【インターン当日レポート】道東産業の基盤を整備する、ホッカイの仕事とは?
皆さんこんにちは!ドット道東です!
2023年9月4日~7日にかけて、釧路市とドット道東で開催したインターンシッププログラム「#道東天職活動」。
釧路市に本社を置く3社に、北海道内から計13名の大学生が参加しました。
今回は、釧路市をはじめとする北海道で牧草地整備や公共工事を行っている株式会社ホッカイでのインターンシップの様子をレポートします。
インターンシップについて
当日レポートに入る前に、まずは今回のインターンシップについて。
本インターンシップの目的は大きく3つです。
① 学生が釧路や地方で働くイメージを掴む
② 学生が業界の選択肢を広げる
③ 企業が学生の発想から刺激を得る
①学生が釧路地方で働くイメージを掴む
Uターンを考えるとき、多くのひとが「仕事」を気にするはず。仕事の経験が少ない学生であればなおさら気になるのではないでしょうか。「地方で働きたいけど、市役所、金融機関、あとどこがあるんだろう……」 そんな学生も多いはず。そこで、まずは地方の仕事、釧路の仕事の選択肢を知ってもらうことを本インターンシップの1つ目の目的としました。
② 学生が業界の選択肢を広げる
地方での就職に限らず、いざ就職活動しようとすると元々ある程度知っている業界や企業ばかりを調べてしまいがちではないでしょうか。特に今回インターンシップを開催した3社が属する卸売業界や建設業界は「社会の裏方」であると同時に「個人ではなく企業を相手にサービスを提供する業界・企業」であるため、多くの人に実際とは異なるイメージを持たれがちな業界です。そこで、学生に新たな業界の選択肢を広げてもらい、自分に本当に合った仕事を選ぶ一助となることを2つ目の目的としました。
③ 企業が学生の発想から刺激を得る
「学生が業界の選択肢を広げる」でも触れたように、今回インターンシップを開催した3社は、多くの人に実際とは異なるイメージを持たれがちな業界です。企業の方々も採用活動を行う上でこのイメージのギャップの解消に苦労されています。そこで、企業が学生のリアルな意見を受け取り刺激を得る機会とすることで今後の採用活動の一助となることを3つ目の目的としました。
「企業→学生」の情報提供によって学生にとって価値があるだけでなく、「学生→企業」へ新しい刺激があることで企業にとっても価値のある、そんなインターンシップを目指しました。
それではさっそく、インターンシップの当日レポートに入っていきましょう!
参加者メンバーのご紹介
株式会社ホッカイに来てくれたのはこの4名。
北海学園大学1年生 佐藤慶太(さとう・けいた)さん
道東の浦幌町出身で今年の3月までは高校生だった札幌の大学に通う1年生。
6月に札幌市で開催されたリトルドートーのイベントに参加してくれた佐藤くん。
ゲストでホッカイの泉さんにお越しいただいた際に興味を持ち、今回のインターンに参加してくれました。
東京農業大学オホーツクキャンパス2年生 居馬颯汰(いば・そうた)さん
神奈川県出身の2年生。サークル活動でエゾシカについて学んでいます。
道外出身の彼ですが、「道内就職をしたい!」という強い気持ちと、「インターンシップ」というものを知るきっかけにするため、応募してくれました。
東京農業大学オホーツクキャンパス2年生 長沼優月(ながぬま・ゆき)さん
同じく東京農業大学に通う2年生。
3日間持ち前の笑顔で場を盛り上げてくれたゆきさんは、「広報に対しての興味」「道内の仕事を見てみたい」という気持ちから応募してくれました。
釧路公立大学4年生 藤田千花(ふじた・ちはな)さん
網走市出身で現在は釧路公立大学に通う大学4年生。昨年の釧路市インターンシップのレポートを見て、「インターシップ」という内容自体が良い経験になりそうだと思い参加をしてくれました。
以上、学年も出身地域も全く違う4名が参加してくれました。
「就職先の選択肢としてホッカイが選ばれるには?」
これが、この3日間のインターンシップで与えられているテーマです。
株式会社ホッカイは、北海道でも他に事例の少ない「牧草地整備」を行う会社です。「牧草地整備」という仕事も、ホッカイという会社も、学生になかなか知られていないことが課題。
株式会社ホッカイについての記事はこちら↓
農業系の高校からの入社はあるものの、他の学校からの入社は苦戦中です。
特に文系の学生からは、「専門的な職業なんだったら、自分では戦力外」といった印象を抱かれてしまいかねません。
参加学生の皆さんには、「ホッカイのユニークさを伝える方法とは」「そのユニークさを活かすにはどうすればいいのか」ということを考えてもらいます!
