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羅臼町の“不便”を語りまくる!それでも羅臼はいい町だ。若手役場職員が語る、暮らしのリアルと未来

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知床の国立公園が目の前にあって、海と山の距離がとんでもなく近い。「日本の最北端と言っても過言ではない」――そんな言葉が似合う町、羅臼町。

自然のスケールは桁違い。でも、暮らしのスケールも、ある意味で桁違いです。便利さを求めるなら、正直、羅臼は不利。だからこそ今回は、羅臼町役場の若手職員3人に集まってもらい、とことん“不便”を語りまくってもらいました。

「ここ、ほんと不便だよね」
「いや、マジで不便」
「でも、なんだかんだ羅臼がいい」

愚痴っぽいのに、最後は希望が残る。ただ「役場の仕事ってどんな感じ?」を聞くだけじゃなく、町ならではのテーマを持って、座談会形式で話してもらう。

羅臼町のテーマは、迷わず――不便
知床、人口約4,000人、漁業の町、自然がすごい町。でも、生活はやっぱり不便。不便でも、住み続けている理由がある。そのリアルを、ちょっと笑いながら掘ってみたかったんです。

※本記事前半の「不便」パートは、座談会で出た声をテーマ別に編集し、個人が特定されない形でまとめています。後半は、未来の話をそれぞれの言葉で残すため、発言者名を明記しています。

根室管内4町の仕事と暮らしを知るイベントへ
本記事は、根室管内4町(別海町・中標津町・標津町・羅臼町)で働くリアルを伝える企画の一環で制作しております。2月28日の東京開催でのイベントでは、実際に働く職員や地域で活躍する人と直接話すことができるイベント実施!仕事の話だけでなく、暮らしや移住、将来のキャリアまで。画面越しではなく“当事者の温度”を感じられる機会!地域の食材を食べたり、抽選で商品が当たったりとお得な機会にも。ぜひご参加ください!

プロフィール紹介

敦賀 聖也さん(産業創生課)
羅臼生まれ、羅臼育ち。2022年に高卒新卒で羅臼町役場へ。地元で暮らし続けてきたからこそ見える町の姿と、「町に貢献したい」というまっすぐな気持ちが言葉の端々ににじむ。淡々と話しながら、ときどき核心を突くタイプ。

川上 莉佳さん(総務課)
生まれは羅臼、育ちは札幌(3歳〜20歳頃まで札幌暮らし)。親戚が羅臼にいて、お盆や正月には帰省していた。就職を機に羅臼町へ。都会も知ったうえで「羅臼が合う」と語る、落ち着いた視点が印象的。

近藤衣里さん(町民環境課)
標津生まれ、標津育ち。高校卒業後に東京へ出てネイリストとして働いた経験を持つ。結婚を機に夫の就職で羅臼へ。4歳・3歳の子育て中で、2025年4月に羅臼町役場へ中途入職。暮らしの現実を“母目線”でズバッと言う。

第1章:羅臼の“不便”を語りまくる

不便①:コンビニがセイコーマートしかなく、コンビニATMがない。

「コンビニはセイコーマートだけ」これはまだいいとして、地味に効いてくるのが――ATM問題

ATMが休日や夜に使えない。という話が出てきました。
「休日にお金おろせないの、結構しんどい」
「夜に“ちょっと何か買う”ができない」

暮らしって、意外とこういう“詰みポイント”がメンタルに効きます。
コンビニが複数あるとか、24時間当たり前とか、そういう世界線とは別の場所に羅臼はあります。

不便②:買い物の選択肢が少ない。中標津まで1時間半は“週末イベント”

日々の買い物も、羅臼は独特です。
「いろんな食品店とかそういうのがない」
「中標津まで1時間半。平日は行けない。週末に行く」

つまり、買い物が“用事”ではなく、イベントになる。まとめ買い、計画、段取り。行くならついでにあれもこれも、になって、気づけば半日が溶ける。

そして名言が出ました。

「アイス買って帰ろうと思っても、中標津まで1時間半かかるから溶ける。アイスは買って帰れない。」

これ、羅臼の不便の象徴みたいな話だなと思いました。笑えるのに、ちゃんと不便。

不便③:スーパーの感覚が、ちょっと違う(ツルハとニコット)

さらに面白いのが、羅臼の“スーパー”観。
-スーパーはあるんですか?という問いに

「ツルハとホーマックニコットがある」
という回答が出てきました。他の北海道民からしたら「それはスーパーじゃない」というツッコミが出てきそうですが、この2つの店舗、羅臼町民にとっての生活の拠点になっています。そして、肉が「ツルハにはない」「ニコットにある」「でもちょっと高い」みたいな話が出てきました。

