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【ドット道東ではたらく】冬限定のフユコミット!吉田拓実<ボードメンバーインタビュー>

道東の未来をつくるコミュニティ「DOTO-NET」学生サポートスタッフの平塚真子です。

北海道の道東エリアを拠点に活動するドット道東は、2025年3月現在、フユコミット含め11名のボードメンバーで構成されています。

一般社団法人ドット道東とは?

道東に関わる全ての人たちが、自分たちの理想を実現でき、住むと決めた場所で楽しく生きられる。

そんな未来を目指して活動していますが、
一体、ドット道東ってどんな人が働いているの?どんなお仕事をしているの?
こんな質問をいただくことが多くあります。

道東の他、東京や大阪を拠点にしているメンバーもおり、全員がフルリモート。二足以上のわらじを履いていたり、地元は道東ではない等々……経歴もさまざまです。

このボードメンバーインタビューでは、ドット道東で働くメンバーのことをもっと知ることができます。

今回インタビューするのは、ドット道東 フユコミットメンバーの吉田拓実です。

吉田拓実/フユコミット

東京大学大学院博士課程修了、博士(農学)。 2011年より株式会社リバネスでコンサルティング、地域開発、教育事業に関わる。教育開発事業部では部長を務めた。2019年、オホーツクの美幌町に移住し、新規就農に向けた研修を始める。3年間の研修を経て2022年4月から美幌町でさいこうファームとして営農を開始。2024年11月より、冬期間限定で一般社団法人ドット道東にフユコミットしている。

オフィスで働く会社員から畑で働く農家に

ーー現在は美幌町で農業を営んでいる吉田さんですが、前職は東京で会社員だったのですよね?

吉田 前職は株式会社リバネスというところで働いていました。リバネスという会社は、研究者が集まって、「科学技術の発展と地球貢献を実現する」という理念のもと、あらゆる対象に研究をわかりやすく伝えられるということを武器にして、なんでもやるような会社です。僕自身は、リバネス入社前は大学で植物の分子生物学、細胞や遺伝子を扱う分野の研究で博士号を取得しています。

リバネスは、科学教育、研究開発、人材育成、創業支援などを中心に活動していますが、僕はその中で科学教育を行う教育開発事業部というところで長く働いていました。

ーーなぜ就農しようと思ったのですか?

吉田 きっかけはリバネスで働くうちにいろんな挑戦をする人に出会い、自分も何かを始めたいと思ったこと。いざ何をやろうか考えているときに、妻が「農業をやりたい」と言っていたこともあって実際に動いてみることにしたんです。僕も妻も農学部出身だったし、僕自身、生きているうちに農業をやってみたいなと思っていたので。

それで、とりあえず、試しに農業フェアに行ってみることにしたんです。農業フェアに行ったら僕たちみたいに軽い気持ちで来ている人たちは全くいなくて、気後れしてたんだけど、せっかく来たから一つは話を聞いていこうと思って。なんとなく農業なら北海道というイメージがあって、北海道全体を対象としているブースにいたおばちゃんに話を聞いてみたんだよね。

ーー農業だったら北海道というイメージはあるのですが、北海道の中でもなぜ道東を選んだのですか?

吉田 話を聞いたおばちゃんから「札幌近郊とか大都市近郊とか人気のあるところよりも、ちょっと外れた場所のほうがいい条件があったりするよ。例えば、隣にブースがある美幌町とかかな」と言われたのがきっかけ。

それまで、美幌町なんて聞いたこともなかったし、オホーツクは社会で習ったな、網走があるところだよな、くらいしか知らなかったけれど、担当者の方がなんだかいい感じだったんだよね。新規就農の受け入れはもちろんだけど、今後教育活動もやりたいし修学旅行の受け入れもやりたいしみたいにいろいろなことを考えている方で、「なんだか、おもしろそう」と思ってフェアの数ヶ月後には美幌町に行くことにしたんだ。

