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【若者を応援する新しいコミュニティ「DOTO-NET」リリースイベント】リリース発表!「DOTO-NET」に込めた想い

一般社団法人ドット道東(以下、ドット道東)は、2023年11月25日(土)に若者を応援する新しいコミュニティ「DOTO-NET」をリリースしました。ここでは、リリース当日に北海道釧路市の港まちベース946BANYAで行われたイベントの様子をお届けします。

「DOTO-NET」とは、ドット道東が培ってきた多様なネットワークをもとに、道東カンパニー(道東を拠点とする企業様)・道東ミドル(30代以上の方々)とともに、29歳以下の道東にゆかりのある「道東ヤング」を全力で応援していくコミュニティです。

今回は、ドット道東代表の中西が発表した、「DOTO-NET」リリースを全文掲載します。

登壇者
中西拓郎/一般社団法人ドット道東 代表理事

いよいよリリース!「DOTO-NET」

イベントは、ついつい体を揺らしてしまいそうな音楽とともに、1つの映像から始まりました。

今日は、ドット道東の新しい事業として「DOTO-NET」というサービスのリリースイベントとしてイベントを開催しています。今日はオンラインも合わせると100名以上の方が見てくださっています。「DOTO-NET」は、ドット道東にとって、今までの事業ややってきたことが集約されていくようなもの。この「DOTO-NET」の事業を考える中でいろんなことを考えていたんです。

「あの人とこういうふうに会ったな」「あのときはこういうことがあったな」とか、ドット道東のメンバーと出会ったこともそう。そういういろんな方とのエピソードや思い出が、ガイドブックやビジョンブックを作る過程でもありました。そういうことが自分の中で思い起こされて、すごくエモい気持ちになりました。

僕たちは、「道東」という一つの自分たちの共通の地域から、そういうエピソードや思い出が生まれたということを日々感じています。僕は北見で生まれ北見育ちですが、こうやって釧路でイベントさせていただくこととか、十勝の仲間と一緒に事業をやることや、根室の方たちと一緒にお仕事させていただくことも、それらすべて、「道東」という共通言語があるからできていることなんじゃないかと思っています。
ドット道東は、その「道東」というアイデンティティをこれからも作っていきたいと思っていますし、その中で自分たちのやってきたことを、この「DOTO-NET」という一つの形にしていきたいと考えています。

ドット道東のこれまで

中西:
まずは簡単に、ドット道東の振り返りをしていきます。
ドット道東は創業前に、「道東誘致大作戦」というプロジェクトを実施しました。クラウドファンディングの中で、オホーツク、釧路、十勝と3つのエリアに分けてリターンを設定して、リターンの支援者数が最も多くなったエリアでイベントを開催するというものです。
結果的に、イベントはオホーツクで開催。6名のゲストの方が来てくださって、トークイベントを開催しました。

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「道東誘致大作戦」のメインビジュアル

その際に初めてCAMPFIREを使ったんですが、この道東誘致大作戦が評判になったり、このチームでいろんなところに呼ばれるようになったり。そういうところから、ドット道東は今日まで繋がっています。

その後、同じ年に十勝の更別村(※当時)の熱中小学校で「脳天直撃学校祭」というイベントを実施し、ここにもいろんな方が来てくださいました。
この最中で出会った方もたくさんいますし、ここで知り合った方たちとお仕事をさせてもらったりとか、友だちになったりとか、いろんな思い出がドット道東のやってきたことのなかにあるなと思っています。

ドット道東が創業したのは2019年の5月。現在は創業メンバーの一人である神宮司が途中で退任してしまったんですけども、最初のボードメンバーは5名。この右側の写真は神宮司が持っていた「HOUSE MOEWA」という大樹町にある一棟貸しの宿で、このときに「ドット道東をやろうと思ってるんだけど、どうする?」という話をしました。この中で、「俺はコミットできるよ」「私やれるよ」という人がドット道東のボードメンバーになり、創業に至りました。

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ボードメンバー5名はそれぞれ、十勝、オホーツク、釧路を拠点とした活動を行っていたので、それらを1つに集約したいと思い、創業のタイミングで名刺代わりになるようなものを作ろうということで、道東のアンオフィシャルガイドブック「.doto vol.1」を作りました。

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この制作でもCAMPFIREを活用して、398名の方にご支援いただくことができました。
制作中も、多くの方にご協力いただいて、この本に載っている方々は普段、ドット道東が地域の中で仲良くさせていただいたり、本当に好きなお店や場所しか載っていない本なんですよね。
この書籍では大きく広告を打つとか、ドット道東が営業に行くこととかは全くできませんでした。

