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【役場職員が語る】日本一失敗できる町に。標津町で始まる“実験するまちづくり”リトルドートー根室4町SP

2026年2月28日、東京・池尻で開催された交流イベント「リトルドートー 根室4町SP」

別海町・中標津町・標津町・羅臼町の4町から、実際に働く自治体職員や地域プレイヤーが集まり、「地方で働く」「地域で暮らす」リアルな話が共有されました。

3番目に登壇したのは、標津町役場の西山さん。

標津町がいま力を入れている取り組みとして紹介されたのは、「鮭の聖地」そして「試せる大地」という2つのキーワードでした。

1万年続く「鮭の文化」

標津町は、オホーツク海に面した漁業の町。なかでも象徴的なのが「鮭」です。標津川流域では、縄文時代の竪穴住居跡が見つかっており、この地域では約1万年前から人が暮らしてきたと言われています。

その暮らしを支えてきたのが鮭でした。アイヌ文化も含め、鮭を中心に地域の文化が築かれてきた歴史があります。こうした背景から現在、標津町では「鮭の聖地」というコンセプトで地域の魅力発信を進めています。

鮭料理や食文化、歴史などを通して、この地域ならではのストーリーを伝える取り組みです。

「試せる大地」という新しい挑戦

そしてもう一つ、標津町が掲げているのが「試せる大地」という考え方です。

標津町には、「広い土地」「海」「川」「寒冷な気候」といった多様な自然環境があります。この条件を活かし、企業や研究者が新しい技術の実証実験を行うフィールドとして活用する取り組みが始まっています。

たとえば
・寒冷地でのドローン実験
・ロボット技術の試験
・一次産業と連携した技術開発
などが進められています。

西山さんはこの取り組みをこう表現しました。
「日本一失敗できるフィールド」
実証実験は、挑戦と失敗を繰り返しながら進むもの。だからこそ、挑戦できる場所として標津を使ってほしいという考え方です。

人口減少の時代に必要な実験

こうした実験には、もう一つの理由があります。それは人口減少への対応です。地方では今後、人口が減っていくことは避けられません。

しかし、標津町では「漁業」「農業」といった一次産業はこれからも続いていきます。そのときに必要になるのが技術による省力化です。

ロボットや新しい技術を活用することで、人手が減っても産業を維持できる仕組みをつくる。そのための実験が、今進められています。

標津町では、こうした挑戦をきっかけに新しい人材も少しずつ集まり始めています。起業を希望する人が移住し、町で会社を立ち上げたケースもあります。その流れの中で、「技術者」「エンジニア」「起業家」といった人たちが関わり始め、地域の中で新しい取り組みが生まれています。

また、コワーキングスペースの整備など、起業や事業を支援する環境づくりも進められています。

自然の中で楽しむアクティビティ

標津町は、自然の豊かさも魅力です。冬には「スノーシュー」「冬ならではのアウトドア体験」など、季節ごとのアクティビティが楽しめます。西山さんは「個人的には、冬こそ来てほしい」と笑いながら話していました。

人口減少が進む時代。多くの地域が課題に向き合う中で、標津町は「実験する町」という新しい方向を模索しています。自然、文化、そして技術。それらを掛け合わせながら、未来の地域の姿を探っていく町。

標津町は、日本一失敗できる町として、新しい挑戦を続けています。