【前編】夢を叶える町、弟子屈町で地域おこし協力隊を募集します
こんにちは。
オホーツク、美幌町で農業とライターをしている百目木(どめき)です。
道東では本格的な冬の時期を迎えています。外で作業をしていると、「クゥー、クゥー」という鳴き声とともに頭の上を白鳥の群れが通り過ぎます。シベリアから越冬のために渡ってくるこの鳥たちの一部は、日本一のカルデラ湖としても有名な屈斜路湖畔で羽根を休めます。
今回の「#道東ではたらく」の舞台は、この屈斜路湖のある町「弟子屈町(てしかがちょう)」です。
道東の中央部にあるこの町の大部分は「阿寒摩周国立公園」に指定されており、屈斜路湖の他にも、摩周湖、硫黄山など自然がつくりだした雄大な景観が多く存在しています。また、川湯温泉など、火山活動と寄り添った人々の暮らしが息づいていることも特徴です。
人口は7000人程度ですが、注目すべき点として、「管内で地域おこし協力隊の人数が一番多く、任期終了後も約9割の方が町に定住をしている」ということが挙げられます。
▲最近だと元UHBアナウンサーの川上椋輔さんが着任したことでも話題になりました。
この町が注目される理由とはいったいなんなのでしょうか?
前編では、募集を担当する弟子屈町政策課の鶴田さんから町のビジョンや協力隊を取り巻く環境についてお伺いします。
後編では、先輩協力隊の川上さん、高橋さんから仕事内容ややりがい、そして将来の夢についてお伺いします。
<こんな方におすすめ!>
・摩周湖や屈斜路湖、硫黄山など弟子屈の大自然の中で生活したい人
・地域おこし協力隊に興味があるけど、踏み出せない人
・地域の課題解決に興味がある人
・挑戦も失敗も楽しめる人
町の歴史を守り、未来をつくる協力隊を募集します
今回、弟子屈町では「町の歴史を守り、未来をつくる」2名の協力隊を募集します。
1人は『教育委員会社会教育課社会教育係』の所属で『郷土資料学芸員』として活動を行います。
現在、町では中心市街地の再整備を行っており、資料館の移転に伴い、膨大な資料を整理、保存していくプロジェクトが始まります。今回、このプロジェクトを町の学芸員と一緒に推進する方を募集します。この地域には、「種市資料」と呼ばれる個人で収集された貴重な資料をはじめ、地元「てしかが郷土研究会」が取集した資料などがあります。これらは同研究会でそれらの資料の保存を行っていますが、研究会自体も高齢化しているため、新たな担い手を募集します。弟子屈町ができたのが1940年代。その頃からの資料が多く、町の歴史を守る上でも重要な業務です。
もう1人は「まちづくり政策課政策調整係」の所属で「移住定住支援員」として活動を行います。
現在、様々な情報発信を行い、移住先としても注目を集めている弟子屈町ですが、実は、一番の課題点は「住む場所が無いこと」です。町の賃貸物件は常時ほぼ満室状態で、町中に空き家は数百件はありますが、その情報はまとまっておらず、家を手放したい人と借りたい人との間のマッチングが上手くできていません。そこで、移住フェアへの出展や、移住体験プログラムの実施だけではなく、空き家情報の調査などを行う移住定住支援員を募集します。町の未来をつくる上で重要な業務です。
<募集詳細はこちらから>
https://www.town.teshikaga.hokkaido.jp/kurashi/soshikiichiran/machizukuriseisakuka/533.html
5年で20名の協力隊が活躍
弟子屈町には、現在9名の地域おこし協力隊が着任しており、まちづくりの他、シティプロモーション活動、エコツーリズム開発、マンゴーをはじめとする果樹の栽培、ワインやチーズの製造など様々な活動を行っています。
▲最近着任された地域おこし協力隊の皆さんの就任時のインタビューが掲載されています。過去の経歴も、臨床心理士、宝飾関係、雑誌編集者、アナウンサーと個性豊かです。
「平成27年から地域おこし協力隊をはじめました。きっかけは、南弟子屈地域で小学校が閉校になったことです。『閉校に伴い、地域のコミュニティが希薄になるのでは』という住民の声から、廃校利用を含めて活用の方法を検討する協議会の運営事務局として、地域おこし協力隊を募集しました」と鶴田さんは当時を振り返ります。協力隊が行政と地域の橋渡し役を担い、事業は順調に進んでいきました。その様子を見ていた周囲の方から『協力隊にもっと様々な分野で活躍してもらいたい』という声があがり、次第に協力隊が増えていきました。
弟子屈町の地域おこし協力隊の驚くべき点は、任期終了後も9割の方が町内に定住しているということです。農業を継承したり、手作りパンの販売、ゲストハウス、ネイチャーガイド、アウトドア・アクティビティガイド等を開業したりと、さまざまな新事業を立ち上げ、町に活気をもたらしています。
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<弟子屈町地域おこし協力隊OB,OGの活躍>
