【釧路でインターンシップ!】街を輝かせる電設会社は、社員も輝かせている!まっすぐ過ぎる会社の魅力を伝える3日間【#道東天職活動】
この夏、就職活動に向けて釧路市とドット道東がお届けするインターンプログラム「#道東天職活動」。
学生のみなさんに、まだ知らない仕事の世界や裏側があるかもしれない、ということを一つでも多く見つけてもらいたく、釧路に本社がある企業や業界を学ぶことができるインターンシップをご用意しました。
今回インターンシップを実施するのは、釧路市に本社を置く3社。
釧路にゆかりがなくても、この夏、3日間のインターンシップを通して新たな自分自身を発見してみませんか?
<こんな人におすすめ>
「地方で働くの、アリかも……?」
「釧路で働く選択肢も考えたい!」
「就活、何から始めたらいいかよくわからない」
「就職活動の情報交換がしたい」
「ローカル企業の雰囲気を感じてみたい」
暮らしのなかで意識することはほとんどなくても、私たちをいつも支えてくれているもの。
その1つが「電気」です。
ライフラインと呼ばれる生活に不可欠なインフラには、むしろ「意識されないくらい当たり前にそこにある」ことが求められます。
個人的な経験でいえば、昨年末に吹き荒れた重たい雪の影響で丸一日の停電となった際、ストーブも焚けずに電気のありがたさを痛感しました。
電気を供給するのは電力会社ですが、屋内外の施設に電気を引き込んだり、安定的な供給を守ったりするためには、電力会社以外にもたくさんの手が添えられています。
今回ご紹介するのは、まさにそんな心強い手を持つプロ集団、阿部電気工業株式会社。
何を隠そう、釧路を代表する名景・幣舞(ぬさまい)橋も、彼らの手によって輝いているのです!
街に明かりを灯す仕事。街の明かりを守る仕事。
代表取締役の阿部健一さんに連れられ、まずは釧路の街で数々の現場を見学させていただきました。
―幣舞橋のほかに、市内ではどんな場所に電気を通してきたのでしょうか?
1961年の創業から60年以上も釧路で電気工事をしてきたからね、いろいろだよ。
学校なら北海道教育大学の釧路校、釧路工業高等学校の校舎と野球場のナイター施設、釧路江南高等高校の野球場もそうだね。ホテルなら「天然温泉幣舞の湯 ドーミーインPREMIUM釧路」とかね。
末広町の道の上にカムイの影絵が映るライトアップは知ってるかな? それもうちだし、幣舞橋のたもとの「Cool KUSHIRO」の文字モニュメントもそうだよ。
―有名な観光スポットや施設にずいぶん携わっているんですね!
お陰様で、運良くいい仕事が入ってくるんですよ。電設業や建設業には国が決めた格付けがあってね、うちはAランクをもらってるから、ありがたいことに道や市の仕事をいただける。
外注もしないで全部自社でやってるんですよ。
電設業のほかに、電線や電柱に接触するような樹木の伐採もしています。
よく、電柱に筒のようなものが付いてるでしょ?
トランス(柱状変圧器。発電所から送られてきた電気の電圧を下げている)っていうんだけど、そこに木が接触すると火災が起こることがあるんですよ。だから危ない街路樹なんかを整理してやらないといけない。
北海道電力から、どこの木をケーブルから2メートル離して切るとか指示がありますので、高所作業車に乗ってチェーンソーで枝や幹を切っていきます。
作業場所は10メートル以上の高さになりますから、枝を落とす場所やタイミングの安全を確認しながらね。ただ、この仕事は高所だったりチェーンソーを使ったり、ちょっと特殊なので、本人に向いているかどうかも大事かな。
―お仕事は本人の希望で配属されるんですか?
やっぱり、自分がやりたい仕事のほうがやり甲斐あるもんね。イヤだったら伸びないでしょう。うちでは新人にまず、いろいろな現場を全部見てもらっています。
「これやりたいな」とか「体験してみたい」っていうのがあれば一度入ってみて、ダメだったら次はこっちに行って……ってね。
せっかく働いてもらうんだから、そういうところは大事にしてますね。
父の死、バブル期の激務……辿り着いたのは、社員のための環境づくり
現場を回ったあとは本社にお邪魔しました。
3年前に完成した新社屋はシックな色合いの外壁に自然光が差し込む大きな窓。敷地内に植えられた桜がちょうど咲いていて、気持ちよく過ごせそうな雰囲気です。
―改めまして、会社の歴史について教えていただけますか?
