十勝エリア
林業

働き方やコミュニティまでデザインする新しい林業を。正社員からスポットパートナーまで幅広く仲間を募集!

ただいま募集期間外

有限会社 大坂林業

北海道中川郡幕別町忠類錦町438番地

道東のはたらく情報を発信する「#道東ではたらく 」。北海道幕別町で新しい林業のスタイルに挑戦している(有)大坂林業のスタッフを募集します。

人口1,500人の幕別町忠類に、苗木(なえぎ)の生産をメインに新しい林業の可能性を拓こうとしている会社があります。

苗木とは、木の赤ちゃんのこと。

林業では、木を伐採をした後には新しい木を植えることが推奨されています。それは、次の山を育てるため。いま日本の森林の多くが、木を植えてから50年以上経ち、利用期を迎えていると言われています。全国各地で木が伐採されており、それに伴って植林(しょくりん)と言われる、次の山をつくるために木を植える作業に必要となる苗木の需要が増えています。

(有)大坂林業は創業71年。主力事業は、50年後の山をつくるための苗木の栽培です。

土をつくり木の種を植え、芽吹かせ、山に植えてもしっかりと根をはれる大きさまで育てた苗木を、地元十勝を中心に全国各地に販売しています。

特に着目したいのは、最先端技術を活用したコンテナ苗の栽培において、北海道のトップランナーであること。その他、造林・下刈り※、広葉樹の森での自伐型林業や新しい働き方への変化とチャレンジを通じて、新たな林業の可能性を模索している会社です。

今回の求人は、正社員やパートタイムだけではなく、ITなどの専門性を生かしたスポットパートナーやプロボノ、リモートワークスタッフまで、幅広く林業に関心のある方を募集します。

(※下刈り:山に植えた苗木のために、雑草や雑木を刈り取る作業のこと)

森の生まれるところ『苗畑』

写真提供:(有)大坂林業

みなさんは、苗木がどのように育ててられているかご存知でしょうか?

山から木を伐りだした後に、次の山を育てるために植林する『造林用苗木』や、街路樹や市街の緑化に使われる『緑化用苗木』を主に生産する(有)大坂林業の周辺には、小さな苗木が植えられた畑が広がっています。

写真提供:(有)大坂林業

他にも、クリスマスツリーとして大型商業施設などに出荷する木も、実は人の手で管理された広大な畑や山で生産されているのです。

会社の裏には冬になるとスキー場がオープンする山や、近くには地元のおいしい豚肉をつかったレストランなどがある、自然豊かな幕別町忠類。

大坂林業が管理する40ヘクタールの広い苗畑(なえはた)には、200万本もの苗木がすくすくと育っています。

苗畑のことを英語で「Nursery」といい、日本語では「保育園」や「託児所」という意味があります。生まれたての小さな木の赤ちゃんを、まるで子どもを世話するように手をかけて育てていくことから、こう呼ばれています。苗畑が「森の生まれるところ」といわれるゆえんです。

写真提供:(有)大坂林業

時代に取り残されている苗畑を、アップデートするために

大坂林業では10年ほど前から大規模な機械化を進め、『コンテナ苗』の生産に取り組んできました。

産業全体としても担い手の高齢化が進む林業では、いま盛んにスマート化や高性能化といわれていますが、それらは主に「木を伐る」ところや「伐った後の製材」の部分。

次の山を育てるための「苗を育てる」ことや「植える」作業については、まだまだ機械化している企業は少なく、体力的にもきついイメージがある仕事なのだと、代表の松村さんは言います。

大坂林業代表の松村幹了さん

松村さん 昔ながらのやりかたである畑で苗を生産するというのは、昨今増えている異常気象による影響も大きいし、自然に晒された土のため草をこまめに抜く必要があるなど、人がいないと育てられません。
温度管理されたハウスで生産する「コンテナ苗」であれば、極端な気候にもある程度対応できますし、調整された土なので畑よりも草がでにくい特徴があります。

