REPORT

『#道東ではたらく』報告会レポ 〜 津別・道東テレビ編 〜

皆さんこんにちは、ドット道東です!

私たちが昨年度よりスタートした求人マッチングサービス「#道東ではたらく」。前回に引き続き、受け入れ先の企業である津別町の道東テレビの報告会と、最後に視聴者も交えた全体ディスカッションの模様をレポートします。

プロジェクト概要

道東テレビ(津別町)代表 立川彰
コーディネーター ドット道東 中西拓郎
インターン生 﨑一馬
実施期間 2020年12月1日(火)から2021年1月31日(日)

道東テレビは、津別町を拠点にインターネットのテレビ局を運営し、道東の情報発信をしています。メディア活動の他にも、コワーキングスペース「JIMBA」の運営やキャンピングカーのレンタルなどのリアルな場も提供しています。

今回は、インターン生と共にどんなことができるのかを代表の立川さんと話し合い「北海道の東側・道東地域の映像ローカルメディアの新番組をつくる!」プロジェクトを立ち上げました。道東テレビで新番組の企画・立ち上げをおこない、情報発信力をさらに高めるということを企業としての目標に定めました。

そして今回、写真や動画制作を仕事にしていこうとしている崎くんが、インターンシップに参加してくれました。会社勤めを辞め道東に移住し、フリーランスとして写真や動画の仕事をつくっていきたい崎くんは、道東テレビさんととても親和性が高い人材だったと思います。

崎くんは既に名古屋から道東に移住をした若者で、一時的にではなく、長期的な視点で自分の学びになることや仕事につながることを求めていました。

そこで、インターンを通じて、今度道東で仕事をしていくためのお客さんを見つけたり、道東でつながりを得ることで、今後どのように道東という地域に貢献していけるのかを考えられるようなプロジェクトを設定しました。

プロジェクトのステップとしては、立川さんの取材に同行し、番組制作のノウハウを直接教わることでインプットをし、経験値を積みながら、新番組の企画・立ち上げまでを考えていました。住環境の都合で新番組の立ち上げには至らなかったのですが、その過程でどんなことをしたのか、どんな学びがあったのか、どんなことを活かしていけそうかを崎くんにお話ししてもらいます。

インターン生 崎一馬さんより

●インターンシップに参加したきっかけ
大阪出身で大学は機械工学科を卒業後、名古屋で就職して新幹線の車両検修設計エンジニアをしていました。しかし、趣味だったカメラを仕事にしたいという思いと、地方への憧れもあり、道東でのチャレンジを決め、昨年(2020年)8月に退社。移住を決めました。

インターンに参加した当初の目的は、「映像を仕事にできるようになりたい」というシンプルなものでした。まずは技術を習得し、企画する力・提案する力を得て、地方への入り込み方を知ること。

立川さん自身も千葉県からの移住者でもあったので学べることが多いと思いました。また、小さな情報を広く発信できて、このコロナ禍でも小回りが効くこと(=取材に出向きやすい)、生配信などの実験的な挑戦がしやすい環境で、なおかつJIMBAというリアルな交流の場を持ち合わせている道東テレビは強いなと感じました。

●35回の取材に同行、今後はパートナーとしても連携予定
昨年12月から道東テレビのインターンに参加して津別町で2ヶ月間生活をしました。実際に、撮影に関する出張には当初の目標をはるかに超えて35回も同行し、映像を1本制作することができました。撮影データを使用して、映像の構成や流れを考え、字幕付けやナレーション撮りまで自分の手を動かせたことは、大きな自信になりましたが、そこで意識の変化もありました。

もともとは、「かっこいい映像を作るぞ!」という気持ちがあってインターンに参加したのですが、撮影はただの通過点に過ぎないんですね。お客様が求めている映像は何か、制作工程全体に意識を向けて、クライアントやその先の顧客の存在まで考えることが重要だと感じました。

自分が今まで趣味として身につけていた写真や、ドローンの技術を作品に活かす場所があると知れたことは、大きな自信になりました。ただ、新番組の企画から制作、新規顧客の創出は最終的にはできずに終わりました。

