北海道北見市にある株式会社やの組(以下やの組)は、北見市内を中心にオホーツク各地で一般住宅や店舗などの設計、施工を手掛ける建築会社だ。
創業して7年、既製品や決まりきった型にとらわれずお客様の要望に可能な限り応える誠実な物作りへのこだわりに加え、若い感性と丁寧な仕事が評価され、年々受注が増え忙しさが増している。
やの組では、現在、スタッフを募集しています。
(この記事は、一般社団法人ドット道東が2020年に6月に出版した「道東のアンオフィシャルガイドブック .doto Vol.1」に掲載した記事を再構成したものです。年齢などは、2020年の取材当時のものです)
<こんな人たちにおすすめ>
・「正直な家づくり」に共感する人
・インスタントなものづくりをしない人
・設計や施工管理の実務経験があり、「即戦力」になれる人
または、
・経理、総務、人事など事務面の経験があり助成金や補助金など積極的に活用できる人
または、
・建築初心者、経験者に関わらずやの組を使い倒して、やりたいことに挑戦したい人
<募集概要>
代表の矢野優太(やのゆうた) さんは、2020年で35歳になる。筆者はプライベートでも付き合いがあるため矢野さんの人柄はよく知っているが、やの組で働く上でもっとも魅力的な点は、代表の矢野さんの人柄なのではないかと思っている。
それを裏付けるように、「やの組の社風はのびのびとやりがいのある仕事に打ち込める環境がある」とスタッフは皆、 口を揃えるのは筆者にとっても合点がいく。
今回はそんな矢野さんとやの組で働くスタッフの方に詳しく話を聞いた。
はたらく人の声
―――お2人は普段どんなお仕事をされているんですか?
井上司さん(以下井上) 僕は普段プランニングを主に、時間があれば現場の管理もおこなっています。本当は現場に出るのが好きなんですけど、最近はなかなかその時間も作れなくて。プランニングについてはまだまだ勉強中なので悪戦苦闘しています。
赤松政宗さん(以下赤松) 自分は専門学校を卒業して、1年間他の会社にいてからやの組に転職して1年なので、まだまだ駆け出しです。
―――やの組に入社したのはどんな経緯でしたか?
井上 元々勤めていた会社は19年在籍していました。自分が困っているときに拾ってくれた会社で、 本当にお世話になったので、その恩を返したいなと思って働いていましたね。そういう意味で恩義を感じていたんですけど、だんだんとその会社が住宅建築の部門をあまりやらなくなってしまったんです。でも自分は家を建てるのが好きだったので、持て余している気持ちがありました。そんなときに矢野と再会……。僕のほうが年はずっと上なんですけど、実は同じ地域の出身でしてね(笑)、20年ぶりに会って。そのときに「仕事何してるの」という話になって、「大工してる」と言ったらウチに来ないかと誘ってくれたのがきっかけでした。
赤松 僕は前職の先輩が僕より先に辞めて、やの組で働いていたのがきっかけです。その先輩からすごくいいから来ないかって誘われて。
―――勤めていて、 いいなと思える点は?