僕の父は34歳の時にこの商売を始めたんですよ。それまでは炭鉱で働きながら電気のことも少しして。石炭がだんだん採れなくなってきた時代だから、炭鉱をやめて商売を変える人も多かった。
それで釧路で電気工事業を始めたんだけど、51歳で亡くなったんです。僕はその時、別の電気会社で働いていたんだけど、25歳で父の会社を継ぐことになったんです。
小さな事務所から少しずつ従業員を増やして、何度か移転して、つい3年前に今の新しい事務所を建てました。もう45年やってるんだなぁ。
バブルの時は東京と浜松にも支店を置いてたし、本州のホテルや大学病院なんかの電気工事もずいぶんやりましたよ。毎日、残業、残業で休みもない生活が続いてた。
でもやっぱりね、従業員増やしたり、仕事増やしたりっていうことより、社員の休暇とか家族が1番大事なんですよ。
バブルがはじける2年前に支店は引き上げて、釧路だけに戻したんです。釧路でもバブル崩壊の煽りはきましたけど、今があるのは従業員みんなのおかげだし、いい勉強をさせてもらった。
もう考え方を切り替えて、定時で仕事を切り上げられる会社の体質を作ることにしたんです。
昔は団体で社員旅行も沖縄とか行ってたんだけど、僕と一緒に行くよりさ、家族や夫婦で旅行したほうがいいじゃない?
だから今は毎年、くじ引きで3、4組かな、それぞれで阿寒湖に行ってもらってる。会社のことも社長のことも一切忘れて、そのほうがずっと充実すると思うから。
「こうしたほうがいいべ!」って強制ではなくてね、「多分そのほうがいいんじゃないか」ってこと。弟子屈に温泉付きのペンションも建てたから、そこも大人1500円、子供500円で使えるんですよ。それでまた次の日から頑張ってくれれば、会社にとっては最高さ。
他の会社でインフレ手当て出してるって聞けばうちも出したし、燃料が上がったから燃料手当は倍にした。できることはやったほうがいいよね。そうやって福利厚生を充実させられるのも、一生懸命働いてくれてるみんなのおかげだから。
じつは今年から、会社の土地に菜園を作ろうと思ってね。今、畑を準備している最中なんです。
今年入ったパートさんを監督にしたので、ちょっと呼んできますよ。
思いついたら何でもやってみる。だから自社菜園、始めます!
―どういった経緯で畑を作ることになったんですか?
阿部 新しい事業を始めようと思って準備した土地にね、来た人が安らげるような日本庭園を造っているところなんですよ。
そこにまだスペースがあるもんだから、菜園でもしたらどうかなと思ったんだよね。社員もその家族も、いつでも来て土いじりができるような場所があれば楽しいかなって。
ちょうど半年前にパートで入った南が環境系の大学を出ていたから、新しい土地のコンセプトを彼女に考えてもらったんです。
南 農業は学生時代にサークル活動のような形で少しやってはいたんですけど、私でいいのかなぁと思いました。でも社内にいると現場の皆さんとコミュニケーションがなかなか取れませんし、いい機会なのかなって思っています。
阿部 育てたい作物を従業員にアンケート取って、票の多いものから植えていこうと。作業自体はみんなでやるんだけど、素人だから失敗してもいいのさ。それも楽しんで勉強しながら、次のステップに進めばいいんだから。
うちは電気屋だから、たとえばスプリンクラーを付けるとか、井戸水を汲み上げるとか、暖房入れるとか、必要なら自前で工事できる。そういうところに電気工事を活かしていくっていうのも、やっぱり勉強になるよね。
南 私はもともと愛知県に住んでいたんです。こちらには知り合いもいなかったんですけど、自然が好きな夫が道東に住みたいと言うので釧路に移住してきました。
たまたまハローワークで家の近所に募集があったので応募したんですが、まさか北海道で畑をやるとは思いませんでした(笑)。
―手をかけたり、かけすぎないようにしたり、植物を育てることは人を育てることに通じているのかもしれませんね!
現場はリフレッシュできる!?入社9年目に思うこと
次にお話を伺ったのは、電設工事課・課長代理の佐伯大吾さん。
2014年に入社して現場を踏み、今は経営管理にも携わりながら、引き続き現場のお仕事もこなしています。
―ご入社されたきっかけは何でしょうか?
