REPORT

『#道東ではたらく』報告会レポ 〜 士幌・at LOCAL編 〜

皆さんこんにちは、ドット道東です!

私たちが昨年度よりスタートした求人マッチングサービス「#道東ではたらく」。前回の記事で、私たちがこのプログラムを立ち上げるに至った経緯や、私たちの想いについてお話をしました。

プロジェクト概要

株式会社at LOCAL(士幌町)
代表取締役 堀田悠希
コーディネーター ドット道東 神宮司亜沙美
インターン生 佐藤颯太(北海道大学3年生) 右代朝陽(早稲田大学2年生)
実施期間 2020年11月18日(水)〜2021年4月30日(金)

士幌町の道の駅「ピア21しほろ」を運営している株式会社at LOCALは、兼ねてよりイベント等でドット道東がお付き合いをさせて頂いている企業です。この度、インターン受け入れのお声がけをさせていただいたところ、「ドット道東と一緒なら是非」とご快諾頂きました。

at LOCALさんが運営する士幌町の道の駅「ピア21しほろ」は「外から人を迎え入れるだけではなく、日本一町民に必要とされる道の駅でありたい」という特色のあるビジョンを掲げています。

まず、「このプロジェクトでどんなことに取り組むか」を最初のディスカッションで話し合い、目標を一緒に定めました。

堀田さん 「スタッフの努力もあり設立4年で年間40万人が訪れる道の駅になった。次のステップは、道の駅をきっかけにして、来たお客様に士幌のまちを楽しんでいただくこと。また、士幌町民に道の駅に来てもらえること」

この想いをプロジェクトの芯に設定し、「士幌に道の駅があってよかった」プロジェクトと称し、まだ関わりのない士幌町の事業者とのコラボレーションや、町民が来たくなる仕掛けづくりを通して、「士幌に道の駅があってよかった」と思う町民を増やすことを目標に設定しました。

昨年11月から2名の大学生をインターン生として受け入れ、半年という長い期間のプロジェクトのステップを設定しました。

士幌町のことを良く知るためにアンケートや取材を進めていく(ステップ1)、それから道の駅のスタッフとともに「道の駅としてできることを考え、施策を実行する」(ステップ2)、滞在中に知った士幌町のストーリーを発信し、ファンを増やす(ステップ3)、今回のプロジェクトに関わってくれた全ての人たちと共に周年イベントを開催する(ステップ4)という4段階でプロジェクトを設計しました。

ドット道東のノウハウを地元企業に共有する

また、同時期に士幌町のふるさと納税、商店街のPRをドット道東として請け負うことが決まり、at LOCALのインターン生が「町を知る」という機会として、また、at LOCALの社員が「町を知る」機会として活用。ノウハウを有するドット道東・地元企業のat LOCAL・インターン生が、一緒に取材に行くというスタイルをとりました。

このように、ドット道東が培ってきたPRのノウハウを、現地の企業であるat LOCALと一緒に取り組むことで、「地域の情報が地域に残る」という状況をつくれたことは、私たちにとっても新しい可能性を感じるものでした。

このPRプロジェクトを通して短い期間で商店街約30店舗を1ヶ月半で回り、町の歴史を調べたり、農家さんへのインタビューを経て、町のことを良く知ることができたのではないかと思います。

完成した商店街カードは、これまでになかった「人の顔が見える」カードになり、士幌町の町にもとてもよい変化があったそうです。

at LOCAL 堀田悠希さんより

●インターンシップを受け入れたきっかけ
2017年に移転リニューアルした「道の駅ピア21しほろ」。そのタイミングで民間委託先の公募があり、夫婦で起業をしました。開業して4年目の新米の会社ですが、私たちは一貫して「士幌、または十勝管内の方が足繁く通える道の駅にする」ことを目的に運営を続けてきました。

