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若き社長と現場のプライドが歴史を支える!標津町の東盛運輸&東盛建設

ただいま募集期間外

東盛建設株式会社

北海道標津郡標津町南6条西1丁目1番地12-2号

皆さんは普段、どんな移動手段を使って生活していますか?

最寄り駅まで50キロ以上、バス停へすら歩けば(歩きませんが)1時間はかかる酪農地帯に暮らす私にとって、唯一と言える移動手段は「車」です。7年前に関東から移住したころ、北海道の道路を運転してしみじみ思ったのは「大きな車が多いなぁ!」ということ。

しかも載せているものが鮭やサンマだったり、牧草ロールだったり、牛そのものだったりと、地域色を感じる車の多いこと!

それらの「働く車」は地域を動かす原動力であり、運転する人がいなければ経済が止まってしまうほど重要な役割を担っています。

今回ご紹介する標津町の東盛運輸株式会社・東盛建設株式会社は、昭和初期の創業からまさに地域とともに歩んできた企業です。これから建設部門で一緒に働いてくれる人を募集予定とのことで、若き社長の土谷悠介さんにお話をうかがいました。

<こんな人におすすめ>
・経験はなくても新しいことに挑戦したい人
・町をつくる仕事に興味のある人
・道東の海辺の町で働いてみたい人
・社長や仲間と一緒に成長したい人

<会社概要>
▼所在地
北海道標津郡標津町南6条西1丁目1番地12-2号

▼事業内容
・運輸業(東盛運輸株式会社)
砂利、産業廃棄物、飼料、肥料、漁網、建設資材、発泡スチロール、引越荷物などの運搬・積み下ろし
・建設業(東盛建設株式会社)
道路工事、港湾工事、解体など

▼従業員数
約50人
※募集要項は決まり次第、掲載予定です。

標津町は野付半島と知床半島の狭間、根室海峡沿岸に位置する漁業と酪農の町。アイヌ語でシベツ=鮭のいるところ、という意味を持つ通り、古くから鮭を中心に人々が交流し、町をつくってきました。中心部を流れる標津川や、日本で初めて鮭の釣獲調査を可能にした忠類川などには毎年秋になると多くの鮭が遡上します。

また酪農も盛んで、標津川流域を中心に2万頭以上の乳牛が暮らしています。

そんな海辺の町で運輸業と建設業を営む会社の社長は、現在39歳と異例の若さ。どんな考えをもって会社を運営しているのでしょうか。

▲東盛運輸・東盛建設株式会社 代表取締役社長 土谷悠介さん

29歳で突然、社長に。助けてくれたのは同業者だった

─── 社長室の壁に古い写真が貼ってありますね。会社の歴史を教えてください。

写真の一番古いもので昭和の初めぐらいだと思うんですけど、最初は商店だったんですよ。どんな物を売っていたかは定かではありませんが、たぶん、お米とか砂糖、醤油なんかですかね。それを配達したり仕入れたりするのに車を買い、少しずつ車が大きくなったり増えたりして、「物を運ぶ」ことが事業の中心になったようです。創業者は曽祖父で、僕で5代目です。先代の父は10年前、僕が29歳のときに突然亡くなってしまって。急に会社を引き継ぐことになったんです。

僕は20歳で入社して、総務や経理の仕事をしていました。いずれ継ぐことになるだろうとは思っていましたけど、できれば段階を踏んで社長になりたかったですね。

─── 経営についてどうやって学んでいったのですか?

ちゃんと学ぶ機会はなかったんです。だから、社長ってなにをするものなのかもわかりませんでした。同業者の方に業界のことを教わりながら、なんとか今までやってきたところです。手探りですよ、今でも。

同業の社長に何度か怒られたこともあります。最近でも「おまえは社長としての仕事をしていない!トップ営業マンとして顔を売って、嫌だと思う方向にこそ行かなきゃいけないんだ」と言われました。楽しいこととか、気持ちが楽なほうにばかり向いてると。「ライバルだから何回も言わないぞ、わからなければウチはそのぶん売り上げになるから」って。今も仲良くさせていただいてる方です。公共事業の入札なんかも教えてもらいました。ほんとは教えなければ競争相手が減るのに。そういう部分で、協調できている土地柄なのかもしれません。

▲昭和のころの東盛運輸。車両や着物が時代を感じさせます
▲現在は各種トラック55台ほど、重機20台ほどが必要に応じて稼働しています

僕じゃなく、現場の仕事ぶりがお客さんをつないでいる

─── 運輸業と建設業とで会社がわかれていますが、それぞれのお仕事を教えてください。

社員は両方合わせて50人ほどです。建設のほうは標津町と北海道の公共事業、主に道路工事ですが、今日は野付半島の消波ブロックの製作と据え付けの工事をしていますね。型枠に生コンクリートを入れてブロックを作って、それを運んで設置するという作業です。