そこでまず最初に、参加学生の皆さんにホッカイの簡単な会社説明を聞いた後で、率直なイメージを聞いてみました。
<学生の皆さんに聞いてみた!①「この業界に対してのイメージは?参加前ver.」>
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〇佐藤さん
「他の業種と比べて専門的な資格や知識が必要で、就職先の選択肢に入れづらいな…」
〇居馬さん
「牧草を育てる専門職!天候に左右されそうだし、力仕事!大変そう…」
〇長沼さん
「年によって収入が変わるんじゃないかな……」
〇藤田さん
「牧草地の整備で重要なことは一体なんなんだろう…?」
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業界に対してマイナスなイメージを持つ学生や、そもそもこの業界に対して「あまりイメージがつかない…」となっている学生が多くいました。
今年も昨年と同様、3日間というスケジュールの中でインターシップが行われましたが、実際に就職活動を経験した学生もいたため、あらゆる角度から話し合いが行われていました。
その3日間の様子を皆さんにお伝えします!
1日目「知る」〜ホッカイってどんな仕事をしているんだろう〜
【1】3日間の日程確認
まずは集合場所で3日間の日程確認。
初顔合わせとなった1日目、学生さんは緊張気味……。
「こういう取り組みに参加するのが初めてなんです……」と不安げな顔をしている学生もいました。
そんな中、ホッカイの泉さんは、「緊張しなくて大丈夫だよ」と学生に声をかけてくれました。日程確認が終わり、いよいよホッカイを「知る」ための1日目がスタートします。
1日目の「知る」時間は、実際にホッカイが担当している土地や岩保木(後に説明します!)の見学に向かいます。車での移動時間は、学生から泉さんへの質問タイム。
ドット道東チームは別の車両で移動。
後ほど泉さんに移動時間についてお聞きすると、「運転するのも大変なくらい、会社や釧路のことについて質問攻めでした(笑)」と、学生からのあまりの質問の多さにびっくりしていました。
学生の皆さんからは、「たくさん聞きたいことが聞けました」「実際にこの業界についてイメージが分からなかったけど少しわかってきた気がします!」という声が上がっていました。そんなこんなであっという間に次の目的地へ……。
【2】標茶町多和平〜別海町でランチ
最初の視察は、360°牧草地が広がる標茶町は多和平へ。
多和平は比較的高低差のある牧草地。「高低差があり、このように凸凹している牧草地は作業がしづらいんです」と泉さんが説明してくれました。
実際の現場を見下ろすことができ、学生の頭の中にも少しずつイメージが出来上がってきます。
見学を終え、ランチは泉さんおすすめの別海町は「はまなす亭」。
「とにかくボリューム満点!」と口コミで話題のお店。
普通盛りを2人で食べても充分おなかいっぱいになるくらいボリューミーなランチでした。ランチタイムは少しリラックスした雰囲気になり、それぞれの趣味や特技、大学での過ごし方などを話していました。
【3】JA道東あさひへ
ランチ後は、別海町にあるJA道東あさひにお邪魔しました。
ここでは、酪農業界の現状についてお話をお聞きしました。
ホッカイが行う「牧草地整備」「草地管理」において、酪農業界は深い関わりがあります。牛が食べる牧草を管理することで、安心・安全な牛乳を提供でき、そして美味しい牛乳を消費者に提供することができます。
ホッカイで行われている作業があるからこそ、牛が健康に安全に育つことができ、私たちの元へと繋がります。
普段表には見えない仕事ですが、草地管理があるからこそ私たちも安全に健康に暮らすことができています。
学生の皆さんに聞いてみた!②「酪農業界について学んでみてどうだった?」
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○藤田さん
「北海道の牛乳は、加工に使用されることが多いというのが意外でした。需要と供給のバランスが悪いため、安い金額での取引になるということを聞いて、北海道は酪農が盛んな地域であっても、必ずしも儲かっているわけではないと思いました。」
【4】現場見学
その後は、西春別の現場を中心に視察へ。現場にはたくさんの農機具が置かれていました。
それぞれの使い方を一つひとつ丁寧に説明してくださる泉さん。
学生も話を聞きながら、メモを欠かさずとります。
その他にも、ホッカイが整備を担当する土地をいくつか見せてもらったり、岩保木(昔釧路川と新釧路川を分けていた場所)に連れて行っていただきました。
「ここには以前自転車で遊びに来て、よく釣りをしていたんだよ」と泉さんが教えてくれる一幕も。
【5】泉さんのお気に入りの場所へ
1日目の最後は、泉さんがお気に入りの場所に連れて行ってくださいました。
それは、「細岡展望台」。釧路湿原を一望でき、別名「大観望」とも呼ばれています。