で、実際に行ってみて、すごく良かったんだよね。活躍している先輩新規就農者は素敵な人だったし、実際に畑で農作業の体験もしたんだけどなんとかできそうだなと思えた。それに、そのときにもらった『HARU』というフリーペーパーに載っていた遠軽で新規就農した江面さんの記事がかっこよくてね。

ぼくもこの景色の中で暮らしてみたい」と思うようになったんだ。

これまではオフィスで朝から晩まで仕事して帰るっていう生活をずっとしていたんだけど、太陽の下、自然の中で暮らす時間が僕の人生にあってもいいな、やるなら年を重ねてからじゃなくて、今だなと思って就農を決めたよ。

ーー実際に道東の美幌町に就農して3年経ちますが、美幌町での生活はどうですか?

吉田 美幌町を選んで良かったなって思ってるよ。

美幌町に来てから会う人、会う人みんなとても良い人たちで、僕らが農業がうまくいかなくて畑に雑草がたくさん生えていても怒るんじゃなくて心配してくれて、助けてくれる人たちばっかりなんだ。人に恵まれてるなって思う。

この先、万が一農業がうまくいかなくて辞めることになったとしてもここで暮らしたいなと思ってるくらい気に入ってるよ。

ーー東京と比べて暮らしにくさとかはないですか?

吉田 特にないかな。もともと、あれこれ買い物したいタイプでもなかったし、インターネットさえあれば、大体のことがなんとかなるしね。それに普段の暮らしは、町の中にスーパーやドラッグストア、ホームセンター、それと一通りの病院や学校があることで十分満足しているよ。これから先、子どもが成長するにつれて、また変わってくることもあるかもしれないけどね。

とにかく、今はこの美幌町が自分の場所だなと感じているよ。東京が実家なんだけど、東京に行く方がアウェイな感じがするくらい。

夏は畑や自然が多くて気持ちいいし、気温や湿度も東京と比べるととても過ごしやすい。冬はすごい寒いんだけど、それも外に出る機会が少ないからあまり気にならない、それに雪が積もって真っ白になる世界が好きなんだよね。道東の暮らしは気に入っているよ。

それと道東は良くも悪くも人が少ないから何か始めると目立つんだよね。だからライターやれるよみたいなことを言っていたら、一緒に仕事をする仲間ができたりとか、「これできますか?」って仕事があったりとかする。これまでは「リバネス」っていう会社の名前でしか仕事をしていなかったけど、今は「吉田拓実」という自分の名前で仕事を受けて、回していけるようになっているからそこもすごくよかったなって思ってるよ。

ドット道東との出会いはフリーペーパー

ーードット道東との出会いはどこだったんですか?

吉田 移住してしばらくしてから、新規就農するきっかけの一つだった『HARU』に載っていた遠軽の江面さんの家に遊びに行ったことがあるんだよね。そのときに『HARU』を作った人としてドット道東の中西拓郎くんを紹介してもらったんだよね。「中西くんに絶対会ってみなよ!」って。

それで、美幌に戻ってから実際に中西くんと会ってみて、それからライターとしてドット道東の仕事に少しずつ関わるようになったよ。

ーー1枚のフリーペーパーから全て始まっているんですね。

吉田 そうだね。それで、何度か仕事しているうちに仲良くなってきて、僕の前職がなんとなくドット道東と似ている部分があって、中西くんといろいろ話すようになったんだよね。リバネスは「研究」を軸にあれこれやっている会社で、ドット道東は「道東」を軸にあれこれやっている会社だったからね。

中西くんがうちに泊まりに来てくれたときに、「ライターとしてではなく、もう一歩踏み込んでドット道東で働かせてくれない?」という話になったんだ。もともとぼくはライターとして働くより、全体のプロジェクトマネジメントとかをやるほうが得意だったからその方が役に立てると思ったんだよね。

夏は農業があるけど、冬だけならしっかりコミットできるし。「冬だけフルコミットするから『フユコミット』とかどう?」って冗談話をしてたのが、実現しているのが今なんだ。

ーーフユコミットではどんなことをしていますか?

