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地産地消ができるパン屋さんに憧れて。満寿屋ではたらき始めたきっかけと、パン屋さんの働き方改革。

ただいま募集期間外

株式会社満寿屋商店

北海道帯広市

大変そうだというイメージがつきまとうパンの製造の仕事。十勝管内でパン屋を運営する株式会社満寿屋商店では、設備投資や体制の見直しで近年、労働環境の大幅な改善に取り組んでいます

「パンを製造する仕事は、働き方を変えていける部分がまだまだあると僕は考えています。長時間労働のイメージが、働きたい人を減らしてしまうのであればもったいないですよね。パン屋の仕事ってすごくいい仕事。パンが好きだという人に楽しみながら働いてもらえるようにしたいです

そう語るのは、実家がパン屋だという取締役の天方(あまがた)慎治さんです。前編でお伝えしたとおり「2030年とかちパン王国」実現に向けた取り組みの一環だといい、「まずは職業としての良さを成立させて、次の担い手をもっと増やしていきたい」と言葉に力を込めます。

個人店ではない大型店舗のパン屋だからできるパン屋としての在り方がある。もし長時間の勤務や大変さのイメージが拭えずパン屋で働くことの道を諦めてしまった人がいたとしたらーー満寿屋なら閉ざされた道に再度踏み込んでいくことができるのではないでしょうか

と、冒頭では、少し本題と変わる内容ではじめましたが、本日のお話は、満寿屋の製造部門で働く女性のインタビュー。

2022年11月より帯広市の「麦音」(むぎおと)で働く田中文香(ふみか)さんは、「2030年とかちパン王国」のビジョンに共感し、関東から移住してきました。「私のやりたいことがここならできる」と直感したことに加え、満寿屋が働きやすい環境づくりに取り組んでいることも転職を決意したきっかけの一つだと言います。十勝で暮らし始めて3ヶ月が経った田中さんに、なぜ満寿屋に興味を持ち、やりたいことができると感じたのかや現在の仕事内容について話を聞きました。

◎こんな人におすすめ
・パンが好き
・パン職人への道を諦めてしまったことがある
・休日は自然を楽しむ暮らしがしたい
・人を楽しませることが好き
<募集概要>(詳細はページ下部に)
▼パン王国準備室の業務
・地域、社内のためのブランディングを担う業務
・パン王国が実現するために必要なことを提案し実行
▼パンの製造スタッフ
・製パンに関する全ての仕事
仕込み、分割、成形、窯、調理 などポジションごとに学んでいただきます。
・店舗運営業務
生産管理、売上管理、メニュー作成など志向に合わせて、マネージメント、店舗オペレーションの改善などをお任せいたします。

「私のやりたいことが満寿屋ならできる」と直感し、関東から移住を決意

東京都出身の田中さんがパンを好きになったきっかけは、大学時代のアルバイト。大学入学から卒業までの4年間、パン屋での仕事を続け、気づくとパンの世界にどっぷりとのめり込んでいきました。当時住んでいた都内を中心にパン屋巡りをしていく中で、東京に出店していた満寿屋商店のことを知ります。

「都立大学駅近くにあった東京本店に足を運び、パンを食べて美味しいなと思いました。でも当時は、そこで働きたいとまでの思いには至りませんでした。学生時代に北海道の訓子府(くんねっぷ)町の農家さんでインターンの経験があり、小麦も好きになったんです。なので当時は小麦に携われる仕事をしたい、と考えいました」

大学卒業後、念願叶って関東の製粉会社へ就職。小麦に直接関わる部署ではなく、事務仕事が主な業務だった田中さんは、働いていくうちに「好きなことを仕事にしたい」と思うようになります。自分の好きなことって何だろう、と考えを突き詰めていく中で浮かんできたのがインターンをした訓子府での景色でした。「北海道に住んで、農業がやりたい」とおぼろげにイメージがつくられ、大好きなパンと結びついたのです。そこから「地産地消のパンづくりがしたい」という夢がみえてきました。

そんな折、インスタグラムを眺めていると「2030年とかちパン王国実現に向けての取り組み」というオンライン講演会を満寿屋が開催するという情報が飛び込んできました。

最新のオンライン講演の情報はこちらから

満寿屋は地産地消のパンづくりをしている。私のやりたいことはこれだ、と思いました」と田中さんは当時を振り返ります。すぐに問い合わせをすると「とりあえず十勝に来てみませんか?」と返信があったと言います。2022年4月、まだ雪の残る十勝へ。まだ転職の意思を固めていませんでしたが、とかち帯広空港へ到着すると社長の杉山さんが車で迎えに来ていました。

