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【釧路でインターンシップ!】北海道らしい放牧の風景をつくるお仕事「草地更新」とは?ホッカイ1日広報部長を大募集!【#道東天職活動】

ただいま募集期間外

この夏、就職活動に向けて釧路市とドット道東がお届けするインターンプログラム「#道東天職活動」

学生のみなさんに、まだ知らない仕事の世界や裏側があるかもしれない、ということを一つでも多く見つけてもらいたく、釧路に本社がある企業や業界を学ぶことができるインターンシップをご用意しました。

今回インターンシップを実施するのは、釧路市に本社を置く3社。
釧路にゆかりがなくても、この夏、3日間のインターンシップを通して新たな自分自身を発見してみませんか?

<こんな人におすすめ>
「地方で働くの、アリかも……?」
「釧路で働く選択肢も考えたい!」
「就活、何から始めたらいいかよくわからない」
「就職活動の情報交換がしたい」
「ローカル企業の雰囲気を感じてみたい」


さて、みなさんは「北海道の風景」といえばどんなものを思い浮かべますか?

羊蹄山や大雪山の山岳美、富良野のラベンダー畑、広々とした十勝平野の農風景など、地域によってそのイメージは変わるかもしれませんね。
とりわけ道東の“釧根台地”といって頭に浮かぶのは、やはり酪農風景ではないでしょうか。
一面に生えそろった緑の牧草が風に揺れ、放牧された牛たちが気持ちよさそうに草をはむ……。

「これぞ北海道!」といえる、のびやかな景色が道東を中心に広がっています。

今回ご紹介するのは、そんな牧歌的な風景をつくっている株式会社ホッカイです。

https://kk-hokkai.net/

最初にお伝えしたいのは、「かなり特殊なお仕事」という点。
こんな役割をする会社があることを、道東に暮らす人もあまり知らないのではないでしょうか?
身近な風景をつくるそのお仕事について、常務執行役員の泉智仁さんに詳しく聞いてきました!

土地を耕す→いい草が育つ→おいしい牛乳が飲める!

―創業年と、事業内容について教えてください

もともと地域の農業や農家さんのために1989年(平成元年)に創業しました。

札幌でも別の事業を行っている泉さん。父の日出美さんが株式会社ホッカイの代表取締役を
務めています。

ホッカイを漢字にするなら、「北海」ではなく「北開」

“草地更新”といって、牧草地の整備を主な事業としています。
牧場というのは同じような景色に見えるかもしれませんが、長く使っていると、だんだん土に力がなくなってくるんです。
酸性に傾いてきたpH値を少しアルカリに寄せるよう土壌改良して、「栄養価の高い牧草が育つ草地をつくる」という事業です。

いい草を与えると、牛の乳量が増え、質も高くなってくるんですよ。これは限られた土地での生産性を上げるうえで、とても重要なことです。
質が上がれば、消費者のもとに届く牛乳や乳製品もおいしくなります。

―私たちにも大いに関係する事業なんですね!質の良い牧草を育てるために、具体的にはどういうことをするんですか?

まず、その年に出てきた最初の牧草は「一番草」といって、生えそろったら農家さんが草刈りをします。
長年使っている草地だと牛に良くない雑草も生えてきてしまっているので、除草剤ですべて枯らしてから、「起こし」という土起こしの作業土を砕く「砕土」をします。
同時に土壌改良剤として炭酸カルシウムを撒く。そして種をまく前に、土地をならします。

牧草地って、平らにならしても何年か経つと隆起してくるんですよね。
草刈りのトラクターやダンプが走りやすいように、その隆起をならすんです。
おそらく、道東は湿地が多いので水が溜まりやすく、何度も凍ったり解けたりすることで隆起してくるのかもしれません。

暗渠(あんきょ)といって、水を逃がす溝を畑の下に造ることもあります。
水が溜まると土地が沈んで、そこだけ草が生えないんですよ。

一方、十勝は水じゃなく石がすごいんです。
何年経っても不思議と石が上がってくるんですよね。だから非常にやりづらい。
草地の場合は土を30cmの深さまで起こすんですけど、石があると重機が壊れてしまいます。
整地をしたらチモシーやクローバーなどそれぞれの農家さんの好みの種をまく。

そして新しい芽が出て、また牧草が育っていきます。それが草地更新という仕事です。

圃場に種をまくトラクター。天候による土の状態、風の強さなどを考慮しながら作業を進めますが、まんべんなくまけるかどうかも腕の見せどころです。
牧草の種と肥料などをよく混ぜたもの。これをトラクターでまいていきます。

それから「造成」といって、草地を拡大する作業もあります。
林の伐採は他の会社がやりますが、そのあとの「抜根」という根を抜く作業は我々の仕事です。

事業のエリアは北海道一円という形ですが、やはり道東、オホーツク界隈が酪農家の戸数が多く規模も大きいですね。
道南では八雲町とか長万部町にもニーズがあるんですが、最近は人手が足りず、行けてないんです。

―1つの現場の草地更新にはどれくらいの期間がかかるんですか?