僕は高校を卒業したあと5年間、内装業に携わっていました。
そのあと父と電設業を経営していたんですが、父がこちらに入社したので、1年遅れて僕も入ることにしたんです。
最初は伐採から始めて、少しずつ電気の仕事も覚えていきました。
同じ現場で短くて3ヶ月、長くて半年以上。繁忙期はひたすら現場をこなすのに必死でしたが、諸先輩たちがいたので、教えてもらいながら経験を積むことができたと思います。
電気って、本当に覚えることがたくさんあるんですよ。幅広い仕事の中の一部を常にやっているような感じで、今まで経験していないこと、これから学んでいくことがまだまだあるんです。
長く続けているなかでも何度も経験しないような仕事もありますし、同じ仕事でもやり方が違うこともよくある。そんな時、やってきたことの引き出しを開けながら、今日まできたという気がします。
―工業系の学校を出ていなくても大丈夫でしょうか?
僕もそうですし、工業高校などを出ている人のほうが少ないですよ。
やっぱり現場に出ないと仕事として覚えませんし、他の業者さんとのコミュニケーションも取れませんし、積み重ねが大事です。現場で汗を流して、経験して、だんだんレベルアップしていく。それがやっぱり1番だと、実感しています。
僕は今、半分は経営管理の仕事もさせてもらっていますけど、忙しい時は自分から現場に出ていますね。いろいろな人との出会いもたくさんありますから。
コロナ以降、この3年間で人との接し方がガラッと変わったと感じてるんですよ。
でもこの頃は現場に出ると他の業者さんと会話もできますし、現場が好きなので、気持ちがリフレッシュするんです。
―仕事がリフレッシュになるって、本当に現場がお好きなんですね!
そうですね。僕もまだ経験しないとわからないことがたくさんあると思うんです。そのこと自体を学べたのが1番大事なのかな。
若い人たちの声に耳を傾け、誰もが働きたくなる会社にしたい
―今回、インターンシップを実施しようと思ったのはなぜですか?
阿部 やっぱり電気工事業も建築の1つですから、いわゆる3Kというイメージがあって若い人たちがなかなか来ない。だけど実際に見てみたら、「思っていたのとちょっと違う」というところを発見してもらいたいと思ったんですよ。
僕は少しでも楽しい会社づくりをしたいと思ってる。希望があれば120パーセントのことをしてやりたいっていう気持ちなのさ。
ただ、そういうチャンスに恵まれていない。釧路で60年以上やってたって、阿部電気工業がどういう会社かわからないでしょう。それをまず知るきっかけになってほしいですね。
佐伯 若い人たちにとっても、学校では教えられていないことが社会に出るとたくさんありますよね。本当はそういうことも学校で取り入れてもらって、知識を得てから社会に出るというほうが働きやすいんじゃないかな、と最近思うようになりました。
企業のほうも努力して、働きやすい環境を整備して。そういう時代になっていると思います。そういう意味でも、今回のインターンシップはいい体験の場所になるんじゃないかな。
阿部 うちの会社をありのまま見てもらって、若い人がどう思うのか、知りたいよね。
僕はあと何年かしたら次の世代にバトンタッチしていきたいし、そのために教えたくても、若い人がいないと仕方がない。もし会社に何か欠点があるとしたら、早く直したいしね。
直して、充実した会社、誰もが阿部電気工業で働きたいっていう会社にしたい。
―本当に、お気持ちがまっすぐなんですね。
阿部 僕は変化球が投げられないんですよ。ダメなところは直そう、直してダメなら次はこうしよう、そうやって今まで45年間、失敗しながらやってこられた。みんながついてきてくれた。
本当に、みんながすごいのさ。
―若い人たちの感じ方を、インターンシップで知るのが楽しみですね!その意見を活かして、きっとまた素敵な会社になっていくのだと思います。
阿部電気工業株式会社でのインターンシップ 概要・スケジュール
応募フォーム・インターンシップ詳細
開催日時:2023年9月5日(火)〜7日(木)
実施場所:阿部電気工業株式会社
北海道釧路市鳥取北5丁目1-9
応募締め切り:2023年8月4日(金)23時59分(応募者多数の場合、締切前に応募を締め切ることがあります)
応募フォーム:https://forms.gle/it5zE2waGs3UxfEQ7
備考:交通費3000円/日、宿泊費/5000円/泊(釧路市外からの参加者のみ)
インターンシップに関するお問い合わせ先:info☆dotdoto.com(☆→@に変更)担当:須藤
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春日明子
1979年生まれ、神奈川県横浜市出身。会社員時代に釣りに目覚め、通勤電車で読んでいた釣り新聞の編集部員募集広告に即応募、編集者となる。編集プロダクションに転職後、旅行雑誌やコーヒー専門誌、機内誌を中心に編集・執筆活動をしながら休日は東京湾で釣りに励む。ついには鮭釣りに訪れた北海道で人生の伴侶を釣り上げ、2016年に別海町へ移住。甲斐犬と暮らしながら酪農地帯の真ん中で原稿を書く。