▼帯広空港周辺の上空から

「一泊二日の滞在でしたが、社長がいろんな農家さんへ連れて行ってくれて、各町にあるパン屋さんへも寄りました。まだ転職すると決まっていない人にここまでしてくださるなんて、と驚きましたね」

帰京し、約3年勤めた製粉会社を退職する決心をつけようとしますが「ものすごく悩みました」と田中さんは話します。

▼想像以上の規模で行われていたという十勝の農業

「当時勤めていた会社からちょうど同じタイミングで、私が希望していた小麦粉の検査担当をさせてもらえることになったんです。入社してからずっとやりたかった仕事に、やっと就けるところでした。でも、杉山さんと回った十勝での時間も忘れられなくて。どうしようか迷って、東京の顔なじみのパン屋さんに相談すると『そこまでやりたい仕事なのか試されているんじゃないの?』と言われました。製粉会社でその仕事を始めたら、十勝に行けるのは何年も先になってしまうかもしれない。本当にやりたいことは、地産地消のパンづくりだという結論になったんです」

強い意志を携えて、最終面接に望むため再び十勝を訪れたのは6月。4月に来たときと同様、杉山さんが十勝の農家さんを案内してくれたといいます。そして無事に採用が決定。

パンの製造現場と働き方の改革

▼田中さんが好きな満寿屋のパンは、酒粕しろあんぱん。満寿屋自家製の白餡に帯広畜産大学内にある上川大雪酒造の酒粕を練り込んだ一品。生地にも酒粕を織り混ぜ、豊かな風味が鼻腔をくすぐる。

しかし一旦、満寿屋にはすぐに入社せず学生時代のインターン先である訓子府町の農家さんに4ヶ月間で働くことを申し出たそう。満寿屋は、田中さんの要望を受け入れ、農家さんでの仕事の後に入社する段取りとなりました。そうして2022年11月に満寿屋商店へ入社し、製造の仕事を極めている真っ最中。

「今は生地を丸める作業をしています。ミキサーで生地をつくって、一つ一つ小さく分割して丸めていく作業があるんです。何種類もの生地を次から次へとつくる、時間に追われる仕事なので、常に時計を見ながら黙々と作業を進めます。6時出勤で15時が定時退勤のシフト制ですが、まだ手が慣れなくて1時間ほど残業する日も多いです」

何事も慣れるまで時間がかかるのは当たり前のこと。「毎日大好きなパンが食べられて幸せです」と話す田中さんに、この3ヶ月間で大変だと感じたことを聞きました。

「体力仕事でずっと立ちっぱなしで、重いものを持たなきゃいけないことですね。もっと力があったらいいのに、と初めて思いました。小麦粉の袋は25kgで、生地自体も10kg以上になります」

もしかすると相当な力持ちでないとパン屋の仕事は務まらないのでしょうか。そんな疑問をぶつけると、一緒に話を聞いてくれていた天方さんが口を開きました。

「コツがあるんですよ。瞬発力なんです。だから必ずしもめちゃくちゃ体力がないとできない、というわけではないです。ただ、華奢な方はかなり苦労しますね。特に田中さんがやっている仕込みの仕事は、今までは男性が力仕事と長時間労働で担っていたポジションでした。うちでは近年、働きやすい環境をつくろうということで、女性でもできる方法を模索しています。今まで男性一人でやっていた力仕事を二人体制にしたりしています。

仕込みや焼成など力がどうしても必要なポジションは男性が担うことが多いようですが、満寿屋では従業員の大半が女性。そのため、女性でも力仕事がしやすいように昔から続いてきたやり方をここ数年で改善に取り組んでいます。例えば、感覚や長年の経験で行っていたことを、数値化やマニュアル化する。経験や勘だけに頼らない体制を整えることで、その結果が働きやすい環境に繋がり、勤務時間も改善が進んでいるそう。

「店舗によって違うのですが、出勤時刻も遅めになるようにしています。麦音は朝6時55分オープンですが、早いスタッフでも5時半出社が実現しました。パン屋って朝がとても早くて、夜も遅いイメージがあるじゃないですか。弊社ではそうじゃないんです。シフト制だから、早く出勤した人は昼過ぎには終わりますしね。こうやってパン屋での働き方を一つ一つ見直して、よくないイメージを払拭していきたいと考えているんです。」