吉田 今シーズンでずっと関わっているのは「国立公園ものがたり」という「自然の郷ものがたり」の流れを組んでいるような雑誌の制作かな。今回は大雪山国立公園、釧路湿原国立公園、西海国立公園、雲仙天草国立公園の4ヶ所を対象に日本語と英語の冊子を作る仕事が動いているよ。

ーー「ライターよりプロジェクト全体を見ていく働き方」というお話もありましたが、そういう面で何か活動していますか?

吉田 国立公園ものがたりもライターではなく、進行管理や編集が主な仕事になっているよ。ボリュームもだいぶ大きいし、かなり多くの人が関わっているからまとめていくのは大変だけど、出来上がりが楽しみだね。

それ以外にもDOTO-NETの盛り上げみたいことも高橋りうさんや、須藤か志こさんと一緒にやったりしているね。

あとは、DOTO-NETのカンパニー集めも、野澤一盛くんやりうさんと進めているよ。冬の間にドット道東の新しい仕事を作って、農業に戻るというのを意識しているんだよね。今後のドット道東に対して種をまいておきたいなと。

今ドット道東は、北見周辺の会社であったり、道東の企業をメインに一緒に仕事をしている感じなんだよね。今後は道東外の企業とも仕事をやりたいよねっていう話も上がっているんだよね。

夏は農業、冬はドット道東ではたらく

ーー夏は農業一筋ですか?

吉田 うん。普通に農業をやっているよ。作っている作物は、ブロッコリー、トウモロコシ、ジャガイモ、サツマイモ、アスパラガスが中心。

ブロッコリーは、道東のアークスグループ系のスーパーに販売されてる。
トウモロコシは、AIRDOとかANAとか空の便を使って、東京とか沖縄に運ばれてるよ。

農業はまだまだうまくいってるというわけではなくて、うまくいくようにもがいているような状況なんだよね。

ーー今年のフユコミットはどうでしたか?

吉田 去年に比べるとより一層、みんなで向かっていく先を考えてるなって感じたかな。ドット道東のビジョンって「理想を実現できる道東にする」なんだけど、最近はそれを本当に実現するために動き出しているなって思う。

去年の冬にDOTO-NETを立ち上げていて、一年間着々と進んでいたんだけど、この冬に入って、ビジョンの実現に向けてDOTO-NETをどうやってさらにレベルアップさせるかみんなで考えているんだよね。

ーーなるほど。具体的にどんなところにそれを感じますか?

吉田 今まではWeb制作であったり冊子の制作であったりとか、制作物系をやっていることが多かった気がするんだよね。それは今も変わらないと思うんだけど、少しずつ、制作物づくりと連動して、道東のコミュニティであるDOTO-NETに力を入れてきていると感じているな。

この先、本当に道東を夢を実現できる場にしていくために、個別の仕事をしっかり進めるのはもちろんだけど、それぞれの仕事をちょっとずつリンクさせていく。その中心となるのがDOTO-NETになるんだと思う。僕も一緒にその動きを一歩前に進められたかなと思っているよ。

ーー最後に、ドット道東を通して、チャレンジしてみたいことや叶えたいことはありますか?

吉田 僕は2歳と5歳の子供がいるんだけど、道東は確かに東京と比べると教育の機会だったり、夢を実現する機会が少なそうに感じているんだよね。

ドット道東で一緒に働くことで、僕の子どもたちのように道東で暮らす次の世代が中高生になったときや大人になったときに「あれもできそう!これもできそう!」というような世界を作れたらいいなって思ってるよ。

仕事探検メディア「#道東ではたらく」では、求人の他にも、道東で開催したインターンのレポートや道東ヤングが執筆したコラム等、さまざまな記事を公開しています。ぜひご覧ください。

DOTO-NET学生サポートスタッフ

平塚 真子

2003年生まれ、北海道訓子府町出身。21年間ずっと道東・オホーツクに在住。幼い頃から道東の自然探しとカフェを巡る「道東めぐり」が日常。大学での講義を機にドット道東にコンタクトする。2024年よりDOTO-NET学生サポートスタッフとして携わっている。趣味はソフトボールとスキー。