DIYで、ボトムアップな作り方をしている中で、いろんな人を巻き込みながら作っていった書籍です。
そういう意味で道東に暮らしている自分たちの関係性を1つの本としてパッケージしたものだと思っていて、その本を読んだり、制作に関わってくれた皆さんが、「道東頑張れ!」とか「道東っていいよね」ということを言ってくださったことが印象的でした。

皆さんの声が届いたおかげで、道東の中ではもちろん、全国的にこの本を読んでいただいて広まっていきました。

例えば、「日本地域情報コンテンツ大賞」という情報誌やWEBサイトや動画を出展するアワードがあるんですけども、そこでは地方創生部門の最優秀賞という、内閣府の賞をいただくことができました。

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コロナ禍だったので授賞式の会場には行けず、関係者のみんなでzoomを繋ぎながら、この受賞の瞬間を喜びました。
その後ガイドブックは、今年の3月に台湾の出版社から翻訳して出していただいたり、多くのメディアに出させていただいたりして、この本が自分たちの名刺代わりになっただけではなく、道東の一つの形を示すものになったなと思っています。

僕は北見市生まれなのですが、自分の子供の頃を思い返すと、何かで日本一になるとか、全国の人に自分が作ったものを読んでもらえるとか、そういうことを全然想像できなかったなと思います。
いまは焼肉とかロコソラーレとかが頑張って北見の知名度を上げていて、北見の名前を知ってくださっている方が結構いますが、それでもやはり全国に広がるっていうことは、全然イメージできなかったと思うんですよね。
それが、みんなのパワーでどんどん広まっていきました。これはドット道東がすごかったということではありません。関わってくださった人たちのエネルギーの総和、元気玉みたいなもので、日本一のガイドブックを作ることができたり、全国的にこの本を知っていただけたりということが起こっていったことだったなと思っています。

この「みんなのパワー」も、仮に「道東」という共通言語がなかったら、どうなっていたかなと思うんですよね。「道東」という共通言語を使っていなかった頃、僕は北見にいて、名塚は釧路にいました。名塚との初対面で「僕、道東出身なんですよ」じゃなくて「僕、北見出身なんですよ」って言っていたら、「いま一緒に仕事ができていたかな、何か一緒にやろうと思ったかな」と思います。
たぶん、ここにいる皆さんとも、「道東」という共通言語がなければ、ちょっと違った関係性になっていたんじゃないかなと思うんですよね。
自分たちに「道東」という共通言語がなかったら、そういう仲間意識は芽生えなかったんじゃないかと僕は思います。


共通言語が関係性を育んでいて、そのなかで生まれたものが自分たちの想像を超えてさまざまなことに繋がっていって、自分たち個人の力よりも大きなことができるというのは、1つ、証明できたと思っています。別に「すごい」人じゃなくても、「すごい」組織じゃなくても、「すごい」お金持ちじゃなくてもできるんだということ。
それは、今日こうやって現地やオンラインで集まってくださる方たちが関わってくださったことで感じています。

「道東」という地域

ここからは、「道東」という地域の現状についてです。

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道東はこれだけ広い地域に人口が95万人しかいません。きわめて人口密度が低いですよね。この人口が、20年後の2045年には30%減っちゃうと。めちゃくちゃやばいです。

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また、関連して労働人口や若者の割合もどんどん低くなっていく一方です。
僕はこの先も道東で暮らしたいと思っていますし、今日来てくださっている方の大半は、この先も道東で住んでいきたい、これから住みたい、これからも関わり続けたいと思っている人だと思うんです。
でも、これから人口がどんどん減っていく。いま釧路市の人口は15万人ですが、2045年になったら12万になります。網走市がなくなっちゃうくらいのインパクトなんですよね。このままいけば、今まで95万人で維持してきた経済や自分たちの暮らしが、人口に合わせて目減りしちゃう未来が待ってる。それは嫌だなと思うんですよ。そういう未来にしたくない。
「道東」というとてつもなく広いエリアの中に、町や人が点在していて、なにかに挑戦したり仲間を作る上で、孤立してしまいがち、という課題で、ドット道東は創業しました。