▲カヌーガイド「cipiyak」(チピヤク)
※現在の地域おこし協力隊の活動の様子はこちらからもご覧いただけます。
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「応募者の皆さんに共通であるのは、『摩周湖や屈斜路湖、硫黄山といったここにしかない風景の中で暮らしたい』という強い想いだと感じます。でも実際に住むと良いことだけじゃなく嫌なこともあると思うんですよね。それでもここに住み続けたいと思ってくれるのは本当にありがたいことです。手前味噌ですが、弟子屈に住んでいる人たちの温かさや、『一緒に町を盛り上げたい』という雰囲気など、『人の魅力』もあるんじゃないかなと思います」と鶴田さんは気恥ずかしそうに微笑みます。
協力隊が活躍できる「仕組み」をつくる
協力隊と行政、そして町民とのコミュニケーションや連携が上手く進んでいる弟子屈町ですが、それは過去のある教訓を経てのものでした。
鶴田さん 協力隊の皆さんは行政と地域との間で働くため、地域の意見や、行政の取り組みをそれぞれに伝える橋渡しの役割も担っています。でも『協力隊がいてくれるから、お互いの想いが伝わっているだろう』と考えるのはそもそも間違えなんですね。過去には地域の方と協力隊の方がお互いもっと歩みよりたかったけど、なかなかうまくいかないということもありました。協力隊に活躍していただくためにも、そもそも地域と行政がもっと歩みよる努力をしたり、課題や意見を言い合える環境をつくっておくことが重要だと気付かされました。
そこで鶴田さんは、2年前から全協力隊員が参加する『協力隊ミーティング』を始めました。また行政側でも、協力隊が在籍する担当課で『担当係長会議』を行い、悩みや課題などを共有する仕組みをつくりました。協力隊同士、そして行政の担当課同士それぞれの横連携をつくりつつ、年に数回は必ず協力隊ミーティングの代表と担当係長会議との間で情報交換をしています。
また、働き方についても、町との雇用関係となる「会計年度任用職員」以外に、勤務内容によっては「個人事業主」として地域おこし協力隊の業務を受注する働き方を用意するなど、状況に応じて柔軟に対応しています。
「前者だと『公務員』となるため、勤務時間が決まっていたり、予算の執行に時間がかかったりと、柔軟な仕事やアイディアの妨げとなる場合もあります。そんな理由で活躍できないのは非常にもったいない。全部任せる事で失敗することもあるかもしれないけど、そういうことも含めて活躍してもらったほうが、町へのメリットになるのでは」と鶴田さんは考えています。
夢を叶えられる町づくりを
弟子屈町では、4月から新しい町の総合計画が始まります。
鶴田さん 実は、これも私が担当する業務の1つです。町民の方と一緒に町づくりの方向性について議論をし、『人口減少は仕方の無いことだけど、その中でも豊かだな、幸せだなと思える町づくりをしていきたい』というご意見をいただきました。だからこそ、現在、町に住んでいる方はもちろんですが、これから町に来る方にも夢をもって欲しいし、それが叶えられる町でありたいのです。
鶴田さん 応募される方は、様々な想いをもって弟子屈にこようとされていると思います。私達は皆さんの『弟子屈で活躍したい』という想いをしっかり受け止めます。行政も町も人も隊員も一緒になっていい町にしていきたい、だから思い切って来てほしいのです。
鶴田さんは力強く語ります。
弟子屈町にあるのは『ここにしかない大自然』だけではありません。
夢をもって飛び込んできた人が活躍できる場をつくる行政の皆さんや、温かく応援してくれる住民の皆さん、経験豊かな協力隊の皆さんがいます。
ぜひ、皆さんも弟子屈で夢を叶えてみませんか?
<募集詳細はこちらから>https://www.town.teshikaga.hokkaido.jp/kurashi/soshikiichiran/machizukuriseisakuka/533.html
<後編のご紹介>
弟子屈町先輩地域おこし協力隊の川上さん、高橋さんから仕事内容ややりがい、将来の夢についてお伺いします。
12/10に公開予定です。お楽しみに!
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百目木(どめき)幸枝
青森県八戸市出身。秋田県立大学、北海道大学院修了後、東京の研究開発ベンチャーで8年働き、2019年夫婦で退社&息子出産&北海道網走郡美幌町で農業研修開始。2022年の就農に向けて「さいこうファーム」の設立準備中。夫婦で編集執筆ユニット「再考編集室」を結成し、地域や人の豊かさを日々発信しています。
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中道智大
標茶町地域おこし協力隊。「人と動物の関わり」をテーマに写真を撮影している。狼が暮らしていた標茶町の森に、ラブ・ボルゾイ・シェパード・ビーグルと暮らしている。