

【インターン当日レポート】「測量=3K」は古い!建設コンサルタント業務と若者をつなぐアイデアと向き合った2日間
皆さんこんにちは!ドット道東の名塚ちひろです!
2024年8月28〜30日にかけて、釧路市とドット道東で開催したインターンシッププログラム「#道東天職活動」。
釧路市に本社を置く3社に、北海道内から計7名の大学生が参加しました。
今回は、釧路市で測量調査や土木設計を行う「山下コンサルタント」でのインターンシップをご紹介いたします。
釧路市インターンシップについて
当日レポートに入る前に、まずは今回のインターンシップについて。
本インターンシップの目的は大きく3つです。
①学生が釧路や地方で働くイメージを掴む
②学生が業界の選択肢を広げる
③ 企業が学生の発想から刺激を得る
<① 学生が釧路地方で働くイメージを掴む>
Uターンを考えるとき、多くの人が「仕事」を気にするはず。
これから初めて就職をする学生であればなおさら心配なのではないでしょうか。
「地元で働きたいけど、市役所、金融機関、あとどこがあるんだろう……」
そんな学生も多いはず。
そこで、まずは地方の仕事、釧路の仕事の選択肢を知ってもらうことを本インターンシップの1つ目の目的としました。
<② 学生が業界の選択肢を広げる>
地方での就職に限らず、いざ就職活動しようとすると元々ある程度知っている業界や企業ばかりを調べてしまいがちではないでしょうか。
特に今回インターンシップを開催した山下コンサルタントが属する業界は、多くの人の生活を支える縁の下の力持ちであると同時に「個人ではなく企業を相手にサービスを提供する業界・企業」であるため、実際とは異なるイメージを持たれてしまいがち。
そこで学生に新たな業界の選択肢を広げてもらい、自分に本当に合った仕事を選ぶ一助となることを2つ目の目的としました。
<③ 企業が学生の発想から刺激を得る>
「学生が業界の選択肢を広げる」でも触れたように、今回インターンシップを開催した山下コンサルタントを含む3社は、多くの人に実際とは異なるイメージを持たれてしまいがちな企業です。
企業の方々も採用活動を行う上でこのイメージのギャップの解消に苦労されています。
そこで、企業が学生のリアルな意見を受け取り刺激を得る機会とすることで今後の採用活動の一助となることを3つ目の目的としました。
「企業→学生」の情報提供によって学生にとって価値があるだけでなく、「学生→企業」へ新しい刺激があることで企業にとっても価値のある、そんなインターンシップを目指しました。
参加者メンバーのご紹介
北見工業大学4年生 岡田泰知さん
大学の講義で測量を学んだ経験から、実際の現場での仕事に興味津々。
大学院への進学が決まっていますが、企業PRへの興味や将来の選択肢を増やしたいとの思いから参加してくれました。
釧路公立大学4年 浅田涼葉さん
地域の活性化とそれに伴う地域の企業の関わりについて卒業論文を書いている浅田さん。
地方の企業がどのような取り組みをしているのかや特色があるのか、実際の現場を見てみたいとの思いから参加してくれました。
4年生で就職活動は終わっているものの、将来地方に戻る選択肢も考慮し、幅広く業界を知りたいそう。
さて、山下コンサルタントのインターンシップのテーマは、「測量と山下コンサルタントの魅力や面白さをPRする方法を考えよう!」。
測量を学んだことのある岡田さん、文系のため測量や土木とはこれまで縁がなかった浅田さん。
この二人は会社の魅力や面白さを何と捉え、どんなPRをするのでしょうか……!?
それではインターンシップの3日間をレポートします!
1日目「会社を知る」編
朝9時、社屋についた二人は「3日間楽しみです!」と気合充分。
まだ緊張感も残る中、さっそく山下吉己社長も交えて自己紹介からスタート。
「測量という馴染のない仕事だけど、少しでも興味を持って楽しく過ごしてください」と激励をいただきました!
採用を担当している営業部営業課長の佐藤純さんからは「こういったテーマでインターンシップを実施するのは初めてなのでどんな成果物が出るのか楽しみです。緊張せずに3日間楽しんで!」とユーモア混じりに話してくれ、学生二人も少し緊張が解けてきた……?
自己紹介が終わったら、さっそく最初のワークに取り掛かります。
まだ何もインプットのない状態で「建設コンサルタント・測量調査に持っている印象」をポストイットに書いていきます。
・必要な資格が多そう
・未経験者のハードルが高そう
・残業が多い
・3K(きつい・汚い・危険)
・コンサルって何をコンサルするの?