普段の道路工事の作業員の仕事でいえば、基本は重機を動かす人が大まかな仕事をして、その周囲の、重機ではできない細かい作業を人の手でやるんですよね。その人材が今は不足気味です。重機の運転手はいますので、募集の際に特に免許を必須とはしていません。

運輸のほうはさまざまな物を運びます。飼料、肥料、木材、発泡スチロール、魚網、砂利や砂、産業廃棄物などです。函館とか遠いところもたまにありますが、基本は北海道内。これまでで言えば四国、九州に往復もありましたけど、ほとんど道内ですね。

─── どんな人に来てほしいですか?

うーん。あまりそういう意識をしたことがなくて。まずは仕事をしてもらって、そのなかで一緒に仕事をしている人からの評価などで徐々に判断しています。社長の立ち位置で最初から判断するのはあまり意味がないかなぁと思うんですよね。元気で明るくて前向きで一般常識があって……っていう人が来たらいいですけど、そんなにいろんなことを兼ね備えてる人って、自分も含めてなかなかいないですよ。

僕は現場経験がないまま社長になったので、現場のことは社員に聞いて、判断材料として信頼しています。お客さんとの付き合い方にしても教えてもらうことのほうが多い。僕は社長だけど、僕がお客さんをつなぎ止めてるわけじゃないんです。現場の人たちの仕事ぶりでつながってる。お客さんから「おまえの会社のドライバーはこういうところがいいな」と言ってもらえることもありますから。

▲仕事のあと、車両のメンテナンスをするスタッフ。日々の仕事ぶりが信頼につながっています

会社の敷地に住む人も!? 移住者へのサポートについて

─── 働くために移住が必要な場合にはどんなサポートがありますか?

だいたいはアパートを借りることになるんですが、ご希望の家賃を聞いて、不動産業者を当たります。最近入社した方の場合は会社名義で部屋を借りました。それから、会社の敷地内の空き家に住んでもらっている人もいます。

─── 会社の敷地に家……!?

ですよね(笑)。ひとつは元々、3代目が住んでいた家。亡くなる少し前に家を建てたので、きれいな状態で空き家になっていたんです。「ここでよかったら」って、会社の番人みたいになっちゃいますけど(笑)。

で、敷地内にもう1軒家があって、僕もその家に住んでいたことがあります。家賃はいただいてますけど、その2人はタイミングが良かったというか。あとは知り合いの社長さんが持ってる家を押さえてもらったり。標津町にはアパートが少ないので、その都度、一緒に解決していく感じですね。標津町から車で20分ほどの中標津町なら物件が結構あります。将来的には社宅のようなものも持てたらいいなと思います。

じつは敷地内に住んでいる従業員の1人が今日参加できますので、呼んできますね。

▲会社の敷地の番人? 大久保直樹さん。旭川から移住して運転手として活躍中

異業種から転職、移住。会社との運命の出合い

─── 東盛運輸に入社された経緯を教えてください。

大久保:今5年目ですけど、以前は旭川のスーパーで働いていて、トップまで上り詰めることができて満足しちゃったんです。もっと成長し続けるには新しいことを1から始めるのがいいと思って。それでハローワークに行ったら東盛運輸の募集があったんです。トラックには興味があったんですが、経験はなくて未知の世界ですよね。それで社長のブログを見たら「こんな若い社長!」って驚いた。「しべつ未来塾(※)」だとか町のいろんなことに積極的に携わっていて、どんな仕事でもいいから、この社長の下で働きたいなと思ったんです。

退職したあとに時間があったので、大型とか重機の免許を取っていました。そのあとタイミングよく、この会社と出合ったんです。

─── 大久保さんが免許を持っていたことも採用のポイントですか?

土谷 いや、人間性ですね。電話をくれて、旭川にちょうど用事もあったので、面接は旭川の居酒屋さんになりました。「どんなことができますか?」って聞いたら「築地に営業に行けます」とか「野菜農家をたくさん知ってます」とか言うんです(笑)。仕事にはあまり関係ないんですけど、関係ないことを持ってる人って意外と面白いなと。あと、このしゃべりとやる気に満ちた顔で、きっとうまくやってくれると思ったのが大きいです。

─── 会社の印象はどうでしたか?

