【前編】無限の可能性を秘めた「知床牛」、その美味しさを世界に!〜オホーツク大空町東藻琴 カネダイ大橋牧場・精肉店肉将 正社員募集中〜
こんにちは。オホーツクの美幌町でライターと農業をしている百目木(どめき)です。
この季節、ソワソワとバーベキューをしたくなるのが道民の性。
焚き付けた炭でじっくりと火が通るお肉や海鮮はもちろん、アスパラガスやタマネギだってため息が出るほど美味しいんです。
さて、そんな網の上の主役とも言えるのが、牛肉ではないでしょうか。実は、北海道では、肉用牛の飼養頭数が全国1位、約53万頭の牛たちが飼育されています(令和3年 農林水産省畜産統計調査より)。
一般的に、加工肉や、スーパーなどで販売される価格の安い肉として流通することが多い北海道産牛肉ですが、ブランド和牛の生産によって地域に明かりをともそうとしている人たちがいることをご存知でしょうか?
今回の「#道東ではたらく」は、オホーツク大空町東藻琴のカネダイ大橋牧場・精肉店肉将が舞台です。
親子三代で生産をしてきた、ブランド和牛 知床牛。
「知床牛で、地域を明るくしたいんだよ。なんだっておもしろくなくちゃね」そう語るのは、カネダイ大橋牧場 代表取締役 大橋博美さん。
「飼育方法を探求した結果、知床牛の肉質が、日本のトップブランド和牛を超える可能性をもつことがわかり始めました。この美味しさを世界に伝えていきたいんです」。息子で専務の大橋遼太さんも続きます。
今回は、知床牛の生産を行う「カネダイ大橋牧場での飼育スタッフ」と、知床牛の精肉販売を行う「精肉店肉将での販売スタッフ」を募集します。
知床牛の可能性にかけた熱い挑戦が始まっています。
あなたもぜひ、一緒に挑戦してみませんか!
<こんな方におすすめ!>
・美味しいものや食べることが好きな人
・夢をもち、未来のことを考えられる人
・積極的に挑戦できる人
・一次産業に興味のある人
・牧場や精肉店でのお仕事に関わったことの無い人も大歓迎です
<募集詳細はこちらから>
株式会社カネダイ大橋牧場 募集要項
※掲載時より募集内容を変更している場合がありますので、最新の情報・詳細については、お問い合わせください
株式会社BigBridge精肉店肉将 募集要項
東藻琴から日本に通用するブランド和牛を
芝桜の名所としても有名な網走郡大空町東藻琴。その中心街のすぐ近くに知床牛の生産牧場であるカネダイ大橋牧場があります。
10棟以上の牛舎が立ち並び、約700頭の乳牛の他、約1500頭の黒毛和牛が飼育されています。丁寧な管理と独自配合の餌、そして藻琴山の銀嶺水によって愛情を込めて育てられる知床牛は、日本トップクラスの肉質が自慢です。
大橋牧場の歴史は、前会長の故勝美さんが馬喰(ばくろう:子牛の売買をする仕事)を行ったことから始まりました。
北海道では戦後、冷害や凶作で苦しむ農民達を救うために、デンマーク式酪農の普及が始まり、当時東藻琴村で乳牛導入計画の責任者だったのが勝美さんでした。
努力の甲斐あって、酪農は東藻琴の基幹産業の1つとして発展、勝美さんも現在の場所に牧場を拓き、息子の博美さんとともに乳牛や肉牛の繁殖や飼養を始めました。
しかし、ある問題に直面します。
「北海道和牛は全国的にも知名度が低くて、牛肉文化が始まった関西に比べるとまだ歴史が浅いんだよ。いい肉を作ってもスーパーの安売り用になっちゃってね。だから道内各所で、ブランド和牛を作ろうという話になって、白老牛、十勝牛なんかが生まれたんだ。
この町でも、日本中に通用する名前をつけたブランド和牛を作りたくて、『よし、知床だ!』って思い立ってね。推進協議会を作って、知床がある斜里町町長の午来さんや道知事の高橋さんにもお願いに回って、ありがたいことに知床の名前をいただけることになったんだ」。博美さんは当時を振り返ります。
高品質な肉質と地道な営業努力もあり、現在、知床牛は国内だけではなく、台湾やドバイなどの海外にも輸出をしています。
「知床牛もそうなんだけど、地域に新しい価値を作っていきたいんだ。それに、やるなら面白いことをしないと。それが地域に明かりをともすことになるんだからね」と、博美さんは微笑みます。
日本トップクラスの肉質を生み出す秘訣
大橋牧場では、牧場内で繁殖、または市場で購入した子牛を約30ヶ月間程度、肥育して知床牛として出荷しています。日本トップクラスの肉質を生み出す秘訣とはどのようなものなのでしょうか?
