
酪農業や生乳をつかった製品づくりに関心がある方にとっては最高の条件が揃っているのではないかと。

若杉 あとは先ほどもお話したように”人”ですね。新得町には事業者の数は多くはないものの、個性的でユニークな取り組みをされている方がたくさんいます。
いろいろな職業の方の生業に触れることで、インターンの方自身も、自分の将来の選択肢を増やせるのではないかなと思います。

――ありがとうございます。今回のインターンの方の受け入れを皮切りに、新得町やプロジェクトがどう変化していくのが理想でしょうか?

寺尾 新得町内で次の世代を担ってくれる人を育成できたらいいですよね。そのためには人が自然と集まるような魅力的な場所にしていきたい。

野村 そうですね。僕としてもアクティビティ事業者として、僕がリタイアしても十勝の魅力を発信し続けられるような仕組みをつくっていきたいです。

若杉 事業は違えど、今回のプロジェクトメンバーが向いている方向性は同じなんですよね。

北広牧場としては、酪農の魅力をもっと多面的に、より多くの人に伝えたい。そのために、まずは新得町に人を呼び込みたい。インターンの方にはその仲間になってほしいと思います。

<求人内容詳細
条件・スケジュール
・北海道新得町で、基本的に住み込みで活動できる方
・普通車の運転(お持ちでない方は要相談)

【日 程】トータルで6ヶ月間のインターンを想定していますが、現地/オンラインの日程は、相談して決定
8月〜9月 現地
10月〜11月 オンラインまたは現地
12月〜2月 現地(年末年始休暇あり)
【活 動】 ※業務場所ごとに相談して時間・週休日を設定(酪農作業は朝が早い場合があります)
【好条件】新得町までの往復交通費、指定の物件に無料で宿泊
【活動支援金】5万円/月✕6ヶ月分=30万円(食費実費)
コーディネート団体:一般社団法人ドット道東

対象となる人
・新得町を好きになってくれる方
・酪農の仕事を経験し、その魅力を様々な角度で掘り下げる意欲のある方
・新得町内外の多くのステークホルダーとのコミュニケーションがとれる方
・町を広い視野で見て、可能性や強み・弱みの活かし方を模索できる方

事前課題(面談時にシェアいただきます)
町の産業や資源を効果的に組み合わせてまちおこしに活用している他地域(もしくは他企業)の事例について、良い・面白いと思う点、コンセプト、発信方法などを、新得町での再現性も想像しながら調べてください。

要項・活動内容詳細はこちら「プロジェクトインデックス」(どちらのページからでもご応募いただけます)
https://www.project-index.jp/intern/28648

休眠預金活用等について

休眠預金活用等とは、国民が金融機関に預けたお金のうち、2009年1月1日以降の取引から10年以上取引のない預金等を「休眠預金」として民間公益活動に活用する取り組みのこと。一般財団法人 日本民間公益活動連携機構(JANPIA)による休眠預金活用等では、資金分配団体を通じて、NPOをはじめとした民間公益活動を行う団体に、助成・出資が行われます。

一般社団法人 ドット道東では、道東エリアにおいて公益性が高い事業に取り組む組織・プロジェクトへのインターン生の派遣に助成金を活用し、プロジェクトの存続・拡大を通じて、道東エリアの活性化を目指しています。