町の魅力を観光客や町外の方に発信することが「at LOCALのできるまちづくり」だと思ってやってきましたが、一方で私たちや町民自身が町の魅力を知り、理解して楽しむことが「本当のまちづくり」でもあるのではと考えるようになりました。それがat LOCALの次のステップだと思い、インターン生と共に「しほろ商店街見える化プロジェクト」を立ち上げました。

「しほろ商店街見える化プロジェクト」とは、これまで繋がりの薄かった商店街の各店舗さんを取材し、まずは道の駅のスタッフである私たちが商店街の魅力を知り、道の駅で発信していこうというプロジェクトです。

●これからの町にとって必要なことと、自分自身の変化
インターン生と一緒に26店舗を取材して、私ですら足を踏み入れたことのない店舗に入ってみて、次の商品開発のアイデアが浮かんだりもするなか、特に思ったのは「あと何年この商店街の光景は続けられるだろう?」ということでした。

高齢化が進み後継者がいない、第三者継承なども提案されるなか、店主たちは本当にそれを望んでいるだろうか。本当に求めていることは何だろう…。

そんなとき、店主が若者にお店のことを語るときの生き生きとした笑顔や、佐藤くんが町民とお酒を交わして「町民になった気がする」と言っていたことを思い出しました。

今のこの商店街に必要なのは、この町を守り続ける先代と若者たちの「交じり合いの時間」なのでは…?

だとすれば、次に私たちにできることは、今の商店街の歴史を地域の学生に話したり、店主が講師になって教壇で喋ったり、職場実習をする企画を立てたりということなのかな、と。それが、ひとつの大きな気付きになりました。

インターン生が入ってくれたことによって、大学生の彼らが感じる「純粋な視点」をいかに事業へ落とし込むか、彼らの発する言葉を真摯に受け止めることが必要だと感じるようになりました。「もっと全面的に堀田悠希を発信して、興味を持ってくれている人に情報を届けることは大事ですよ!」という言葉をくれて、実際にtwitterを始めたりもしました。みえる化プロジェクトと言いつつ「堀田がみえない化」しているのでSNSも頑張っていきたいと思います。

今までは、社長である私が町の人に迎えられ、応援されていることを肌で感じてきましたが、これからは私だけではなく、スタッフ1人1人が主役となれるような道の駅を目指さなければならないと気づくこともできました。今は、残りの時間で彼らから何を学べるのかで頭がいっぱいです。改めて外部から人を入れて内部を良い意味でかき乱してもらうことは、私たちにとってとても刺激のある時間でした。

インターン生 佐藤颯太さんより

●インターンシップに参加したきっかけ
大学の授業がオンラインになり、家の机の前で過ごすことが多くなって「こんな大学3年生でいいのか」「何かやってみたい」という思いがきっかけでインターンに応募しました。いろいろなところを旅して「地方」というものを漠然と意識するなか、ドット道東の皆さんの働き方や制作物に「羨ましさ」を感じたことも事実です。

at LOCALのインターンを選んだ理由としては、まず「社長の右腕」というワードに惹かれたこと。また『.doto』のような地方のディープな魅力を掘り下げることができる町民広報誌を作ってみたいということもありました。もちろん「日本一町民に必要とされる道の駅でありたい」という理念への共感もありました。

●町への無関心が、過疎化を進めてしまっている
実際に「士幌町のディープ」を掘り下げていると、気づくことがたくさんありました。酪農を営む古田牧場さんを取材したときには「牛乳は牛から出ている」という当たり前のことを実感し、同じく酪農家の山岸牧場さんが経営する佐倉カフェでは「牛乳って温かいんだよ」と教えてもらって、大きく感銘を受けました。

牛乳を飲むだけなら牛乳があればいいけれど、牛乳の裏の文脈やストーリーを知ると、スーパーで買った牛乳が美味しく感じる。それが地方で得られる「豊かさ」なのではないかと気付きました。

