“公務員は安定”のその先へ。仕事が面白くなる瞬間は、あとからやってくるー中標津町役場・若手職員座談会ー
――若手2人と係長が語る、公務員のリアル
「公務員は安定している」その言葉は間違いではない。けれど、それだけで語ってしまうには、あまりにももったいない。
今回話を聞いたのは、中標津町役場で働く若手職員2人と、係長として現場を担う先輩職員。3人とも入職の入口は「安定」だったという。それぞれに仕事を抱え、公務員だからこそのジレンマもある。日々の淡々としたルーティンワーク、住民対応の難しさ、異動の多さ。
それでも、30代を迎えた係長が「仕事は大変だけど、楽しくなる時期が来る」と語り始めると、場の空気が少し変わった。公務員としての矜持と、その言葉をまっすぐに受け止める若手職員の表情が、静かに浮かび上がる。
異動が前提のキャリア、若手時代のルーティンワーク、残業のリアル、そして町の未来。“地方で働く”を考える人にこそ読んでほしい、中標津町役場ではたらく3人のトークをお届けします。

根室管内4町の仕事と暮らしを知るイベントへ
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プロフィール紹介
沖田 英(経済部・係長)
別海町出身。高校卒業後に中標津町役場へ入庁。税務、住宅、行革、企画調整など複数部署を経験し、現在は商工労働分野を担う係長。「若い頃はつまらなかった。でも今は仕事が面白い」と語る。
小林 優太(総務部・7年目)
中標津町出身。高校卒業後入庁。情報・広報、防災、職員係など総務課内で異動。地域スポーツのコーチも続けている。
大内 美穂(納税課・8年目)
中標津町出身。戸籍住民係で6年勤務後、納税課へ。住民対応の経験を積み、「怖さは減った」と話す。
安定から始まった、それぞれの入口
ー率直に。なぜ中標津町役場に入ろうと思ったんですか?
沖田:正直に言うと、最初は「安定」です。高卒で就職を考えていて、公務員は身分も含めて安心感があった。ただ、どうせ働くなら町民のためになる仕事がいい、という気持ちもありました。
小林:僕も一番は安定です。それと、ずっとスポーツをやってきたので、地域の子どもたちの活動に関わり続けたい気持ちがありました。役場は基本的に土日が休みなので、遠征にも行きやすい。実際いまもコーチとして帯同していて、「思い描いていた生活に近いな」と感じています。

大内:私は先生に「公務員いいんじゃない?」と言われたのがきっかけで、ふわっと受けました。道の職員とかもある中で、中標津町役場は転勤がないし、実家から通えるのがいいなって。最初はそのくらいの動機でした。

沖田:高卒就職だと、民間は“推薦”の関係で併願が難しい雰囲気もありますよね。公務員で行くなら公務員一本、みたいな。ただ、公務員の中でも町、道、いろいろ受けられるので、「公務員方向にベクトルを振ると選択肢は増える」感覚はありました。
若い頃は、正直つまらなかったこともある

ー仕事の面白さはどうですか?
小林:広報の部署でカメラを覚えたのは楽しかったです。広報に配属されたときにカメラが全然わからなかったんですけど、やっていくうちに楽しくなって。広報誌づくりや取材の経験が、趣味にも仕事にも生きています。
大内:戸籍住民係では「ありがとう」と言われることも多かったです。いまは納税課で、たくさんの住民の方と向き合うこともある。場数を踏んできて住民対応が怖くなくなったのは成長だと思います。
沖田:若い頃はルーティンワークが多いんです。伝票を切って、正確に処理して、ミスしない。それが中心。楽しいかと言われれば、楽しくない。
でも、今だから言えるのはそれが土台になる。何年か経つと「ここ、こうしたら良くなるかも」と見え始める。そして係長になって気付いたのは、自分で考えた施策が町の動きにつながるということ。例えば、商工労働分野では、国の交付金を活用したキャッシュレス決済のポイント還元キャンペーン施策を自分で考え、提案し、形にするという仕事を担いました。「自分の案で町が少し動く」瞬間は、やっぱり面白い。若手の時間は、無駄ではない。楽しくなるタイミングは、ちゃんと来るんだなと実感しています。
小林:いまの話、すごく納得しました。「仕事のここがいい!」って言い切りづらい感じが自分にもあったんですけど、係長になると“考えて動かす”が増えるんだなって。見え方が変わりました。
異動は不安か、救いか