大久保 トラック業界ってちょっとヤンチャな人がいるイメージだったんですけど、真面目で柔らかい雰囲気の人が多いなと思いました。社長の周りには一生懸命に盛り上げようっていう人が自然に残っている感じがします。

僕は空の発泡スチロールを運ぶ仕事を担当していて、20段くらい上に投げて積むんですけど、投げてスポンときれいに積むには結構テクニックを使うんですよ。隙間なく積むのはテトリスに近い感覚というか。スピーディに完璧に積むのを目標にしながらやるのが面白くて。1日の終わりにお風呂のなかで反省すると、また次の日のモチベーションが上がるんです。

ーーすごい向上心ですね!

大久保 いやいや、日々修業してます。僕は車も体を動かすのも好きだし、ジムに行かなくても鍛えられるから得した感じですよね(笑)。この職場と仕事は、導かれたように思います。楽しみにしているのは、いつか後輩が来たとき。僕も丁寧に教えていただいたので、そこに自分が覚えたことも上積みして教えたいし、若い人の考えも逆に教えてもらいたいです。

▲お互いを尊敬し合っている大久保さんと土谷社長。いい関係が伝わってきました

※しべつ未来塾……「標津のまちづくりと青年同士のネットワークの構築」をテーマに2014年に創立したまちづくり団体。農業者、漁業者、個人事業主など異業種の若者が集まり、町内外の人の交流と町の活性化を進める。土谷さんは初代代表を務め、2期6年にわたり活動。夜のサーモン化学館でのお化け屋敷イベントは行列ができるほどの盛り上がりを見せた。

しべつ未来塾の皆さん

従業員は家族。一緒にあり方を模索していきたい

─── 今後は会社をどのようにしていきたいですか?

まず、賃金を上げたい。極端な話、僕は運転手とか重機オペレーターって、公務員と同じくらい必要な業種だと思うんです。だけど経営してみると全然原資が見合ってないんですよ。僕は今、そこには執着していて、お客さんに言ってるんです。「うちの運転手、いいでしょ?もっとお給料を払いたいから価格を」って。それでも選ぶかどうかはお客さんだと思いますが、間違いのない人、信用を置ける人に仕事を頼みたいなら選んでもらえると思っています。仕事に対する姿勢、挨拶、態度、行動、そういう部分を評価してくれているお客さんは多いです。

─── 働く人をそうさせているのは何でしょうか?

よくドライバーが「東盛という看板が好きだから居る」って言うんです。長い人では40年以上勤続している人もいます。赤ちゃん時代、子ども時代の僕を知ってる人も多いから、もう家族みたいな感じです。

─── 給与明細にメッセージが入っていると聞きました。

中小企業家同友会というところで勉強会があったときに、そういうことをしている人がいて、僕もやってみようと思ったんです。メッセージというか、日々のなかで「あ、これは伝えようかな」ということをメモしたり写真を撮ったりして。それに対して答えてくれてもいいし、ただ見るだけでも、反応はそれぞれでいいんです。

─── いいものは取り入れて、会社のあり方や働く人とのいい関係をつくっているんですね。

今は運輸業と建設業ですが、そこにすごいこだわりがあるわけではないんです。だけど歴史がずっと続いてきた会社なので、名前は残していきたい。もしかしたら20年後はまた商店に戻ってるとか、何か違うことをしているかもしれません。どうあろうと、時代の変化に対応していくことができれば続けていけるのかなって。これからの会社の将来も含めて、従業員といろんな話をできればいいなと思いますね。

▲毎月の給与明細に添えられるメッセージ
▲国道沿いに掲げられた東盛の文字。その看板を背負って従業員たちが日々働いています

会社概要

▼所在地
北海道標津郡標津町南6条西1丁目1番地12-2号

▼事業内容
・運輸業(東盛運輸株式会社)
砂利、産業廃棄物、飼料、肥料、漁網、建設資材、発泡スチロール、引越荷物などの運搬・積み下ろし

・建設業(東盛建設株式会社)
道路工事、港湾工事、解体など

▼従業員数
約50人

▼問い合わせ先
☎0153-82-3884(担当 土谷)

ライター

春日明子

1979年生まれ、神奈川県横浜市出身。会社員時代に釣りに目覚め、通勤電車で読んでいた釣り新聞の編集部員募集広告に即応募、編集者となる。編集プロダクションに転職後、旅行雑誌やコーヒー専門誌、機内誌を中心に編集・執筆活動をしながら休日は東京湾で釣りに励む。ついには鮭釣りに訪れた北海道で人生の伴侶を釣り上げ、2016年に別海町へ移住。甲斐犬と暮らしながら酪農地帯の真ん中で原稿を書く。