昔からの慣習に縛られることなく、できることから改善していく。パン王国の実現に向けて、パン屋を目指す人も増やしたい。そのためには職業としての良さをまず成立させる必要があります。日々試行錯誤しながら会社全体で変えている最中です」と天方さんは語ります。

▼天方さん(右)生産者さんとの積極的にコミュニケーションが取れるのも十勝のパン屋さんならでは

田中さんはこれからどんな未来を描きたいのかを聞いてみました。

「地産地消のパンづくりがやりたいと思ってやっとたどり着いた場所なので、まだその先まで考えられてないですね。ただ、2030年とかちパン王国の実現に向けて私も何か力になりたいとは思っています」

初めての十勝の生活は大変なこと充実したこともあると言います。

「初めての北海道の冬は雪かきと運転も大変。ちょっと慣れては来ましたが出勤時間も早いのでいつも焦りながら頑張ってます。休日はパン屋さんを巡ったりしていてとても楽しいです。仕事でもパンが食べられて、休日もパン屋さんがたくさんある、まだあまり足を運べていないんですが、充実しているなと思います。」

そして最後に、前編で登場してもらった社長の杉山さんからパン屋独立の修行先を探している人にも伝えたいことがあるとのことで語っていただきました。

「満寿屋では、パン屋として独立したい人も積極的に受け入れていきたいと考えています。私たちの元で十勝産の小麦を使ったパンづくりの技術を学んで、十勝でパン屋を開くという人がどんどん出てくるといいなと思っているんです。十勝でパンを楽しめる環境が増えるということは、地元の人にとっても観光で十勝にきた人にもさらに楽しんでもらえる要素が増えるじゃないですか、十勝産小麦の消費も増えますしね。今は空き家が増えている問題もあります。空き家を活用したパン屋を開業することだってできるので、チャンスはたくさんあるし支援したいと思っています。」

さらに続けて、

「小麦は種類もたくさんあって、小麦それぞれで全く性格が違う。それが十勝産となると、特徴的で扱うのも難しいんです。でもその技術を僕たちは社内で閉じるのではなく、可能な限りオープンにしてパンで生業を築く人を増やしていきたいなと思っています。大型店舗だとパン屋の修行は難しいんじゃないか?と思う人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。意欲さえあれば、むしろ様々なことが学べる環境があります。独立を目指してる若い方も既に満寿屋にもいますし、ぜひチャレンジしてほしいなと思います。」

いかがでしたでしょうか?『2030年十勝をパン王国に』というビジョンのもと、新しい動きが加速している満寿屋商店。創業70年を超え、15歳~78歳まで幅広い世代が働く企業でありながらも、未来を見据えた取り組みとパン屋として新しい働き方を模索し続けているのです。パン屋に興味があった、地域産業の発展に興味がある、ブランティングに興味がある、満寿屋商店にはそれぞれの個性や思いを活かして働ける環境があります。ぜひこのビジョンや取り組みに興味を持った方は、満寿屋商店の扉を開いてみてはいかがでしょう?ご応募、オンライン講演の参加などぜひお待ちしております。

募集詳細

【基本給】
月給 197,500円〜313,500円 ※スキル・業務経験により考慮
試用期間3カ月:基本給と同内容
社保完備
制服貸与
研修制度あり
まかない(食事)あり
交通費支給
バイク・車通勤OK
昇給あり
【諸手当】
・役職手当
・住宅手当20,000円(十勝管外からお越しの方,2年間限定補助)
・交通費:一部支給 ※当社規定による支給
・繁忙期により残業あり(残業代支給有)
・週休2日制/シフト制
・年間休日105日
・有給休暇(入社半年より10日、以降法定通り)

ライター

高山 かおり

音更町生まれ。帯広三条高校を卒業後、北海道ドレスメーカー学院へ進学。卒業後、都内のセレクトショップで販売員として5年間勤務。在職中の2009年、ルミネストシルバー賞受賞。その後都内書店へ転職し、雑誌担当を務めたのち18年に独立。現在は、国内外のマニアックな雑誌に特化したウェブサイト「Magazine isn’t dead.」を運営しながらライターとして活動。Magazine isn’t dead. としては小売だけでなく、国内の雑誌やアートブックの卸売サポート、洋雑誌のディストリビューションなども手がける。19年より、十勝毎日新聞「東京圏NOW」毎月第3火曜の執筆を担当し、関東圏で活動している十勝出身者への取材を続けている。

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