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今が上図の左の状態だとすると、未来に向かっていくにしたがって、一つ一つのまちがどんどん小さくなっていく未来が待っているんですよね。
ドット道東が目指すのは、その一つひとつの街や文化、つまりアイデンティティを壊さずに、そこを結ぶ架け橋を作りたいと考えていて、それが「道東」っていう共通言語であり共通のアイデンティティになれると思っています。

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「道東=こういうもの」ではなくて、それぞれの地域の個性や文化、アイデンティティを残しつつ、ゆるやかに繋がれる、「君も俺も『道東』人だよね、仲間だよね」という感覚ですね。

先程、ガイドブック「.doto vol.1」が日本一になったという話をしましたが、自分事なのに他人事でもあるんですよね。「道東、めっちゃすげえな」みたいな(笑)。北見や釧路っていう単位では、できなかったことじゃないかなと思っています。ドット道東のボードメンバーに共通しているのは、各々の地域で仲間や応援してくれている人はもちろんいるんですが、「単純な人数としてはそういう方は限られるな」という感覚を持っていました。
だから、「『道東』で何かを作りたかった」というよりも、「『道東』という単位でやるしかなかった」っていうのが、意識としてすごく強いんです。

道東って本当に広いので、連帯感が生まれないという課題の原因は、単純に物理的な距離だと思うんですよ。車で1、2時間離れてる場所にいる人たちを仲間って思えるかっていう話だと思ってて。
でも、そこを強引に「仲間」と言っちゃうとか、とにかく会いまくるとか、「あなたも道東ですよね」って言い続けることで、その距離は少しずつ超えていったなと思っています。
そういう風にできていった仲間や自分たちのアイデンティティが、日本一にまで繋がることが実証できたと思ってて、「やっぱり、こういうことを続けていかなきゃいけないよね」と思います。

これは、一発の打ち上げ花火ではなくて。一つのインフラとして、いろんな人が利用できるとか、そこを通して自分の自己実現に繋がるようにしたい。
一人ひとりじゃ心許ないけど「道東」で繋がっていれば、もしかするとこの人口が30%減った未来でも、今より楽しいこと、いい暮らし、明るい未来を築けるんじゃないかと思っています。

道東で「やりたい」という気持ちが叶う、そういう循環を作りたくて、今日、この「DOTO-NET」というコミュニティをリリースします。

ついにリリース!「DOTO-NET」とは

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道東ヤングの「やりたい!」を作るコミュニティ、「DOTO-NET」。
これを一言で言うと、「若者、めっちゃ応援しましょうよ」ということです。
29歳以下の若者=道東ヤング、彼らが主人公として「DOTO-NET」にいて、年長者であったり、あるいは道東の企業や団体、自治体、そういった組織が若者を応援していく仕組みを作ります。

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では、具体的に何をやるのか。

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まずはマッチング。
「DOTO-NET」の会員同士はもちろん、ドット道東が普段お付き合いさせていただいている方々のマッチングを行います。友達作りはもちろん、事業の仲間づくりや道東圏内の情報共有を目的としています。

次に、クラウドファンディングによる資金調達もサービスの一つです。
今日もCAMPFIRE代表の家入さんが来てくださってますけども、ドット道東もクラウドファンディングを利用して自分たちのイベントをやったり、ガイドブックを作ったりといったプロジェクトをやってきているので、ヤングや「DOTO-NET」の会員が何かやりたいと思ったときに、資金調達のお手伝いをいたします。

続いて、ドット道東が主催するイベントへの参加について。
ドット道東は定期的に「リトルドートー」「クラスワークドートー」というイベントをやってるんですが、「道東帰りたいです」「遊びに行ってみたいです」と言ってくださる方々が、すごくたくさんいらっしゃるんですよね。もちろんそこで友達が増えるということもあるのですが、さらにドット道東の事業の一つである求人メディア「#道東ではたらく」の募集に応募してくださる方もいるんですよ。実際に就職が決まって移住してきた方もいます。イベントを定期的に実施して、出会いのきっかけ、若者との出会いのきっかけを作っていきます。

また、道東の人口が65万人になっていくと、単純に自分の手の届く範囲の仲間が減っていきますよね。現状「勤め先に同世代の方がいない」ということを耳にしています。その課題を地域のなかで解消できたらと思っていて、企業同士の壁を越えて同期を作ることや、学び合うことをやっていきたいと思っています。
こういったことを、道東ヤング、29歳以下の若者は全部無料で受けられます。

