オホーツク・北見市から、「地球の健康を見つめる」 環境大善株式会社 社員募集中!【前編】
こんにちは。オホーツク美幌町で農業とライター活動をしている百目木(どめき)です。
道東のはたらく情報を発信する「#道東ではたらく 」。第7弾は、北海道北見市の「環境大善株式会社」が舞台です。
環境大善株式会社は牛の尿を微生物発酵させることで生まれた「善玉活性水」をもちいて、バイオ消臭液「きえ〜る」や、「液体たい肥 土いきかえる」など、様々な商品の研究開発・製造販売をしています。
主力商品の「きえ〜る」は、20年以上前から販売されており、最近様々なメディアでも取り上げられています。
注目される理由は、とにかく効果を「実感」できるから。
「善玉活性水の様々な効果は科学的には認められているのですが、なぜ効くのかというメカニズムについては未解明な部分が多く、次の課題となっています。ビジョンに共感してくれる新しい仲間とこの謎を明らかにして、善玉活性水をもっと世の中に役立てていきたいのです」と話すのは代表取締役社長の窪之内 誠(以下、誠)さん。お話する中で見えてきたのは、「消臭液の会社」の枠を超えた、ワクワクする未来でした。
環境大善株式会社では、一緒に働く仲間を募集しています
<募集内容>
<こんな人におすすめ>
・「地球の健康を見つめる」というビジョンに共感できる方
・自然や環境に興味関心がある方
・オホーツク北見市を拠点に、世界の諸課題を解決したい方
・わからないことや、はじめてのことを楽しめる方
・マーケティングやブランディング、研究開発に興味がある方
世界を救うのは”牛の尿”!?
「きえ〜る」の元になるのは、この液体です。
なんと原料は牛の尿。環境大善株式会社では、牛の尿を牧場から買い取り、微生物発酵を行うことで、この液体を作っています。
発酵とは、微生物たちが餌となる物質を変化させ、私たち人間に有益な新しい物質を生み出すことをいいます。
難しい点としては、「発酵」と「腐敗」が隣り合わせであることです。発酵が有益な物質を生み出す働きであるなら、腐敗は有害な物質を生み出す働きであり、大豆を発酵させたつもりが、嫌な臭いがしてきたら、それは腐敗なのです。
なぜ同じ物質を使っているのに発酵が起こったり腐敗が起こったりするかというと、様々な種類の微生物がバランスを取りながら隣り合って暮らしているからです。いい働きをする善玉菌、悪い働きをする悪玉菌、数が多い方に加勢するどちらでもない菌、大きく分けてこの3種類がいて、善玉菌が増えると発酵が進み、悪玉菌が増えると腐敗が進むとされています。
牛の尿についても同様で、発酵槽の中にいる数多くの微生物たちがバランスを取り合って住みやすい環境を整えることで発酵を進めていきます。そのためには、温度や、光や酸素条件、餌となる物質の種類など、様々な環境を調整する必要があり、繊細な目配りと高度な技術、そして季節にもよりますが、長い時間が必要です。
出来上がった液体は、牛の尿とは全くの別物。酵素、ミネラル、乳酸菌を含み、ある種類の菌の働きを抑え、善玉菌の働きを活性化している働きがあることから「善玉活性水」と名付けられました。
「牛の尿は河川に流れ込むと水質悪化や悪臭といった地域課題の原因となりますが、私達の持つ環境微生物群を投入して発酵させると無害化・無臭化でき、さらに、独自の工程で熟成・精製することで消臭や水質改善、植物の生長促進効果があることを発見しました。本来臭いのあるまま土壌散布したり、堆肥に染み込ますなど処理に苦労していた牛の尿を酪農家から買い取り、高付加価値商品へと変換すること(アップサイクル型循環システム)で、持続可能な循環型ビジネスと地球環境の改善を目指しています」と誠さんはほほえみます。
「効くけど、わからない」で終わらせない