大坂林業の敷地内には、コンテナ容器に植えられた苗木が並ぶハウスがいくつも並んでおり、温度や湿度の調整や水やりを自動でできる設備が備わっています。また、業界では珍しいロボットアームを導入し、苗が育つコンテナ容器に土を入れるなど、人がいなくてもできる作業を増やしています。

人がやらなくてもいいことを機械に任せて、空いた時間をもっと新しいことを生み出す時間にあてたり、休日を増やして家族との時間に使う……そのために大坂林業では機械化・省力化に積極的に取り組んでいます。

その結果、女性でもできる仕事が増えており、子育てをしながら空いた時間で働く人も増えています。人手不足が顕著である地方の中小企業が多いなかで、大坂林業には毎年、新卒の社員が入社しているそうです。

松村さん 10代の社員が60代のパートさんに指示をすることもあります。会社全体としては10代から70代までスタッフがいますが、世代の違う人たちが一緒に仕事をすることで技術や経験を伝えることもできます。それは意識して取り組んでいますね。

多世代が共存する組織には価値観の違いによる衝突や働きにくさなどが課題になりそうですが、大坂林業ではそれを〝話し合う〟ということで解消しています。

例えば休日について。季節性のある仕事のため、会社で規定している年間105日(有給休暇を除く)の休日は、個人やチームで相談して決めることができるのだそうです。また、特別な事情がなくても、有給休暇を積極的にとって生活を豊かにしてほしいということも、会社の想いとして日頃から伝えられているそうです。

最近増設したオフィスは木の香りに包まれています

松村さん 作業がたくさんあるときは土曜日も出勤しようとか、逆に作業がないときは多く休もうとか。個人単位でも決められるし、同じ作業をする人たちで話し合って決めてもらうこともあります。強い権限を行使することは簡単ですが、若い人が発言できなくなってしまいますから。会社全体としてはもっと休みを増やしていきたいと思っていますね。ただ、作業を計画するスタッフからは『休みが多すぎるからどうにかしてくれ』って怒られていますが(笑)でもそれはやることが見えているからで、いいことですよね。

一般的な林業会社では、土曜日は必ず出勤が義務付けられていたり、天気によって出勤の変動が激しいことが慣例となっていますが、働き方も柔軟に変えている大坂林業だからこそ、若い人から選ばれているのだと感じました。

変わっていけることが〝強さ〟

古くからある産業である林業の、特に次の山を育てることに苗木の供給で貢献してきた大坂林業が、機械化によって仕事を時代に合わせて変化させていくことや、柔軟な働き方を目指す理由を尋ねてみました。

松村さん 先が読めない時代だからこそ、変化しないでいると対応できなくなるという危機感があります。ただ、先が読めないなかでも、確実なことは『人は歳をとる』ということ。いま働いている人を見渡しても、必ず人は歳をとって働けなくなる。仕事として今は成り立っていたとしても、人がいないといずれできなくなる時がきます。それは林業が営まれる山村地域が持つ共通の課題だと思います。

大坂林業が〝変わっていく〟ことの一つとして、働き方以外にも新しい事業づくりに取り組んでいます。

昨今、注目されている〝自伐型林業〟などの小規模林業もその一つです。北海道の広葉樹の森の可能性を広げることができると松村さんは考えています。

従来型の大規模な伐採スタイルではなく、小規模の森林を機能として維持させながら、必要なだけの材を伐り出し、製品化も含めて活用していく林業スタイルです。

松村さんは5年前に山を取得し、現在は専任のスタッフとして入社した清瀬さんが森を維持管理しています。一つひとつの木の状態を見て、必要に応じて木を伐る作業や、広葉樹の伐採をしない春から夏にかけては、造林や下刈りといった山を管理する作業も行なっています。