一方で、魚は「買わない」どころか「もらう」。海の町ならではの逆転現象です。

-魚はさばくんですか?
の問いには「近所の人に…」という話も出てきました。(羨ましい)

不便④:住まいが見つからない。不動産屋がない。ネットにも出てない

羅臼で暮らし始めるときに最初にぶつかる壁。これは北海道地方あるあるかもですが。

賃貸の情報がない。貸し家の情報がない。不動産屋がない。ネットにも出てない。

実は物件自体はあったりするんですが、ネットに出てこない。ずっと住んでいる人は、地域の“口の情報”で回ってくるんです。でも外から来た人は、その入口がない。空き家はあるのに、動かない。「ここ売ってくれないかな」みたいな土地もあるのに、情報につながらない。という話もありました。

そして、意外にも土地は高い。選べるほどもない。
“ない”が重なると、それだけで移住のハードルが上がってしまいますね。

不便⑤:子どもの遊び場が少ない。冬の室内が特にきつい

子育て世代の人の声でこんな声が多いそう。

「遊べる場所が少ない」
「公園が少ない」
「冬、室内で遊ぶところがない」

羅臼は自然がすごい。なのに、子どもを“外で遊ばせる”には別の難しさもある。
熊も出る。天候も荒れる。世界遺産の文脈もある。
簡単に「公園つくろう」と言えない事情もある。

でも、「ブランコだけでもいいのに」
「ちょっと体動かせるだけでいいのに」
そのリアルな声が、ずっと残りました。

不便⑥:配達は羅臼ルールがある(時間指定できない、置き配できない)

ネットショッピングが普及して、“何でも届く時代”と言われます。確かに、羅臼でも届く。届くんだけど――

「〇〇(運送会社)は、時間指定できない」
「〇〇(運送会社)は置き配できない」

受け取りの自由度が低いと、暮らしのリズムが崩れます。“家で待つ”が発生する。小さなストレスが、積み重なる。みたいなこともあるそうです。

不便⑦:交通の便はない。でも、運転できれば快適になる

交通手段は基本、バス。移動は“車ありき”。でも一方で、こんな話も出ました。

運転さえできれば、慣れれば、むしろ快適」
「除雪が早い、きれい」

漁師さんが自前の除雪機を持っていて、結果として雪の処理が早い、みたいな“羅臼あるある”も。不便の中に、町の生活力がある。車の不便は羅臼だけでなく、北海道民あるあるですよね。

不便⑧:カフェがない。観光客も、住民も、時間を潰せない

最後に、これは羅臼の“もったいなさ”に直結する不便。

「友達が来たとき、昼ご飯のバリエーションが少ない」
「ゆっくりコーヒー飲める場所が少ない」
「観光で来ても、天気悪いとどこで時間潰すの?になる」

知床という観光資源が目の前にあるのに、“自然を見たあと、ふらっと寄れる場所”が少ない。
住民にとっても同じで、“息を抜く場所”が少ない。

不便を語りまくったあと、ふっと出てくるのが「でも、羅臼はいい」という感覚です。たとえば、生活のメリハリ。週末に中標津へ行くのも、羅臼だと“大きなイベント”になる。自然が近いから、休日がちゃんと休日になる。

といかがでしょうか?不便話。不便はありつつも「顔を全員知ってるから大変」という話はあるけれど、その分、助けてくれる人もいる。魚ももらえる。“知っている人がいる町”は、怖さと同時に、安心もある。羅臼は、便利さの代わりに、暮らしの輪郭が濃い。

この話が、後半の「未来」へつながっていきます。

第2章:それでも羅臼がいい理由。不便の裏側にあるもの

ここからは、未来の話。

「町に未来を感じる?」という問いを投げたところ、いきなりの返答がありました。

「感じない…かもだけど、やることはたくさんあって面白くはなるかも…」なんて話が出てきました。

そのあとに続いた言葉は、絶望ではなく、むしろ具体的でした。“何が課題で、どこに伸びしろがあるか”が、ちゃんと見えている。ここから対談形式で皆さんの会話が見える形で進めていきたいと思います。

テーマ① なぜ役場に入ったのか。なぜ羅臼で暮らしているのか

-未来の話を進める前に、そもそもなぜ羅臼で、しかも役場で働こうと思ったんですか?