当時、ホームセンターの店長をしていた現会長・窪之内 覚さん(誠さんの実父)が、効果のある消臭剤を探していた際に、この発酵液に出会い、可能性を実感したことから事業が始まりました。「地域課題の元になっていた牛の尿が、宝物になるかもしれない」と、62歳で株式会社環境ダイゼン(現 環境大善株式会社)を起業し、近隣のホームセンターや農協の資材店舗など着実に販路を開拓しました。
誠さんが入社したのは、2016年のこと。それまでは事務機器販売会社に勤務しており、微生物のことは全くわからなかったそうです。しかし、調べていくうちに、その可能性に引き込まれていきます。
誠さん 善玉活性水はもともと実感主義から生まれた液体で、使って優れた消臭効果を実感できたから、安全性試験をして商品化に至った訳ですけど、なぜ消臭できるのか、なぜ野菜が育つようになるのかって全然わかってなかったんです。でも、そこを解明して、きちんと伝えていかないと、使う人が安心して使えなかったり、もっといい使い方を見逃してしまったりします。『わからない』で終わらせないために、研究開発型の企業を目指すことにしました。
2019年に社長に就任し、2020年6月には北見工業大学内に「環境大善共同研究講座」を開設。大学と共同研究を中長期スパンで実施することで多面的な研究をすることを計画しました。翌月には「土、水、空気研究所」を設立し2021年4月には2人目の研究担当を採用。この1年で研究の体制が整ってきました。「牛の尿が善玉活性水になるメカニズム」や、「善玉活性水が消臭、水質浄化、植物の生育に与える影響」等について研究を行っています。また、自社の研究開発だけではなく、研究機関や企業、農家とも共同研究を行いながら、少しずつ謎を解き明かしています。
理念に「余白」を残して
誠さんが経営を引き継いで感じたのは、「善玉活性水の可能性や事業を通して達成したい未来像が、社外だけではなく、社内にも伝わっているか」ということでした。一人で早く進むより、仲間と遠くを目指すために、誠さんはリブランディングを決意しました。
そんな環境大善株式会社が掲げたビジョンが「地球の健康を見つめる」です。
「牛の尿による地域課題を解決するという事業から環境大善は始まりました。そして、最近では、自分たちがもっている環境微生物群に牛の尿を与えて善玉活性水を作り出し、環境問題に役立てることが我々のやるべき事業だと考えるようになりました」と誠さん。地球の健康を見つめることで見えてくる様々な課題に善玉活性水を役立てたい。その想いからビジョンは生まれました。
さらに、理念・ミッション・ビジョンや行動指針、ブランドプロミスなどを明文化し、社内の共通用語やプロジェクトの進め方などをまとめた「経営指針の書」を作りました。
誠さん 「よくわからないものを売っている、よくわからない会社」ではスタッフも胸を張れません。きちんと言葉にして、環境大善が見つめる未来を発信し続けることで、スタッフ一人ひとりも自分たちの言葉で話せるようになることが重要だと感じています。
いまある商品を売ることが目的ではなく、環境大善の文化を醸成し、社内外に浸透させ、より遠くの未来を創るための挑戦を誠さんは行っています。
誠さん それにしても「地球の健康を見つめる」って、すごくゆるいビジョンだと思いませんか?『地球を健康にする』じゃないんです。みつめて何するの?って。でも最近とても腑に落ちてきたんです。見つめた結果、気がつくことって人それぞれで、その人の興味や課題感で見えるものが変わってくる。つまり、このビジョンは仲間のアイディアを活かすためものだと思うのです。このビジョンに共感してくれる人で、例えば農業に課題感をもった人に来ていただけるなら、農業事業に力を入れるし、新しいことをしたいなら部署を立ち上げてもいい。そのための環境を整えます。
