オホーツクエリア
畜産業務 営業

東京から果ての地への移住って?副業との掛け持ちで働くジョイン永澤さん

ただいま募集期間外

株式会社ジョイン

紋別市渚滑町4丁目29-24

2014年4月に創業し、紋別に拠点を置きながら主に道内の酪農家を支える事業を行う株式会社ジョイン。2021年に当サイトで掲載した記事を読み、東京から移住してきた北海道出身のスタッフがいます。当時ITエンジニアとして働いていた永澤慶章(よしあき)さんです。

▲過去の記事はこちら
▲支社長候補募集についてはこちら

永澤さんは、釧路生まれで東京と札幌育ち。札幌市内の大学を卒業後、都内で就職しました。「もともと、地域的な特性から紋別という町には関心がありました。その上で農林水産業に関わる事業で起業をしたいと考えていて、『道東ではたらく』の記事を読んでコンタクトを取りました」ときっかけを振り返ります。

ジョインでは、道外から就職したいという問い合わせは初めてでした。代表取締役社長の細谷昌弘さんは、「夢と希望を持った若者が東京からわざわざ地方に来てくれようとしている。正直、受け入れる自信がありませんでした。がっかりさせたくない思いもありました」と打ち明けます。「だからこそ入社前に何度も話をしたいと考えました。そして、まずは紋別に来てもらって私たちの仕事のありのままを見てもらう。その上で双方が一緒にやりたいと思えたら仲間になろうと思いました」と話します。

▼細谷さん(左)、永澤さん(右)

細谷さんの言葉から、採用に至るまで丁寧に対話を重ねたいという思いがひしひしと伝わります。そこには、今までの苦い経験がありました。設立当初は慢性的な人手不足で猫の手も借りたい状況。求人誌などで募集しても応募は少なく、ジョインに少しでも興味を持ってくれた人には「とりあえず一緒に頑張ってみよう」と声をかけ採用してきました。しかし、何事にも得手不得手や相性はつきものです。

「創業当時は『できない』という人に無理をさせていたことに気づいたんです。当時は自分も仕事を回すことに精一杯だったので、無理強いさせてしまっていました。本人にとっても、私にとってもよくないことでした。当時の反省から、ジョインに興味を持ってくださった方とはコミュニケーションを重ねて、現場を必ず見てもらった上で双方の意思を確認し合うことを大事にしています」と細谷さん。

永澤さんは、なぜ縁のなかった土地や仕事に飛び込む決意を固めたのでしょうか。現在の仕事内容や働き方についても聞きました。

<こんな人におすすめ>
・一次産業を支える仕事に興味がある方
・北海道に住んでみたい方
・地域で、起業などに挑戦をしたいけど、副業も探している方
・ライフスタイルにあった地方移住をしたい方

<会社概要>
▼雇用形態
正社員、時短正社員、契約社員、季節雇用、(働き方や希望に応じて)

▼仕事内容
主に酪農家を巡回し、殺虫・殺菌剤の散布作業、牛舎通路のコンクリート切削工事、石灰の塗布作業及び受注業務など営業・作業の業務に従事。営業活動は主に正社員、もしくは時短正社員が行いますが、ノルマなどはなく、初対面の方に営業かけるのが苦手であれば、すぐに営業をする必要はありません。各人の特性に合わせ仕事を進めてもらいます。※そのほかの詳細は最後に記載

ジョインだったら彼のやりたいことを応援できるかもしれない

永澤さんが細谷さんに話を聞きたいと連絡し、2022年3月に東京で会うことになりました。当時、会社員として働きながら個人事業主として副業もしていた永澤さんは、包み隠さずに考えていたことを全て細谷さんに話したと言います。

「北海道に戻ろうと考えた経緯と自分がやりたい事業のこと、いずれやりたいことができるようになったら退社するかもしれません、とまで話しました。記事を読んで柔軟な働き方ができそうだと感じたので、ジョインと一緒に描きたい未来についても話しましたね