井上 「任せてくれること」ですかね?そしてその上でミスがあったときでも矢野は「まあ、仕方ないっしょ!」って言うんです(笑)。誰でもミスはあるし、何回見たってダメなときはダメなんだからと。自分にないようなアイディアを彼は持っていて、やったことないことでも「いや、やってみないとわからないしょ」って言って。大変なんですけど、それでできることが増えていっているし、望んでいた住宅に関することなんで全然気にならないです。そして、任せてくれたこともミスを含め許容してくれるんで、その部分はやりやすいです。
赤松 僕は休日数や待遇が前と全然違うので、ありがたいです。あとは入社してからできることが増えていってるのが嬉しい。つくりものが多くなっていくのは楽しいです。
やの組の魅力
矢野さんは、建築の仕事内容についてこう語る。
「実は大工の仕事はそれほど難しくないんです」
建設会社のイメージといえば職人気質な厳しい縦社会、経験が物を言う世界、そんな背景を想像していただけに若干拍子抜けをした。
「そういう側面もたしかにありますが、基本的に今日初めて来る人にも仕事はあります。未経験の人でもできることがここには山ほどあります」
また、建築は3Kと言われ、収入の割にあまり人気がないのだという。そんな中でも、やの組で働く人たちは黙々と作業をこなしながらもどこか楽しそうだ。伸び伸び働ける空気感が会社にはある。
矢野さんの同年代は結婚、出産を経てちょうど家を建てるライフステージの年齢。若い経営者の飲食店や店舗など、デザイン性やセンスを問われるような場所の施工もおこなっていて、日々とても忙しそうだ。
さらにこう続ける。
どんな仕事でもそうだと思うのですが、最初はできないことやわからないことだらけ。でも、やればできてくるじゃないですか。挑戦の連続で人は成長するし、僕はとにかくなんでも失敗したっていいからやってみてほしいと思っています」
2人のスタッフが語っていた「任せてくれる」、「できることが増える」という言葉は、矢野さんのまずはやってみるという姿勢が生み出しているんだ、とこの言葉で確信した。
「ウチでは初日や極端な話最終的にはお客様と打ち合わせをしてその中で会社に残る利益を見て、自分がいくら給料を取れるかということも自ずとわかってきます。案件を提案できるスキルが身につけば1年で何棟手掛けて、いくらの利益が残るのか。裁量を持ってもらってお任せしています」
矢野さんの人柄は「任せる」ということと「責任を持つ」ということが一貫している。物腰の柔らかさの中に1本筋が通った強さと頼もしさがある人に任せてもらえることは背筋が伸びる一方、それに応えようという気持ちもきっと強くなるのではないだろうか。
「今年は海外の方も受け入れを行おうと思っています。昨年、旅行でヒマラヤを登ったとき、現地の人との経済格差に驚きました。彼らは日本に来て働く賃金をもらえれば家族みんなで過ごすことができます。僕らは最初に話した通り、いきなり来てくれても仕事がある。こちらとしてもとてもありがたいのです。中には日本で働くために建築の勉強をされている方もいます」(この取材は2020年2月に行っています)
「あと意識していることと言えば、休みの取得を徹底していることです。土日祝は必ず休み、お盆と正月、有給もしっかりと取ってもらっています」
創業間もないスタートアップと言っても差し支えない会社なのに待遇もバッチリ。「正直、経営者としてキツくないんですか?」と聞いたら、少しハニカミながら答えてくれた。
「法定の勤務時間で収まらないのは会社の責任ですから。工期を見誤ったり、人員配置を誤るのはマネジメント側の責任です」。言うは易し。これは推測だが、きっとこの環境を成り立たせるためには並大抵の努力では済まないのだろうと思う。完工後のアフターケアなども細やかに行う矢野さんは休みの日にも出社をすることがあるそうだ。「自分が働けばお金がかからないからね」と笑っていた顔が印象的だ。
やの組のこれから
別日(2020年4月中旬)にうかがった際、社会情勢を踏まえ建築業界の今後について聞いてみた。「こんな社会情勢になっても正直やることは変わらないのかなと思います。お客さんに求められている物を粛々と作るということを続けるだけです」
筆者の個人的な仮説だが、これから北海道に住むことや一次産業に近い仕事を志す人は増えるのではないか?ということを考えていた。都市化が進み、細分化される仕事の中、混乱が生まれた今にあってもう一度変わらない人の営みや持続的な仕事について見直されるのではないか。そんなことを矢野さんに伝えた後も「先のことは分からないです。それでもお客さんに寄り添って良いものを作っていきたいなと思っています」そう語ってくれた。
今回はやの組の求人についての記事を書かせてもらった。あえて条件面や待遇については詳しく言及していない。矢野さんの人柄や、やの組の社風に絞った紹介がもっとも訴求効果があるのではないかと思ったからだ。
やの組では、現在スタッフを募集しています。
ドット道東編集部
北海道の東、道東地域を拠点に活動する一般社団法人ドット道東の編集部。道東各地域の高い解像度と情報をベースに企画・コンテンツ制作をおこなう。自社出版プロジェクト・道東のアンオフィシャルガイドブック「.doto」などがある。