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【役場職員が語る】世界自然遺産の町で、未来をつくる仕事。羅臼町が持つ“何もないからこその可能性”リトルドートー根室4町SP

2026年2月28日、東京・池尻で開催された交流イベント「リトルドートー 根室4町SP」

別海町・中標津町・標津町・羅臼町の4町から、実際に働く自治体職員や地域プレイヤーが集まり、「地方で働く」「地域で暮らす」リアルな話が共有されました。

最後に登壇したのは、羅臼町役場の川上さん。

世界自然遺産・知床の町として知られる羅臼町の暮らしや、そこで働くことの魅力について語りました。

世界自然遺産の町・羅臼

羅臼町は北海道の東、知床半島の東側に位置する町です。

人口は約4,000人。小さな町ですが、「漁業」「観光」を中心に地域の産業が成り立っています。

特に漁業は一年を通して様々な水産物が水揚げされ、「羅臼昆布」「ウニ」「ホッケ」「ブリ」など、豊かな海の恵みが地域を支えています。

また観光では、ホエールウォッチングが人気。港を出てわずか10分ほどでシャチやクジラなどの野生動物に出会えることもあります。

海・川・森がつながる世界自然遺産

羅臼町がある知床は、2005年に世界自然遺産に登録されました。

その理由は、海・川・森がつながる独特の生態系。流氷がオホーツク海に運んでくる栄養が海のプランクトンを育て、それを求めて魚が集まり、さらに大型の海洋生物や野生動物が集まります。

この自然の循環が評価され、知床は世界自然遺産となりました。

地元の人にとっては当たり前だったこの自然が、外から来た人たちによって改めて価値が見直されていると川上さんは話します。現在は「ふるさとワーキングホリデー」「移住体験」「観光」などを通して、多くの人が羅臼を訪れています。

羅臼では、野生動物が身近な存在です。役場のすぐ近くでも、「エゾシカ」「キツネ」などを見かけることがあります。野生動物と人の暮らしが近いからこそ、地域では安全対策にも力を入れています。

羅臼町では、「役場職員」「地元の猟友会」が連携し、住民の安全を守る取り組みを行っています。

公務員の仕事はデスクワークだけじゃない

羅臼町役場の仕事は、窓口業務やデスクワークだけではありません。

例えば「地域のお祭りを一緒に盛り上げる」「大型帆船「日本丸」の寄港を町全体で受け入れる」「地域イベントの運営」など、地域の人たちと一緒に町をつくる仕事も多くあります。

川上さんは「町民や羅臼が好きな人たちと一緒に町の未来を考えながら働ける」ことが魅力だと話します。

羅臼には「何もない」

川上さんはプレゼンの中で、こんな言葉も紹介しました。羅臼には「コンビニは1種類だけ」「24時間営業ではない」「大きなスーパーも少ない」

都会のような便利さはありません。しかし、川上さんはこう言います。「何もないけれど、4000人の人がちゃんと暮らしている」そして、何もないからこそ、できることがある。とも話します。

羅臼町では、民間企業や地域プレイヤーと協力して新しい取り組みも進めています。例えば、昔スキー場だった場所を活用してキャンプ場を整備するプロジェクト

この取り組みは「町」「地元プレイヤー」「アウトドアブランド「スノーピーク」」などが協力して進めたものです。こうした形で、地域の可能性を少しずつ広げています。

羅臼町では「移住支援」「創業支援」なども積極的に行っています。実際に制度を活用して、昆布漁師の夫婦が貸切宿を開業した事例などもあります。「やりたいことを実現できる場所」として、新しい挑戦が生まれています。

不便だからこそ、可能性がある

イベントの中で、羅臼についてこんな言葉が紹介されました。

「不便な町だからこそ、余白がある」

まだ誰もやっていないことがある。まだ形になっていない可能性がある。世界自然遺産の自然を背景に、新しい挑戦が生まれる余地がある町。羅臼町は、そんな可能性を持つ場所でした。