・コンサルタントだから文系より?文理融合なのかも!?
様々な意見が出てきました。さて、実態はいかに……!?
このあとは業務を体験したり、社員さんから話を聞き、この印象が本当なのか否かに迫っていきます。
一同が移動したのが会社の駐車場。さて、ここで何をするかというと……。
「角度」と「距離」を同時に測定することができるトータルステーションという機器を使った測量体験です!
岡田さんは講義では学んだけど、機器を使うのは初めてとのこと。
ベテランの社員さんの説明を受けながら「これがあのことか……」と学んだ知識と実際の現場での操作方法を結びつけている様子。
一方、測量初体験の浅田さんは、設置の仕方から丁寧に教えてもらいます。
実は、このトータルステーションを水平に設置するのは至難の業なのだとか。
ベテランの社員さんはささっと数分で設置してくれたので気づけなかったのですが、実はここ、地面が斜めになっているんです。
いざ自分たちで設置しようとすると、「三脚の足の長さを調節して……あれ?ずれた?じゃあこっちを伸ばして……あれ?またずれた?」と終わりが見えないほど(笑)。
このままだと数時間かかりそうなので、潔く諦めて設置はすべてお願いしました。
実際の現場はかなり急な斜面の場合もあるとのこと。
「こ、これを……斜面でか……」と学生たちはベテランの技にあらためて驚きます。
測量を体験したあとは、質問タイム。
どんな現場で何を測量することが多いのか、技術を習得するまでどのくらい時間がかかるのか、専門知識はどうやったら身につくのか等、積極的な質問が飛び交います。
お昼は「釧之助」でランチ。学生の二人は海鮮丼をいただきました!
岡田さんは北見工業大学の学生広報を担当しているとのことで、釧路滞在の様子をXにも投稿していました!(写真は岡田さんの投稿から拝借しました)
午前中は業務内容を中心にヒアリングをしていましたが、休憩時間はリラックスした雰囲気で会話ができていたよう。
実はここで偶然、釧路トヨタ自動車チームと遭遇!お互いに「頑張ろうね!」と励まし合い、会社に戻ります。
業務内容のヒアリング
会社に戻り、午後の部スタートです!
入社5年目の坂下未里さんから、地上レーザーを使った3次元点群作成の実際の画面を見せてもらいました。
地上レーザー計測は、対象物にレーザーを照射して距離を測り、精密な3Dデータ(点群)を作成する技術です。
この点群データを使うと、建物や地形の詳細な3Dモデルを作り、設計や保守、災害復旧に役立てることができるそう。
まるで現場そのものを再現したかのような精巧さに「え、すごい……!」驚く二人。
実際の画面を見て点群の活用方法に感心している様子でした。
こういった技術が発達し、作業効率が格段に上がったそう。
続いて、土木設計を長年担っている工藤統さんに業務内容について詳しく伺います。
詳しく説明に入る前に工藤さんから自己紹介。
「私は先代社長の娘さんと同期で、大学生の夏休みの時に毎年ここでバイトしてたんだよね。それがきっかけで卒業後にそのまま入社して……」
「なんと!!それがいまの工藤さんのキャリアにつながっているんですね!!」
これには一同驚きの声。
学生時代のバイト経験が就職に直結する……これはPRのアイデアに繋がりそうな予感……!!!
土木設計の話は、実際に施工した現場の写真を見ながら進みます。
大学での学びと直結することの多かった岡田さんからは、たくさんの質問が。
土木工事がどのように進められるのか、実際の現場でどんな準備や調整が必要かをわかりやすく説明していただきました。
特に、地域の人々や環境に配慮しながら工事を進めることが大切なのだとか。
また、現場ごとの特色に合わせた工事手順や、地元の状況に応じた柔軟な対応が求められることも知りました。
続いては3次元点群を見せてくれた坂下未里さんへのインタビューです。
・なぜ今の仕事に就いたのか
・仕事のやりがいや苦労
・坂下さんの働き方
などを伺いました。
その中で、女性の技術職はかなり少ないこと、だからといって女性だから難しい仕事ではないことを話してくれました。
また、坂下さんは商業高校出身、つまり文系出身。そのため、会社に入って一から知識を身に着けたそうですが、資格取得を会社がサポートしてくれる体制が整っていることも教えてくれました。
気になる「3K」についても聞いてみると、「測量機械の進歩やDX化が進んだこともあって、社員のほとんどが定時で帰社しているので残業はほぼないです!プライベートの時間も十分にとれますよ!」とのこと。
ここで1日目が終了!