入社前から独立を視野に入れていた永澤さんを、細谷さんは前向きに受け止めました。

「副業が世の中に浸透してきたけれど、しっかり応援できているところは少ないと感じていました。もしかしたら私たちだったら彼のやりたいことを応援できる環境をつくれるかもしれない。だからとりあえず紋別に来てもらって、ジョインの仕事を見てもらいたいと伝えました」

それから2ヵ月後のゴールデンウィーク。永澤さんは紋別に足を運びます。まだ入社は決めていませんでしたが、空港には細谷さんが迎えに来てくれ、一緒に農家さんを3軒ほど回りました。ジョインでの主な業務として牛舎のハエを駆除するための殺虫剤散布があり、現場を終始見学しました。

「よくある就活生に向けたデモンストレーションではなく、ありのままを見させてもらったので具体的な働き方のイメージができました。散布前後で牛舎内の視界や音まで違うくらい結果がはっきり出ます。ハエがいると牛もストレスで尻尾を振ったり、バタついたりしているのですが、いなくなるとみんな大人しくなって、まったりして静かになる。いい意味でシンプルな価値を提供していると感じました」

永澤さんが紋別に興味を持った理由の一つとして、災害が少ない地域であることが挙げられます。札幌と比較すると、雪もかなり少なく快適のようです。もう一つは、ITエンジニアとして近隣の北見市に派遣された経験から、北海道に可能性を感じたことを挙げます。

「北見で出会った株式会社エース・クリーンの取り組みに強く惹かれて。木材から牛の餌づくりをして、その餌を食べた肉牛の生産性が上がることを実証していました。具体的には、健康状態がよくなったり、肉質が向上したり。不要で使い道がなかった木材が、この先使い方次第で必要不可欠なものになるかもしれないですよね。釧路生まれとしては北見は百キロ以上離れているとはいえ、お隣さんという感覚。こんな身近に面白いことがあったんだと。可能性を感じたので、いずれ戻りたいと思ったんです」

それでは北見でもよかったのでは?と投げかけると、「北見に移住するという選択肢もなくはなかったのですが、北見にはすでに知り合いや友達もできていたので甘えてしまうと思って。だったら、興味を持っていた紋別に行ってみようと。それこそ細谷さんが最初の友達くらいの入口で。入って大正解でしたね」と笑います。

実際に働いて大変なことは?

▼「寒さに対しての不安で移住を留まっている人には、冬に一度来てみることを勧めたいです。冬にしか見られない景色や体験ができることをもっと知ってほしいですね」と話す永澤さん。この日は仲良しの酪農家さん宅でスノーモービルを楽しんでいました。

そうして意思を固めた永澤さんは紋別への移住を決意。最初の壁は、家探しでした。紋別に限ったことではありませんが、道内の人口の少ない市町村ではインターネットで物件を探しても出てこないことがあります。地元の不動産屋さんが物件情報を提供しているので、細谷さんの知り合いなどをツテに細谷さんが積極的に物件探しを手伝ったそうです。

「紋別まで何度も来るのはさすがにできないでしょうし、新しい世界に飛び込もうとしている永澤さんを応援したい気持ちもありました。私の方でも調べて永澤さんに伝えたり、実際に内見して写真や動画を送りました」

永澤さんは当時を振り返り、「特に物件まで足を運んでくださって撮影した動画が大きな参考材料となりました。社長自らがここまでしていただいて心強かったですね。細谷さんの助けなしには、移住までたどり着けなかったです」と話します。

生活に必須の車も購入した上で9月に移住し、入社。細谷さんによると、車探しに不安があればサポートの体制も整っているとのこと。まずは先輩社員とともに現場に入り、殺虫剤散布の仕事から覚え始めました。基本的には1日に7~10軒ほどの農家さんを回ります。作業には1ヵ月ほどで慣れていきましたが、最適な方法を見極めるまでに時間がかかると言います。