また商店街にあるお寿司屋さんでは、別のお店の店主さんたちがお酒を酌み交わしているところに遭遇し、僕にもお酒を振舞ってくれました。商店街の方々は皆とても幸せそうに暮らしているなと感じたし、町への想いや若者への期待もすごく伝わってきました。

●それなのに、士幌町から若い人が出て行ってしまうのは何故だろう。

それは町に無関心であることが原因のひとつなのではないか。そして、この無関心さが町の衰退を加速させてしまうのではないか。

と商店街の店主さんと話していて思ったんです。

そこで「町に関心をもつ」きっかけとして道の駅が機能し、それが結果として「日本一町民に愛される道の駅」になればいいというのが僕の気付きとしてありました。

堀田さんの間近にいて色々なことを学べた自分は幸せで、エネルギーを持つたくさんの方々と出会えただけでもインターンに参加して良かったと思っています。

インターン生 右代朝陽さんより

●インターンシップに参加したきっかけ
もともとは別海町の出身で、高校生のときに90km離れた釧路の高校に進学しました。高校入試で感じた教育格差や、同級生が釧路に肯定感を持っていたなかったことなどから「地方」というものに興味を持っていきました。

北海道を外から見るため、また経済の中心地で経済を「感じる」ために東京の早稲田大学への進学を決めました。しかし、地域から離れることで、地域の実情を肌で感じる機会が減り、地域の実情と自分の学びや思考にギャップが生じているという危機感がありました。コロナ禍ということもあり、また道東で能動的に行動を起こしたいという思いもあり、インターンへの参加を決めました。

インターンの個人的なテーマは、「自分自身のキャリアや成長のことは一旦忘れて、今自分が向き合いたいと思っていることに『今』向き合う」。今向き合いたいと思っていることは言わずもがな「道東のこと」です。

●大学と両立したからこそ得られた気付き
商店街のショップカードやウェブ記事を制作したことで、様々な気付きがありました。実際の制作の流れを学ぶことができたし、取材をするごとに人口5000人規模の商店街の実情や、都会の考えと地域の実情の差などが浮き彫りになっていきました。

そんなとき文化人類学の授業で「tradition」の語源はラテン語の「tradere(渡す、伝える)」に由来すると学んだことを思い出しました。「tradition」の肝心なところは「伝えること」にあり、何をどう伝えるかは今を生きている私たちにかかっている。インターンと大学を両立していたからこそ、考えられたことでした。

●現在取り組んでいることとこれから取り組むこと
現在取り組んでいるもののひとつに「公園創造プロジェクト」があります。子どもにまちづくりへ参画してもらうことで、当事者意識と愛着を育み、10年後、20年後の町の未来を担ってもらうという狙いがあります。

また、このプロジェクトは予算の制約が厳しく、全体を構想して一気に投資をするのではなく、部分を積み重ねることでしか進行できません。しかし、逆にそれが利点でもあり、面白い「部分」をひとつずつ積み重ねることで中身も価値のあるものが生み出せるのではと感じました。

今後、取り組んでいこうとしていることとして、十勝に特化したポップアップストアを東京でできないかと検討しています。東京にいる大学生が働き手となることで、大学生と北海道の能動的関係を構築できるのでは思っています。

このように、道東と自分の間に受け身ではない能動的な関係を構築できたことは自分にとってとても大きなことでした。また、道東で暮らしている人とつながることで、また自分自身も新たな一歩を踏み出せる予感がしています。


株式会社at LOCALでのインターンシップは3月24日をもって終了しました。

現在、道の駅「ピア21しほろ」では、2人のインターン生が町の人を取材した活動の様子が展示されています!!4ヶ月間でどれだけ2人が町の中に溶け込んだのか、よくわかる展示となっており、すでにたくさんの町民が足を運んでくれているそうです。(展示は2021年4月末までを予定)

at LOCALのみなさん、インターン生の颯太、ウッシー、本当にお疲れ様でした!

もう1社の受け入れ先である道東テレビの報告についてはこちら↓↓↓

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