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このコミュニティの維持費を、年長者である30歳以上のミドルや、道東の企業であるカンパニーに支援していただきたいと思っています。道東ミドルや道東カンパニーで若者を全力で応援する。それを地域のみんなでやっていこうよという旗を振るのがこの「DOTO-NET」であり、ドット道東からの提案です。

この「DOTO-NET」なんですが、ちょっとおもしろい仕掛けがあります。
電子名刺にもなる、オリジナルの会員証を発行しようと思っています。この中にいろんなSNSの情報や自分の連絡先などを入れることができます。
配布に関して諸条件はあるんですけども、道東ヤングは無料で配布されます。

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これ、会員番号の1番とかほしくないですか(笑)。僕はそういうの好きなんで、めっちゃほしいです!このプレーリーカードの番号は、キャンペーンとして年内いっぱいは会員番号が抽選で決まります。なので、29歳までの道東ヤングは、いま入った方が絶対いいです!

他にも道東ヤングと一緒に道東各地を巡るツアー、道東アワードとして今年一番頑張った人が表彰されるなどのイベントも実施予定です。
あとは道東各地にみんなで集まれる拠点があったり、泊まることができる宿があったり。逆に道東の方が進学や就職で札幌や東京に行くようなことがあれば、道東寮みたいなものがあるとか。

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そういう現実的なことから理想まで、応援してくださる企業さんや年長者の方が増えていくにしたがって、どんどん拡充していきたいなと思っています。

「DOTO-NET」で実現する未来

「DOTO-NET」はスモールスタートで、これまで述べたことは、あくまでいまの僕らができること。
なので、これからこの「DOTO-NET」がどんどん育って、みんなにとってのインフラになっていくといいなと思っています。

「若者を応援するための」ということを僕らは強調しているんですが、若者だけのコミュニティということではないです。
ミドル以上の年長者であったり、支える企業の方たちの繋がりも「DOTO-NET」の中で生まれていくんだろうなと思っていて、あの街に行ってみたい、あの人に会ってみたいという動きが生まれるといいなと思っています。

僕自身は2012年にUターンしたんですが、全然年長者の知り合いがいなかったんです。地元に帰っても、年上の知り合いは友だちのお父さんお母さんや先生くらいしかいなかった。
そのときに、今の「DOTO-NET」のようなものがあったらって、僕は強く思うんです。こういうものがあることで、「ショートカット」できることってたくさんあると思います。

僕はUターンしてきたばかりの頃、ひたすら北見で飲みに出かけて、そこで「お前最近帰ってきたのか!」「帰ってきたってことはなんかやりたいのか」って声をかけられたり声をかけたりしながら、街の大人たちに知ってもらうところからスタートしていて。
そこから「釧路に来て!」「帯広に来て!」と北見外に飛び出して、また同じことを続けていきました。その積み重ねが「道東」という共通言語として広がっていったという感覚があるので、 それがすでにある状態から何かに挑戦できるっていうことが「DOTO-NET」の価値の一つだと思います。

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ドット道東のビジョンとしては、「理想を実現できる道東にする」ということを掲げているんですよね。
北見や道東で生まれ育った身として、 もし自分が何も持たない若者だったら「ここから何かができるぞ!」ってお世辞にも思いづらい土地だなって。それは別に誰かが悪いわけじゃなくて、道東がメディアであまり取り上げられなかったり、住んでいる人自身も「まあこの程度だよね」ということをどこかで感じてしまうみたいな地域性があるんじゃないかなと僕は思うんです。それってすごく悲しいじゃないですか。
なんで生まれたところや育ったところでできることややれることを規定されなきゃいけないんだとか、可能性を感じることができないんだとかっていうことを思うんです。
ドット道東がやってきたことっていうのは、「道東でもできるよ」って言い続けることだって思ったんですよね。いろんな人のやりたいことを、応援し続けたことが、ドット道東がやり続けてきたことだなと思ってて。
そういう風に心の底から「道東でもできる」っていうこと思える人がたくさん出てくると、「道東だからできるっしょ!」って思ってくれる若者がどんどん生まれる。そういうことを、ドット道東は夢に見て、この「DOTO-NET」を始めたいなと思っています。
自分たちはこの先もここで暮らしていきたいと思っているから、人口が65万人になっても、そういう明るい未来が待っていることに向けて、この「DOTO-NET」をやっていきたいと思っています。
これに共感してくれて、そういう世界にしたいと思う方は、ぜひこの「DOTO-NET」を応援していただければなと思います。

Photo by Kazuma Saki
Edit 屈橋毬花