規模にもよりますが、3ヶ月くらい。

年間トータルで400〜600ヘクタール(東京ドーム100個分前後)の草地を更新します。
いい草地を保つには、だいたい7年くらいで更新したほうがいいといわれています。

更新したい農家には国から補助金が出ます。我々が仕事をするということは、補助金事業を請け負うということなんです。
当然、しっかりと仕事をしないといけません。

現場をプロデュースする“現場代理人”とは?

―今回のインターンシップではどのようなお仕事を体験できるのでしょうか?

今お話しした作業をするのは、いわゆるオペレーターです。
インターンシップではそのオペレーターたちがいつどこでどんな作業をするのか、すべてを計画してプロデュースする“現場代理人”の仕事を知って、体験してほしいと思っています。

道庁、振興局の仕事をしますので、現場代理人は施工計画から実際の現場の進捗、種の発芽・生育具合まで、写真を撮影して記録し、それを成果として納品します。
現場代理人がいないと仕事ができないので、非常に重要な人材なんです。

仕事の場所は野外がほとんどですので、アウトドアが得意な人や、外で過ごすことが好きな人のほうが向いていると思います。機械が好きでやりたいという人なら、オペレーターも面白い仕事だと思います。

草地の隆起などは一般の人が見てもわからなくて、ブルドーザーもまっすぐ走らない。
技術を習得するのに3〜5年はかかるといわれています。
今は毎年数名、新卒の高校生がオペレーターとして入ってきてくれていますので、育てている最中です。

今までは、インターンシップだとか、人材確保という動きをこれまでほとんどしていなかったんです。今、従業員は25名ほどいますが、高齢者と若手で二極化しているので、中間層になる人がほしい。
現場ではブルドーザーなどの重機を運転するのが主なので、土を起こすといっても、力仕事ではないんです。
しかし一般的な仕事ではありませんから、仕事の内容がイメージしづらい。
だから今、企業説明会などにも力を入れているところです。

種をまく前の整地をする重機。オペレーターは機械の運転が好きな人に向いています。

やっぱり仕事内容をきちっと見てもらいたいですよね。
言葉だけで説明して入社しても、合わなかったらお互いに良くないじゃないですか。現場見学ってすごく大事だと思っています。

インターンシップでしっかり見てもらって、卒業後にやってみたいなと感じる人がいれば、本当にウェルカムですよね。
それに新人が入ると、会社としての面白さも増すんです。化学反応というか、若手が入ることで長年勤続している人も触発されるんですよね。
柔らかい頭で「こんなことをやってみたい」という人がもっといれば、どんなふうに会社が変わるのかなと期待しています。

―草地更新以外の新規事業の予定や、これからの展望は?

阿寒にTMRセンターという飼料を作る加工場があるんですが、ここで使うデントコーン(飼料用トウモロコシ)を育てる土地の起こし・種まき・収穫をお手伝いさせてもらっています。
これは草地更新とはちょっと違う仕事ですね。

それから、冬は除雪を請け負っています。去年初めて、釧路空港の除雪も我々が行いました。
ちょうど今やろうとしているのは、鹿柵の設置です。牧草地は鹿の食害があるので、鹿が侵入しないように柵を立てるというものです。

私が思うには、草地更新だけではやっぱりダメです。
草地更新は大きな柱ですが、6月ごろから10月末ごろまでの仕事ですから、繁忙期以外の仕事の裾野を広げたいなと思っています。
もっと会社を大きくするために、新規事業については常日頃から考えていますね。仕事を増やせれば雇用も増やせますし、売り上げを立てれば従業員への給料も上げられますから。
土木の施工管理技士という資格が会社として最もほしいので、その保有者を増やすための支援も、もちろんしていきたいです。

もう一度、土木に。定年を気にせず勤められる!

近年入社した人のなかには、新卒以外にもベテランの方がいるそうです。
工事部・技師で現場代理人を務める橋本裕二さんがその人。

これまで経験してきた仕事について語る橋本さん。現場の面白さをご自身の中に見出せる方なのだなぁと感じました。

―何がきっかけでご入社されたんですか?