大坂林業への入社を決めた理由を、清瀬さんはこう語ります。

清瀬さん 山登りがもともと好きで、前職でも週末はよく山に行っていました。木に関わる仕事がしたいなと思って、造園会社や民間の森林組合のような会社で働いた経験もあります。ただ、従来型の林業だと、とにかくたくさん木を伐る世界で。伐採のために道をつけるんですけど、伐り出すためだけの道で、伐った後のことや自然への気遣いを感じられなくて。これってどうなんだろうって思ったんです。

そんな疑問をもち調べていくなかで、大坂林業にたどり着いたという清瀬さん。代表の松村さんが持つ林業への課題意識が一致し、入社を決意したそうです。

松村さん 自伐型林業だけでは、独立して食べていくのはなかなか難しいんです。個人事業主型のひとり親方だと、伐った木材を運ぶ車も借りられないということもあります。せっかく志をもって林業に携わりたいと思っても、辞めちゃう人も多い。林業の適正がなかったとかならいいんですけど、環境や仕組みが合わなくて辞めざるを得ないっていうのはもったいないですよね。そんな課題解決も、大坂林業として一緒に考えられるようになったらいいと思っています。

取材当日、インタビューさせていただいた場所が、清瀬さんが管理する山の中でした。

伐った木材の出口としての商品開発にも取り組んできた大坂林業。山の中でいただいたのは、この山で採れた白樺樹液でドリップしたコーヒー。樹液を沸かす薪も、大坂林業で作っている薪でした。

マーケットよりも、人の興味関心が事業の種になる

会社の一角には山積みにされた大量の木材があります。

山を取得した5年前から、松村さんは薪の事業化に取り組んできました。2、3年前からロゴをつくるなどブランディングにも着手し、昨今の薪ストーブやキャンプブームも合間って、今では会社の中でも立派な事業として成長しています。

https://tokachi-firewood.com/

最近では、薪の生産で出た端材を、ソロキャンパー用の小さな薪として販売することにもチャレンジしているそうです。

休みの日にはよく薪を燃やしてリラックスするという松村さん。新しい事業へのチャレンジは、自分自身の興味関心から発展したものだと言います。

松村さん もともと北海道に憧れて移住してきました。薪の事業もそうなんですけど、自宅で薪ストーブを焚いているから薪を作り始めました。好きなんですよね、そういうライフスタイルが。僕は一般的なスタートアップの経営者とかとちょっと違ってて、新しいことをやるにも熱量があんまり高くないんです。…スローなんですよね(笑)ずっと売れなくても自分で好きでやってるからいいかって。それが一番無理がなくていいかなと思ってます。

最近では、北海道の積丹町で作られているクラフトジンに、木の香りをつけるために材料の供給もスタートしました。

https://shakotan-spirit.co.jp/index.html

松村さん 一般的に言われる林業は針葉樹へのアプローチがメインなんですが、特に小規模な林業の場合は、広葉樹の活用に可能性があると感じています。たとえば白樺の樹液をとるとか、樹皮をとるとか。丁寧に森から材料をとれば、製材や薪・クラフト雑貨への活用など様々な可能性を秘めていると思います。

今回の人材募集の大きな目的の一つとして、林業に多様な〝目〟をいれたいという想いがありました。

松村さん 例えば、百貨店でお客さんが一つひとつの商品を手にとって選ぶように、木工作家さんやお客さんが一本一本の木を良く見て「この木をください」って言って買っていってもいい。そして伐るところからしっかりと見てもらう。究極のトレーサビリティですよね。林業の現場って山の中だから一般の人には見えにくい。生産現場と消費者の隔離がずっと続いている林業に、もっと多様な経験をもった人や、木を見立てる人がはいることで、これまでになかった林業の可能性を拓きたいと思っています。

林業への関わり方にもグラデーションを

今回の募集は、正社員はもちろん、専門性を活かしたスポットパートナーや、離れた場所にいても関われるリモートワークスタッフ、週2日とか1日3時間だけなど、空いた時間に働きたいなど、採用スタイルが決まっていません。