朝からたくさんのインプットで少し疲れ顔の二人に1日目の感想を聞きました!
岡田さんは「建設コンサルタントの仕事のイメージがついた」と話し、実際に現場を見て触れることで、測量や土木工事を含む仕事内容が具体的に理解できたようです。
一方、浅田さんは「専門知識がないと働けないと思っていたイメージが変わった」と感じ、最初は自分が文系出身であることを不安に思っていたものの、実際に話を聞く中で、「文系の自分でも測量や土木工事の仕事に携わることができそうだ」と前向きな気持ちになったようです。
2日目「PR施策を考える」編
2日目は1日目のインプットをもとに、「就職先の選択肢として山下コンサルタントが選ばれるには?」をテーマにPR施策を考えていきます。
1日目に実際に聞いたことや体験したことを思い出しながら、当初抱いていた業界に対するイメージとのギャップを書いていきます。
二人が主に注目したのは下記のポイント。
・女性も働きやすい
・専門知識がなくても働ける
・肉体労働ではなく頭脳労働
・過去の悪いイメージの払拭が必要
何を伝えるべきかは見えて来ましたが、どう伝えるか・誰に伝えるかを考えるのもPR戦略を考える上では大事なこと!
悩みながらも大学生に興味を持ってもらうアイデアを考えていきます。
(浅田さんはお昼休憩の間もずっと考えていたそう……!)
夕方、アイデアがまとまったところで佐藤さんへプレゼン!
コメントをいただいた後は資料作成へと移行します。
この日は19時まで発表準備をして終了!
山下社長や佐藤さんから「遅くまで頑張ってくれてありがとう!明日楽しみにしてるよ!」と激励の言葉をいただきました。
3日目「発表する」合同報告会編
いよいよ最終日、3社合同の報告会です。
普段は心拍数54の岡田さん、「今は150以上あります!」と明らかに緊張した様子でスタート。
一方で浅田さんは落ち着いているよう……(に見えただけで実は緊張していたのだそうです)。
まずは1日目の現場見学やヒアリングの内容を発表。
機械化やDX化により業務の効率化が進んだり、肉体労働が減り、働きやすい環境になったことを伝えます。
具体的なアイデアの発表です。大学生との新たな接点作りを提案。
さらに若い人に刺さるためのキャッチフレーズを提案。
これをHPや広告として使い、測量や設計が地域をデザインすることに繋がっていることをアピールするアイデア!
最後に参加した二名からインターンシップの感想がありました。
浅田さん
「測量の仕事も知らなかったのですが、機械を触らせてもらったり3D点群を経験したり、人間が担うのは頭脳労働なのだと知りました。男性中心の業界というイメージがありましたが、女性でも働きやすいのだなと感じました。卒業論文でも今回インターンで得た経験を書ければと思います」
岡田さん
「大学で測量やCAD等の知識があったので飛び込みやすかったのですが、業界を知らない浅田さんと一緒に取り組むことで新たな視点や学びがあり、刺激のある3日間でした。
父が建設業界で大変そうな姿を見ていたので、当初は建設業界に対してネガティブなイメージがありましたが、時代も変わり労働環境も良くなって女性も働きやすくなっていることを知りました。
他の大学と関わる機会がこれまでなかったので、浅田さんはじめ他のインターン生との交流もできて学びの多いインターンとなりました」
山下コンサルタントのみなさんからは
・年齢層が高く若手の求人をしても採用に結びつかない課題があった。その解決につながるアイデアを出してもらったのが嬉しい
・文系・理系それぞれの長所が2日間よく出ていた。熱心に質問してくれて、その結果立派なプレゼンになって驚いている
・実際に色々体験したりヒアリング元にしたプレゼンをしてもらうのは貴重な経験だった
・これからもこういう機会を増やして、地元企業として学生が戻ってこれる場所にしていきたい
等のコメントをいただきました!
山下コンサルタントのみなさんにとっても刺激の多い3日間となったようです。
お忙しい中、インターンシップを受け入れてくださった山下コンサルタントの社員の皆さん、ありがとうございました。そしてインターンに参加した2名もお疲れ様でした!
インターンシップに取り組んだ学生が参加企業に就職するだけではなく、新たな選択肢を見つけるきっかけになったり、釧路市とつながる入り口になるように運営した今回のインターンシップ。
新たな自分を発見したり、自分のことを深く知ることができたり、目標が見つかったり。
インターンシップを通して選択肢を増やすことができるように、これからも学生と企業をつなぐきっかけを作っていきたいと思います。