微生物も、組織も、人も、『善いものを創り出す=発酵』をするには、善い人が活躍できる環境を整え、時間をかけ、思いを発酵させる必要がある。これが微生物から学んだ「発酵経営®」であり、環境大善のミッションなのです。
オホーツク北見だからできること
環境大善株式会社がある北見市は人口11万人程度のオホーツク経済の拠点都市です。国立の理系大学である北見工業大学があり、教育環境も充実しています。市街地に足を伸ばせば、生産量日本一位を誇る広大な玉ねぎ畑が広がり、その他の農業、酪農や畜産、漁業といった一次産業が栄えています。
さらに、車で2時間圏内には大雪山国立公園や、世界自然遺産でもある知床国立公園があり、北海道の大自然を満喫することができます。
「『微生物という自然のものを相手にするんだから、自然にもっと親しもう!』と思って海や山に行きだしてから、ドハマリし、ほとんど毎週末どこかに出かけています」と笑顔の誠さん。
特に注目しているのが知床です。
誠さん 実は、知床は開拓により一度壊された自然が計画的に復元されて、世界遺産に登録された経緯をもつ世界でも珍しい場所です。1977年から始まったこの動きは「しれとこ100平方メートル運動」と呼ばれ、開拓跡地の買取、植林、そして原生の森と生態系の復元を目指す取り組みとして、今現在も進められています。
羅臼岳や温泉が流れるカムイワッカの滝、カラフトマスとヒグマたちの命のリレー、羅臼沖のシャチや鯨たち。こういうものを見ていると、地球が作り出したもの以上のものは作れないと感じます。僕らも『環境を壊さない』という事業をしています。一歩進めて、環境を元に戻す、よりよい環境にするためには、ということを考えると、知床の事例から学べることがたくさんあるのです。
誠さんは、自然との共存共栄を進める知床を観察することで、事業のあり方を日々見つめ直しています。
2019年には公益財団法人 知床財団の特別法人会員になり、活動の支援や情報交換を行っています。また、一般財団法人 自然公園財団とのつながりも深く、各地の山小屋やキャンプ場にあるトイレの消臭用に「きえ〜る」を毎年採用いただいています。
誠さん さらに、善玉活性水の原料となる牛の尿を確保することは、札幌や大阪、東京ではできません。網走、別海、標津に中標津、十勝、興部といった北海道の酪農地帯の中心にある北見は、善玉活性水の原料である牛の尿を安定的に入手する上で重要な拠点なのです。大自然に囲まれている北見だからこそ、未来の環境を考える私たちの仕事がより創造的になるのです。
今後は、北見やオホーツクの産業ポテンシャルを活かし、善玉活性水を用いて一次産業を盛り上げる計画もしています。
微生物発酵をコア技術にした「アップサイクル型循環システム」で、牛の尿から善玉活性水を作りだし、様々な問題に役立てる。この挑戦には、新しい仲間の存在が不可欠です。
あなたも、オホーツク北見の地から、一緒に地球の健康を見つめてみませんか?
環境大善株式会社では、一緒に働く仲間を募集しています
<募集内容>
→若手スタッフの皆さんに「実際のお仕事風景」についてお話を伺ってきました!
善玉菌たちの座談会レポート【後編】
KEYWORD
百目木(どめき)幸枝
青森県八戸市出身。秋田県立大学、北海道大学院修了後、東京の研究開発ベンチャーで8年働き、2019年夫婦で退社&息子出産&北海道網走郡美幌町で農業研修開始。2022年の就農に向けて「さいこうファーム」の設立準備中。夫婦で編集執筆ユニット「再考編集室」を結成し、地域や人の豊かさを日々発信しています。
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原田 啓介
1985年、北海道遠別町生まれ。2012年まで札幌で過ごしUターン。地域おこし協力隊として活動後、NPO法人えんおこを設立し遠別町を拠点にイベントやPRを手掛ける。写真・イラスト・デザインの個人事業も行っている。