「特別な工夫は無いんだよ。毎日、おがくずが汚れてたらきれいにしてあげたり、餌を食べやすいように寄せてあげたり、牛たちの様子を見て、できることを1つ1つする。手間暇と愛情が何よりも一番大事なんだ。
だから餌にも気をつけていて、粗飼料(干し草などの繊維質の多いもの)は、オホーツクや根室管内のものを使っているんだ。北海道の牛なんだから、なるべく地域で採れた餌を使うことが安心や安全につながるんじゃないかって思うんだよ。『made in 北海道』だね」。
博美さんは、我が子へ接するように、牛と向き合うことで、知床牛のブランドを形作ってきました。
さらに、遼太さんは、知床牛の可能性を追求するため、肉の化学分析と飼料の改良も進めています。
『餌へのこだわり』って実は当たり前のことではないのです。例えば、ある2種類のブランド和牛の餌は同じということもありますし、トップブランド和牛でも、複数の生産者がそれぞれ独自の餌で育てているため、牧場ごとに味の違いが出てしまうこともあります。
知床牛は、美味しいものを安定して作り続けたいという思いから、大橋牧場1軒で、目の届く規模で丁寧に育てています。粗飼料の他、知床牛用に独自配合をした濃厚飼料(とうもろこしや大麦などのエネルギーが豊富なもの)を与えており、狙った肉質や味に近づけるために、データを見ながら飼料会社と研究を重ねています」と遼太さんは話します。
牛と肉と人をつなぐ新たな挑戦〜精肉店肉将〜
愛情こめて育てられた知床牛、「その美味しさを伝える場を作りたい」という思いから、2021年4月に遼太さんが立ち上げたのが、精肉店肉将でした。
実は、遼太さんは大学卒業後、日本有数の精肉店である京都中勢以(現、京中)で勤務した経験をもちます。
「大学在学時にあるイベントに参加した際、京都中勢以の方から『うちへ来ないか?』と、お声がけいただいたんです。
『家業を継ぐ気もまだ無いし、生産者が精肉店になることの意味ってなんだろう』と思ったのですが、尊敬していた祖父が他界したタイミングと重なっ
たこともあり、ご縁を感じた京都中勢以で働くことにしました」。
http://www.kyotonakasei.jp/about/
▲京都中勢以では、純血但馬牛(伝統的な黒毛和種牛。ある条件のもと肥育した但馬牛の中で、更に優れた肉質のもののみが神戸ビーフと呼ばれる)の精肉販売をしています。
このお店には、一般的な精肉店のようにお肉が並ぶカウンターがありません。お客様の希望や用途を満たす牛とその部位を都度切り分ける方式をとっています。
但馬牛にも多くの生産者がいるため、肉質が異なるんですね。そのため京都中勢以では、牧場に通い、様々な生産者の方との対話を通して、それぞれの肉の可能性を理解することを重要視していました。牛と人を知ることで、お肉を一番美味しい状態でお客様に届けられるという哲学を学びました」。遼太さんは当時を振り返ります。
さらに京都での修行中、知床牛の可能性を実感する出来事があったといいます。京都中勢以ではお肉の扱いに厳しく、切り間違えは許されません。とはいえ、練習のために高級な但馬牛を買うことも出来なかったため、大橋牧場から知床牛のブロック肉を送ってもらった時のことです。
「切り分けた知床牛を食べたら、但馬牛に遜色ないレベルで美味しかったんです。元々美味しいという認識はありましたが、一流精肉店で扱っているトップレベルのブランド和牛と比べても全く劣ってないってすごいことだなと思いました」。
事あるごとに「大橋牧場だったら、知床牛だったら」と考えるようになり、『知床牛の美味しさ』をもっと伝えていきたいという気持ちも大きくなっていった遼太さん。修行を経て、2017年に大橋牧場へ戻ると、牧場の経営や、日々の管理を学び、さらに繁殖や肥育方法の改良なども進めました。
そして、2021年「牛と肉と人をつなぐ」という京都中勢以の哲学を受け継いだ精肉店肉将を開業します。
一度食べた方に「美味しい」と言ってもらうこと、それを地道に繰り返した結果、知床牛の魅力が伝わっていくことを遼太さんは目指しています。
遼太さんは、生産者と精肉店、2つの目線から知床牛を見つめることで、新しい価値を生み出すことができると確信しています。