ー公務員は異動が前提です。やりたい仕事があっても、違う部署に行くこともある。そこって、我慢なんでしょうか?
沖田:部署によって忙しさも内容も全然違うし、合う合わないは出ます。いわゆる“部署ガチャ”みたいに言われることもある。ただ、僕の根底には「仕事は仕事だから」という割り切りがあるんですよね。忙しい部署でも、やるしかない。
でも嫌だなと思っても、2〜3年でどこかしら異動する可能性がある。民間だと人も仕事も固定され続けることがあるけど、公務員はそこが違う。
大内:たしかに、同期でも外れだと思われる部署でも、本人は「楽しいよ」って言ってる人もいます。外からの見え方と中の感じ方が違うのかもしれません。
小林:同期で「外れた」って言ってる人はあまりいないかも。忙しくても、上司やチームに恵まれていて「やれてる」人が多い印象です。
沖田:忙しい部署でも「みんなでやろう」とチームになれていれば耐えられるけど、そこが噛み合わないときついかもしれない。
ー異動が多いと、専門性が積みにくいというイメージもありますがどう捉えていますか?
沖田:スペシャリストになりにくい面は確かにありますよね。ただ、意外とつながってるんですよ。税務課で叩き込んだ知識が住宅でも役立つし、商工でも税の知識は必要になる。戸籍住民で窓口対応をやっていた経験が、納税課での対応の耐性につながる、みたいなこともある。畑違いに見えても、あとから“線”になってるんだなって今なら思えます。
小林:僕は同じ総務課がずっと続いています。でも係は変わっていて変わるたびに、ほぼ1から覚え直しになります。だからというのか飽きはないです。「また新しいことを覚えられる」面白さはあります。
ー正直、公務員っぽいしんどいさはあったりしますか?
沖田:頑張りが給与や評価に反映されにくいところはありますよね。年功的に上がっていくので、ひっくり返らない。もちろんそれは“安定”とも言い換えられるけど、民間との大きな差は感じます。
小林:僕が感じたのは残業って意外と多いじゃんってことです。公務員って定時で帰れるイメージを持たれがちなんですけど、入庁初日から残業でした。選挙期間と重なったのもありますが、夜遅くまでやっているのは普通にあります。
沖田:役場が残業してるって、民間の人はびっくりしますよね。あと、セキュリティの関係とかで持ち帰って作業できないのもあると思います。
大内:しんどさ、みたいなのは部署によりけりで、地方の小さな町あるあるだとも思いますが、対応した方と町で顔を合わせる、みたいなことってどうしてもありますよね。どうしたらいいかわからなくなることはありますよね。

中標津の未来は明るい?
ー最後に大きいテーマです。中標津の未来、明るいと思いますか?
沖田:僕は明るいと思っています。中標津はまだまだポテンシャルがある。企業の投資が続いていること、大きい話で言えば明治や雪印の投資の話もありますよね。あとは新しくホテルが建ってきていることなど。そういう動きがあるのは、企業が「この町で頑張る」と判断しているからだと思うんです。
それに、人口減少も他の町に比べたらまだ踏ん張っている。もちろん楽観視はできないけど、ポテンシャルはあると思います。
小林:僕も不安はそんなにないです。全国的に知られたチェーン店が最近できたりもした。暮らしていくのに買い物にも困らないし、ある程度のお店も揃っている。この町に暮らしていて不安に思うことはほとんどないので、未来は明るいのかなって思います。
大内:私も同じ感覚です。ニュースで他地域の危機感を聞くことはあるけど、中標津で危機的、とまでは感じていないです。
ー地域に暮らす人たちが「不安はあまり感じたことがない」って断言できるのは気持ちがいいですね。
沖田:ただし未来を感じることができるかどうかは年齢によるギャップはあると思います。若い頃はルーティンワークで余裕もないし、町の未来を考える必要性も感じにくい。投資の話とかも難しいですよね。いろんな経験をしてきたからこそ、一次産業を基幹とした地域産業があり、だからこそ新たな投資が入り、商工業など暮らしや働く環境が充実するんだなって実感が得られるようになってきますよね。
ー働き方や将来への不安、ありますか?
大内:不安がゼロではないけど、考えすぎて動けなくなるより、目の前をやる感じです。
小林:忙しさはあるけど、チームでやれている感覚はあるので、いまのところ大丈夫です。
沖田:不安があるのは自然だと思うけど、無理するのが一番よくない。休む選択肢も含めて、自分を守ることが大事ですよね。
ー今回、先輩の話を聞いて、後輩2人はどう思いましたか?
小林:係長になったときに仕事が面白くなる、という話は希望になります。いまは目の前の仕事を正確にこなす比重が大きいけど、その先に“考えて動かす”フェーズがあるなら、そこまで積み上げたいと思いました。
大内:私は、異動が救いになる、という話が印象的でした。「嫌だったら休んでいい」という言葉も、きれいごとじゃなくリアルに必要だと思います。
沖田:20代の頃は、仕事が楽しいとは思わなかったけど、でもいまは面白い。人生の多くを仕事に使うなら、どこかで楽しくならないとって思うし、そういう環境を同僚と作って行けたらいいなと思います。
地方で働くことは、挑戦でも逃避でもない。生活と役割が結びつく感覚だ。中標津町役場で働く3人の言葉は、“安定”という入り口の先にある、もう少し奥の風景を見せてくれた。
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