「牛舎は十人十色で、天井の高さや形などまったく同じものがありません。それぞれの牧場での最適解を見つけられるまでにまだまだ時間と経験が必要です。ただ殺虫剤を撒くだけでいい、というわけではない。牛たちの様子を確認しながら、どのように薬を撒いていけば効率よくハエが死滅するか毎度頭を悩ませます。終了後に地面を見ればすぐに正しい判断ができたかがわかるので、その繰り返しですね。また、現場には基本的には一人で行くので、トラブルの対処も必要です。例えば仔牛が急に飛び出してくるとか、機械のトラブルも考えられます。不安はありますが、事前に先輩たちに事例と対応策を聞いて備えておくようにしています」

殺虫剤散布の仕事以外にも「溝切り」という作業があります。「溝切り」は牛が過ごしやすい環境づくりのための重要な仕事です。殺虫剤散布の仕事よりも頻度が少ないため、まずは動画で学び、現場で実践していきます。

「溝切りは、いわゆる工事仕事。段取り8割だと先輩に言われています。動画を観ただけではもちろんイメージができなくて、現場に入って初めてわかること、必要な準備が見えてきます。殺虫剤は単独行動ですが、溝切りはチームワークの仕事。どちらも牛のためになるというのは変わりません。これまで経験してきた仕事とは180度違うので、慣れるまでに時間はかかりました。逆に、機械整備の仕事をされていた方は飲み込みが早いと聞いています」

ジョインで働くことで見えてきた、自身の事業に活きる点

▼牛乳消費拡大を願い、ジョインが作った「牛乳専用タンブラー」で牛乳を飲む永澤さん

永澤さんは、ジョインで月曜日から金曜日まで働きながら、個人事業主としてITエンジニアの知見を活かした仕事を続けています。ツール導入のコンサルティングやシステム開発を請け負いますが、今のところは土日に作業時間を充てることが多いようです。「ジョインを通じて酪農家さんが抱える困りごとに気づく機会が多く、事業のヒントになっています」と前を向きます。

「たくさんのお客さんがいるので、雑談の中でも見つけられます。また、移住して実際に地方に身を置く中で、地場の雇用や経済を支えている中小企業のデジタル分野における課題も見えつつあります。そこに自分がつくりたいサービスをどうマーケットインさせるかを探っているところです。数え切れないくらい困っている姿をこの目で見て、大きな需要を感じています。デジタル分野での仲間を増やすことが今年の目標ですね」

細谷さんは、目標に真っ直ぐな永澤さんに対してこう評価します。

「彼の働き方を見ていると、ジョインも一生懸命やってくれているし、自身のやりたいことに対してもどんどん進んでいっている。両方とも大事な仕事として向き合ってくれています。だから、何年後になるかはわからないですが、独立しますと言っても寂しいですが応援したいです。お互いに仕事を頼めるような関係性になりたいですね」

あなたが想像している以上のことが、ここではできるかもしれません。「北海道に憧れを持っている人はたくさんいると思うんです。その憧れとリアルの距離を縮めたい。まずは来てもらって、こんなことができるということを体験してほしい」と細谷さん。飛び込もうか躊躇してしまっているなら、まずは遊びに来てみませんか。そこから開ける道が必ずあるはずです。

▼永澤さんのインタビュー中も軽食の段取りなど裏方作業をしてくれる細谷さん

株式会社ジョインでは、一緒に働く仲間を募集しています

<募集内容>

https://www.join2join.co.jp/recruitment

お問い合わせをいただいた方先着10名様へ!!
ジョイン謹製「牛乳専用タンブラー白」をプレゼントします。ぜひ気軽にお問合せください。

ライター

高山 かおり

音更町生まれ。帯広三条高校を卒業後、北海道ドレスメーカー学院へ進学。卒業後、都内のセレクトショップで販売員として5年間勤務。在職中の2009年、ルミネストシルバー賞受賞。その後都内書店へ転職し、雑誌担当を務めたのち18年に独立。現在は、国内外のマニアックな雑誌に特化したウェブサイト「Magazine isn’t dead.」を運営しながらライターとして活動。Magazine isn’t dead. としては小売だけでなく、国内の雑誌やアートブックの卸売サポート、洋雑誌のディストリビューションなども手がける。19年より、十勝毎日新聞「東京圏NOW」毎月第3火曜の執筆を担当し、関東圏で活動している十勝出身者への取材を続けている。

  • Website