未来へ継承される大橋牧場プライド
遼太さんが牧場へ戻ってから行ったもう1つのことが、祖父の代から70年間かけて培ってきた大橋牧場の牛への接し方や思いを「大橋牧場プライド」としてまとめることでした。
https://shiretokogyu.com/farm_info.html
「祖父や父たちが牛と向き合い積み重ねてきた70年間の経験は貴重な財産です。言語化したり、数字に落とし込んだりして誰しもが共有できる形にすることで、仕事の質を揃えるだけではなく、スタッフが同じ目線で働くことができたり、牛に向き合うことにより多くの時間を使えるようになるんじゃないかと考えたんです」。
今回募集するスタッフに関して、遼太さんは、
「一緒に勉強をしながら、よりよい牧場や精肉店を経営する仲間を募集しています。一人ひとりが責任ある仕事を行い、地域から知床牛の魅力を世界に伝えていくスペシャリストとして活躍してほしいと考えています。
一方、学びのスタートラインは誰しも未経験者だと思っています。人も牛も、個性を引き出した育て方・付き合い方を目指しています。ですので、働いてくれる方々には、『こんな事をやりたい』、『あんな事をしてみたい』など、希望を抱いて実現していってほしいと考えています。
夢がある人、未来のことを前向きに考えられる方、大歓迎です。ぜひ、一緒にこの挑戦をしましょう」と、思いを語ります。
新しい価値で、地域に明かりをともす
さらなる目標について遼太さんに伺いました。
「知床牛の肥育期間は通常約30ヶ月なのですが、40ヶ月以上の長期肥育にも挑戦していきたいと考えています。長期肥育により、肉質や脂が熟成されていくことが分かっています。最近、36ヶ月肥育した知床牛のお肉で、味、香り、旨味において但馬牛を超えるんじゃないかと思えるものができてきました。
さらに、但馬牛のメス牛を飼育する計画も進行中です。現在、知床牛のベースになっているのは別の品種なのですが、場内で但馬牛を繁殖し、産まれた但馬牛の子牛に知床牛の肥育方法を行うことで、知床牛の可能性はさらに広がるんじゃないかと考えているんです」
知床牛の可能性を拓く、遼太さんの挑戦は止まりません。
「実は、知床牛の魅力を伝えることで、地元東藻琴やオホーツクの事を知ったり、訪れたりする人が増えてほしいという思いもあります。この町の人や食、自然、様々な価値をよりみんなに知ってもらうことで、地域を明るくしていきたいんです」。
知床牛の可能性を拓く熱い挑戦が東藻琴の大地で進んでいます。
「一次産業に興味はあるけど、自分で始めるのは難しい」と感じていたあなた、
「牧場の仕事は未経験だから敷居が高い」と迷っていたあなた、
そして
「美味しいものが大好き!」というあなたも、
ぜひ、一緒に挑戦しませんか?
ご応募お待ちしています!
<募集詳細はこちらから>
株式会社カネダイ大橋牧場 募集要項
※掲載時より募集内容を変更している場合がありますので、最新の情報・詳細については、お問い合わせください
株式会社BigBridge精肉店肉将 募集要項 <募集詳細はこちらから>
<お問い合わせ先>
〒099-3212 北海道網走郡大空町東藻琴84-1
TEL:0152-63-5529 FAX:0152-63-5530
mail:nikushou@outlook.jp
担当:大橋遼太
後編のお知らせ
【後編】無限の可能性を秘めた「知床牛」、その美味しさを世界に!〜京都からオホーツクに移住して、精肉店肉将ではたらいてみた!〜
後編では、森本さんが移住を通して感じたことや、肉将でのお仕事内容、そして今後の目標についてご紹介します。
KEYWORD
百目木(どめき)幸枝
青森県八戸市出身。秋田県立大学、北海道大学院修了後、東京の研究開発ベンチャーで8年働き、2019年夫婦で退社&息子出産&北海道網走郡美幌町で農業研修開始。2022年より「さいこうファーム」スタート。その他、夫婦で編集執筆ユニット「再考編集室」を結成し、地域や人の豊かさを日々発信しています。
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