泉さんは、「この自然を見ると嫌なことも忘れますよ」と笑って話してくださいました。
【6】1日目を終えて
夕方、釧路市街地に戻ってきた学生たち。
その後は1日目に得た学びを共有する時間。付箋に学びを書いて模造紙に貼り付けていたのですが、模造紙の色が見えなくなるくらい、たくさんの学びがありました。
1日目の視察を終え、学生からは酪農業界やホッカイに対しての多くの発見があったとの声が。
2日目のワークショップの時間ではどのような話し合いが行われるのか楽しみです。
2日目「考える」〜就職先の選択肢に選んでもらうには?〜
2日目が始まり、この日はまず最初にホッカイのオフィスを訪問。
具体的な業務の内容を泉さんから教えてもらいました。
【1】ミニ講座
ワークをする前に、ドット道東の事業例を通して考え方を学びます。
担当はドット道東理事の野澤一盛。道東のアンオフィシャルガイドブック「.doto」や「くしろで暮らす」を制作した際にどのようなことを考えていたかをインターン生に説明しました。
このあとは、学生の皆さんに時間の使い方もまとめかたも全て一任して進めていきます。
【2】ワーク
1番最初に話し合われたのは「ターゲットをどこに置くべきか」。
酪農業が盛んな地域出身の学生が多く、酪農に対してのイメージから議論を広げていきます。ここでは、「北海道が誇る酪農業界を盛り上げたい学生」をターゲットに置きました。
その後は、どのような方法で発信を行っていくかについて議論されていました。
最近の若者の間では、SNSによるコミュニケーションが浸透。理解度と共感性をあげようという意見から、「動画を制作してみては……?」と意見が固まりました。
そこからは各自役割分担を決めて最終日に向けて作業開始です。
1日目の緊張もほぐれ、楽しく作業に取り組む学生の皆さんが印象的でした。
ここで、休憩中の皆さんの様子を少し覗いてみましょう!
今回の参加者は、1年生が1人、2年生が2人、4年生が1人と、学年がバラバラな学生が集まりました。
インターン初日、上手く周りの人と交流できるか心配していた1年生の佐藤くん。
「人見知りな性格なのでなかなか自分から話しかけることができなかったけれど、先輩方から話しかけてくれたり話し合いを進めてくれました!
徐々に緊張がほぐれて楽しく活動できました。今後もこのような機会に積極的に参加して、色んな人とコミュニケーションをとれるようになりたいと思いました。」
と、2日目には笑顔が増えていました。
学年や学校の垣根を越えた交流ができることも、釧路市インターンならではの醍醐味です。
【4】発表に向けての準備
2日目の最後には、学生の皆さんが考えた案を泉さん、専務執行役員の岡本さんに発表しました。
お二人からも鋭くも温かいアドバイスをいただき、最後の調整……!
最終日どのような発表が出来上がるのか楽しみです。
学生の皆さんに聞いてみた!②「この業界に対してのイメージは?参加後ver.」
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〇佐藤さん
【前】「他の業種と比べ専門的な資格や知識が必要で、就職先の選択肢に入れづらいな……」
【後】「入社後でも金銭的な支援を受けて資格取得ができるんだ……!」「実際の現場で先輩から仕事を学んでいけることを知ることができれば、多くの人が就職先の選択肢に入れることができるのでは?」
〇居馬さん
【前】「牧草を育てる専門職。天候に左右されそうだし、力仕事で大変そう……」
【後】「牧草以外にも除雪作業などの業務も。農家さんとのコミュニケーションが重要なお仕事!」「現場代理人が現場を管理しているため、ムリ・ムダのない作業が実現している!」
〇長沼さん
【前】「年によって収入が変わるんじゃないかな……」
【後】「仕事の受注元がJAのときもあり、安定した収入を得ることができる!」
〇藤田さん
【前】「牧草地の整備で重要なことは一体なんなんだろう……?」
【後】「発注者は国だが牧草地整備の過程では農家さんとのコミュニケーションが一番大事だという事が初めてわかった!」
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3日目「伝える」〜酪農界の縁の下の力持ち!社員の挑戦を応援してくれる企業〜
最終日はいよいよ報告会。
2日間の学びをまとめたスライド資料を用いながら発表を進めます。
冒頭では、長沼さんから、
「『株式会社ホッカイ』という社名からどんな仕事を行っているのかを想像することが出来ないからこそ、説明を受けるたびに驚きがたくさんありました!」というお話がありました。
2日間の成果として、ホッカイについての動画が制作されていました。
「イメージを掴むのが難しい!」という学生の意見から業界のため分かりやすい説明、会社の説明・業務、学生の気になるQ&Aが3分ほどの動画でわかりやすく説明されていました。
会社説明会で流れていても違和感のない完成ぶり……!