高校を卒業して18歳から43歳まで、ずっと土木の仕事をしていました。
厚岸で道路や岸壁を造ったり、ブロックを入れたり、そういう仕事が好きだったんです。
厚岸の道の駅に続く道路や駅前広場を造る現場にも携わったんですよ。そのあと別の仕事もしたんだけども、やっぱり土木のほうが面白いなと。

「もう一度、土木の仕事をやってみたい」と思うようになって、ハローワークで見つけました。
ホッカイは定年が75歳です。その時61歳だったので、長く使ってもらえるのかな、というのが決め手でした。

前の会社で水産土木というか、昆布がとれる海中を一度全部綺麗に掃除して、雑草を駆除して、昆布の胞子を定着させるという仕事も長く経験していました。
やることは全然違いますが、一度綺麗にしてから種まきするのは草地更新も同じですよね。

―橋本さんの現在のお仕事は?

現場代理人をしています。役所から図面や設定書をもらって、役所の監督と打ち合わせて、その図面と同じものを現場で作る仕事です。
草地の場合、北海道は秋が早いから8月いっぱいまでに種をまかないと草が生えない。
だから逆算して早くから取り掛かりますが、今年度の仕事は今年度の入札なので、短い期間で大忙しです。

―北海道ならではの事情ですね。最終的な仕上がりというのはどうなればいいんでしょうか?

牧草は5センチ角の中に4本以上生えていること、クローバーは根の長さが5センチ以上伸びていること、という決まりがあります。
それを全部写真におさめて、この圃場(ほじょう)のここで撮ったというのを図面に落とし込むんです。それが納品といって、工期中に仕事ができたという証明になります。
まぁ、草が生えたかどうかは畑を見れば一目瞭然なんですけどね。

10月末ごろの工期までに、草地が青々とするよう現場を動かさないといけません。
昔は全部、紙で納品していたので、1つの現場で膨大な量の書類を納品していたんです。今はパソコン上での電子納品が多くなりましたね。

―現場代理人のお仕事も時代とともに変わっているんですね。

僕は若手によく言うんですが、「教えたことがすべてじゃないから、もっと上のことを考えたほうがいい」と。これから入る若手は孫みたいに歳が離れていますけど、僕が言ったことがすべてではないんです。現場代理人は正解がない仕事でもありますから、僕自身、今でも日々勉強だと思っています。

言われたことに対して「これは違うんじゃないか、もっとこうしたら良くなるんじゃないか」ということを自分自身で考えることが大事だと思うんですよね。
人より速く、綺麗に仕事をしたい、負けたくないという気持ちでやってきました。そして、一度言われたことは絶対に忘れないようにしてきた。

そういう気持ちを持ったうえで、これからの現場の動かし方を自分自身で考え続けることなんじゃないかなと思いますね。

今年入ったばかりの新人オペレーターも現場でベテラン勢と一緒に活躍しています。

還暦を過ぎても日々勉強。そんな大先輩の言葉が胸にささります。

年齢が二極化しているということでしたが、現場では心強いベテランの先輩たちのもと、若手も意見を言いながらのびのびと働いているなと感じました。

北海道に広がる牧草地の風景を美しく維持し、酪農家を支える大切な仕事。
今、この仕事の存在を初めて知ったあなたが、もしかしたら何十年後の風景をつくっているのかもしれません。

JA阿寒のビルの2階に株式会社ホッカイが入っています。周囲は飲食店なども多い便利な場所です。

株式会社ホッカイでのインターンシップ 概要

開催日時:2023年9月5日(火)〜7日(木)
実施場所:株式会社ホッカイ
北海道釧路市昭和南3丁目16-19
応募締め切り:2023年8月4日(金)23時59分(応募者多数の場合、締切前に応募を締め切ることがあります)
応募フォーム:https://forms.gle/it5zE2waGs3UxfEQ7
備考:交通費支給なし、宿泊地は釧路市内当社指定のホテルを3泊分手配いたします(釧路市外からの参加者のみ)
インターンシップに関するお問い合わせ先:info☆dotdoto.com(☆→@に変更)担当:須藤

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春日明子

1979年生まれ、神奈川県横浜市出身。会社員時代に釣りに目覚め、通勤電車で読んでいた釣り新聞の編集部員募集広告に即応募、編集者となる。編集プロダクションに転職後、旅行雑誌やコーヒー専門誌、機内誌を中心に編集・執筆活動をしながら休日は東京湾で釣りに励む。ついには鮭釣りに訪れた北海道で人生の伴侶を釣り上げ、2016年に別海町へ移住。甲斐犬と暮らしながら酪農地帯の真ん中で原稿を書く。