敦賀:正直、そんなかっこいい理由はないんですけど…。私は羅臼生まれ羅臼育ちで、中学生の時に「役場入ろう」って思ったんですよね。ずっと暮らしてきた町だったし、なんとなく好きだったんで。

-“なんとなく好き”って、とってもいいですね。

敦賀:そうなんですかね。でも、貢献したいなって気持ちはありました。町のこと詳しくなりたいなって思ったら、役場が一番近いかなって思い、そのままの思いで高卒で役場に入りました。

川上:私は逆に、一回外を見ています。生まれは羅臼なんですけど、3歳からは札幌で暮らしました。親戚は羅臼にいたのでお盆とか正月に羅臼に帰ってくると「やっぱ羅臼いいな」って思ってたんですよね。それで就職するときに「羅臼に行こう」と決めて羅臼町役場に就職しました。

-都会に未練なかったんですか?

川上:あんまりなかったですね。札幌とか東京とかも行きますけど、帰ってきた時にふっと体の力が抜ける感じがあって。「あ、私こっちの方が合ってるな」って。

近藤:私はもう、めちゃくちゃ現実的です(笑)安定を選んで役場に入りました

-かっこつけない理由がいいですね。とても大事。

近藤:東京でネイリストやってたんですけど、羅臼では同じ仕事できないし、子どももいるし。パートで都合よく働ける場所も少ない。だったらフルタイムで安定して働ける役場かなって。

川上:結局みんな理由は違うけど、「ここで生きていく」っていう選択はしてるんですよね。初めて聞いたりしたけど面白いですね。

地元への愛着、自然への憧れ、現実的な選択。理由はバラバラ。でも3人とも、最終的には「羅臼で生きる」という選択をしている。

そして次テーマへ。

テーマ② 羅臼に未来はある? 何が変わればポテンシャルは爆発する?

-ちょっとネガティブでもいいので聞きますね。羅臼に未来、感じますか?

敦賀:魚の獲れ次第です(笑)

川上:たしかなぁ。

敦賀:やっぱり漁業の町なので。取れれば元気出ると思います。でも今、種類も変わってきたり、漁獲量が減ったりって話は聞くので…。

近藤:私は観光かなって思います。正直、ちょっと中途半端な気がしててもっとできることがたくさんあるだろうなって思います。

川上:あ、それわかります。漁師町でもありつつ、知床っていう観光地でもある。

近藤:自然、資源はすごいんです。でもちょっと細かなところというか、天気が悪くなったら「どこ行く?」ってなるんですよね。カフェとか、ちょっとゆっくりできる場所が少ない。

川上:「今はそれほど困ってないから、これ以上頑張らなくていい」みたいな空気感もありますよね。

-他に何かこれ欲しいとかこれがあったら良くなる!みたいなことはありますか?

近藤:公園が欲しいですね。ブランコだけでもいいので。あとはルサフィールドハウスでソフトクリーム食べられたら違うと思います。あとはコインランドリーも欲しいです。毛布洗えないし、布団に犬のおしっこかけられた時どうしようかと…夜だったんで走るのも諦めて。

-でも逆に言えば、やることがめちゃくちゃあって可能性がたくさんあるという

敦賀:人手不足が最大の壁ですけどね。誰かが成功したら、絶対広がるし、チャレンジする雰囲気が作れればいいのかな。

「ないなら、つくればいい。」

ここで、同席していた遠嶋係長が静かに口を開きました。

遠嶋係長:できるよ。できないことないから。ないなら、つくればいい。

-めちゃくちゃシンプルですね。

遠嶋係長:公園だってそう。行政だけだと規模感わからないから、すごいの作らなきゃって思いがちだけど、ブランコだけでいいなら、それでいいじゃない。ちゃんと聞けば、答えは出てくる。

近藤:そうなんですよ。ちょっと体動かせるだけでいいんです。

遠嶋係長:やることはいっぱいある。他の町にないものはもう持ってる。あとはどう使うかだけ。

-絶望ではないですよね。

敦賀:やることが多いだけですね。

近藤不便は多いですけど、資源はたくさんあるから可能性も多いと思います。

不便が多い町は、課題が多い町でもある。でもそれは裏返せば、“まだ手をつけられていない余白がある”ということだ。

羅臼は、便利ではない。でも、余白がある。そしてその余白を、「ないなら、つくればいい」と言える人がいる。それは、案外すごいことなのかもしれません。

根室管内4町の仕事と暮らしを知るイベントへ
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