その理由を松村さんはこう語ります。

松村さん 働き方ってもっと幅があっていいのかなって思っています。会社への依存度別にゆるやかに3段階くらい。例えば、正社員として入社するのであれば会社の方針に則って働きますが、自伐型林業を志す人はひとり親方でやってもらって、大坂林業にたまに働きに来て収入を安定させることだってできるはずです。ITや機械に詳しい人であれば、機械化を推進するプロジェクトにスポットではいってもらうとか。雇用形態は関わる人によってどんどん変えていきたいと思っています。

その背景には『林業の可能性を広げたい』という想いがありました。会社として取り組む事業も、関わってくれた人によって柔軟に変化していきたいと松村さんは考えています。

松村さん 人によって、森や木の見え方って違うと思うから。会社としてはガチガチでは面白くないし、僕の考えだけでいくんじゃなくて、「こういうのはどうだろう」って提案してもらって、面白かったら進めたいと思っています。そのために関わり方に幅を持たせる。そのほうが組織として面白くなれると思っています」

大坂林業が目指す〝林業〟は、働き方や周辺地域のコミュニティへの広がりの可能性を感じずにはいられません。

「山は場所でしかない」

けれども、日本の国土の7割は山が占めている…。だからこそ、その〝山〟に多様な人材が関わることで林業の可能性が拓き、そのモデルが全国に普及していくかもしれません。

松村さん 常々スタッフには〝愉快犯的にやろう〟と言っています。悪い意味じゃなくて。林業って課題はたくさんあるけど、眉間にしわを寄せて『課題解決だ!』っていうんじゃなくて、楽しみながら柔軟な発想でやろうと。それがどんどん積み重なると、『大坂林業や林業って面白いよね』ってなっていくと思うんです」

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北海道らしいライフスタイルで暮らしながら、そんな可能性に満ちた新しい林業に関わりたい人からの応募をお待ちしております!!

<こんな方にオススメ>
・森や木が好きな人
・いい感じに柔軟な人
・ライフスタイルに興味関心がある人

<募集概要>
【正社員】
・給与:職能に応じて要相談 ※経験者は加算あり
・手当:住宅手当(持ち家2万円、賃貸1万円)、交通費(15円/km)、山作業手当(基本給の0.3%加算)
・賞与:年2回3か月分相当
・待遇・福利厚生:社会保険完備(健康保険、雇用保険、労災保険)、年金(厚生年金)など
・勤務時間:8:00~17:00(1時間30分の休憩含む)
・仕事内容:苗畑作業全般、造林・下刈り作業など
・勤務地:北海道幕別町忠類錦町(山作業は近隣の山林)
・休日休暇:年間休日105日、有給休暇は勤続年数による
・応募資格:要普通免許(マニュアル)
・採用予定人数:5名

【パートタイム:苗畑】
・時給:875円
・勤務時間:8:00~17:00の間で設定可
・有給休暇制度あり
・交通費(15円/km、上限有)
・仕事内容:苗畑作業全般
・採用予定人数:5人

【パートタイム:山作業】
・時給:1200円
・勤務時間:8:00~17:00
・有給休暇制度あり
・交通費(15円/km、上限有)
・仕事内容:造林・下刈り作業、薪の生産・配送
・採用予定人数:3人

【ゆる募】
・苗畑作業のスマート化に興味のある人
・造林・下刈り作業のスマート化に興味のある人
・小さな製材所の立ち上げに興味のある人
・山村での生活に興味のある人
・山や苗畑の季節を記録できる人
  以上で何か提供できる技術やアイデアのある人は連絡ください。

<お問い合わせは大坂林業ホームページから>

https://osakaringyo.com/

カメラマン

s film memories (Samuel/Sae)

十勝エリアを拠点とした夫婦によるクリエイターユニット。十勝で育ち、心温まる映像と写真で実績を積み重ねてきたSamuel。東京で作品撮り・モデル撮影をし、結婚を機に十勝に移住したSae。それぞれ異なる感性と着眼点でシャッターを切る。ジャンルを問わず写真撮影、動画制作を行う傍ら、若手ビデオグラファーのオンラインコミュニティも運営。

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