会場からは、「スゴい!」「よくこの短期間で作ったね!」という声が挙げられていました。
発表を聞いた泉さんからは、
「学生と一緒になって、何か一つのモノを作り上げるという経験が今までなかったので本当にうれしい気持ちでいっぱいです。将来皆さんが社会人になった時に何か相談できるような人間になっていきたいと思います。とても感動しました。」
とのコメントをいただきました。
前日の深夜まで作業をしていた様子も見ていた泉さん。
2日間という短い時間の中で、学生に真剣に向き合ってくださいました。
報告会後も、学生と泉さんはこの3日間を振り返っていました。
今後についてのアドバイスをいただき、学生も満足そうな表情でした。
こうして、3日間、泉さんをはじめとするホッカイの皆様からたくさんのアドバイスをいただき、釧路市インターンは幕を閉じました。
最後に参加した学生の皆さんから感想をいただきました!
学生の皆さんに聞いてみた!④「3日間を振り返って」
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〇佐藤さん
僕は十勝出身で酪農が身近な存在でした。そのため、酪農についてある程度知っているつもりでしたが、草地更新という仕事を初めて聞きました。
色々なお話を聞いていく中で、当初持っていたイメージとは違う部分がたくさん見つかり、ホッカイさんの仕事への理解が深まりました。実際に目で見たり話を聞いたりしないとわからないことがたくさんあるなと感じました。
今回インターンが実施された3社は、目立ちづらいかもしれないけれど生活に欠かせない仕事を担っていてやりがいのある仕事だと感じたので、学生や若者のニーズに合わせた広報活動ができれば、若者不足という課題の改善に繋がるのではないかと思いました。初めて地元以外の地域でこのような活動をしてみて、ローカルで働くイメージが少し湧いた気がします。
〇居馬さん
今回のインターンシップを通してたくさんの気づきがありました。
1つ目は、ホッカイが好奇心旺盛な企業であることです。泉さんもそうですが自分のやりたい夢があれば叶えることができる企業だと思いました。
2つ目は、福利厚生の手厚さです。行き帰りの移動で福利厚生について詳しくお聞きしましたが、社員の生活のことをしっかり考えられている企業だと感じました。
普段生活していると、一般の人とはなかなか関わりのない仕事ですが、私たちの生活を支えている企業だと3日間を通して感じました。
〇長沼さん
3日間を通して感じたことは大きく分けて2つです。
1つ目は、若い人も入ってきていることです。「現場代理人」と聞くと40.50代の人が多いのかなという風に感じていましたがイメージが大きく変わりました。
2つ目は、やりたいことができ、新しいことへの挑戦の壁が低いことです。泉さんはとてもパワフルな方なので、若い人の夢は積極的に応援したいとお話しされていて、若い人に共感してくださる企業は少ないのではないかと感じました。
〇藤田さん
3日間を通して、様々な地域出身の人・大学の人・学年が違う人と出会えることができて良い刺激に繋がりました。
その中でも2日目に行われたグループワークの時間では、沢山交流する時間があって仲間とも距離を縮めることができたと思います。
興味のある分野でもあったので今後活動を行っていく中で・社会人として生活していく中で何かヒントになるようなものが得られたと感じています。
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今回のインターンシップを通し、参加者の皆さんには現場を見てもらったり、関係者の話を聞いたりしたり、幅広い体験を通してホッカイという企業に向き合ってもらいました。
参加者は、就職活動を経験した人、道外出身だけど道内就職がしたい人、就職活動とは?という人、と様々な属性に分かれていながらも、お互いを知り合い尊重し合うことでグループワークを進めてくれました。
この記事を読んでいる方の中には、「インターンシップってなんだろう?」「インターンシップに参加しようかな……」と迷われてる方もいるのではないでしょうか。
会社の雰囲気や事業内容だけではなく、3日間のなかで道東や釧路の魅力を知ることもできます。また、他大学の学生との濃厚な交流も、釧路市インターンの醍醐味です。
釧路市インターンは、また来年も実施予定です!
来年、釧路市で皆さんとお会いできることを楽しみにしています!
ドット道東編集部
この記事は、一般社団法人ドット道東のスタッフが書いています。