特に企画提案の段階で数をこなせなかったり、アイデアに自信がなかったりしたことが反省点でした。今後は、ボツを恐れずに口頭ではなくラフスケッチなどの形にして提出をしたり、また、ひとりで悩むのではなくせっかくJIMBAという交流スペースがあるのだから、そこで町民と話して接点を増やすなどして改善していきたいです。

インターン後は、もともといた阿寒町のゲストハウスコケコッコーに戻っています。そこで、自分の身近な環境から情報発信を本格的にスタートさせる予定です。写真展を企画して自分のことを知ってもらったり、JIMBAのような町民との接点になる場所、町民の意見を聞きだせるような環境を作り出したいと考えています。

道東テレビ代表 立川 彰 × インターン生 崎 一馬 × コーディネーター 中西拓郎によるクロストーク

立川
今回、いちばんに痛感したのは住居の問題でした。北海道の冬が初めての崎くんに暮らしてもらう環境を準備することに苦戦しました。住居が足りないのはどうしてなのか?を考える機会になったのですが、公営住宅は町に住民票がないと住めないし、そもそも単身者が暮らせる環境が不足している現状があります。短期滞在だとなおさらです。

さらに言うと、昨年10月には弟子屈町の地域おこし協力隊に元アナウンサーの川上椋輔くんが、自社にも社員が1人増えたタイミングでした。現場はたくさん見せられたと思うのですが、やはり住居のことがあるので、次は空き家を購入して、そういう方が住んでもらえればいいなと思いました。

崎くんは仕事ができるので、今後もお付き合いしていきたいと強く思っています。

中西
住居の問題は難しいところですよね。2ヶ月一緒に動いてみて、具体的にどんなことを崎くんにお願いできそうでしょうか?

立川
「かっこいい映像」って僕は苦手なところなんです。崎くんの発表を聞いて「かっこいい系」を求めていたんだなと思うと、そちらも勉強しないといけないと思いました。自分にはできないセンスを活かしたものを発注できるかなと。

中西
ドット道東でリーチできる層は、もともとの基礎的なスキルが高く、優秀な子たちが来てくれることが多い印象です。ハローワークなどではマッチングしにくい人材だと思います。崎くんのように優秀で想いのある人が来てくれたことで、何か変化はありましたか?

立川
崎くんがこれからやろうとしている「SNSでの発信」のような仕事は今までになかったものだと思います。


「ゲストハウス コケコッコー」のSNSの更新をお手伝いしていたのですが、結構見てくれている人がいて、SNSにはまだまだ力があると感じていました。「SNSを見て来た」という声も頂くなかで、それを活用した何かを始めようという話を立川さんにしていました。

立川
まさしくそういうアイデアを持ってやってくる人がいるということだけでも刺激になる し、仲間が増えたというのは喜ばしいことだと思います。それから、取材に同行してもらったときに、崎くんがいるとみんなが喜んでくれるんです。個人のキャラクターもあると思うのですが、「崎くんが勇気を出して一歩を踏み出した(移住をした)」ことで、それについてみんなが彼に話を聞きたがっていた。地域の人の反応が面白いなと思いました。

中西
崎くんはそれについてどう思いましたか?そもそも初めて北海道に来てどうだったでしょう?


言ってしまえば僕が単に「移住してきた」というワンアクションに過ぎないのに、行く先々で良いリアクションをしてくれるのは、受ける側にとっては大イベントなのかな、と思ったりもしました。逆にそれが良い意味でも、悪い意味でもプレッシャーになりましたね。
ずっと大都会に住んでいた身で、しかも冬の時期というすべてが初めての環境は、普通に暮らしていても当たりまえの小さな気付きが多かったです。それが楽しかったですね。

中西
受け入れるにあたっての準備やできることは何があるでしょうか?

立川
今まで関わりのある人には、給料の対価として働いてもらっていました。「地域の映像を残す」という意味でやりがいはありますが、あくまでも仕事としてやってもらっていた。でも、インターン生には「やりがい」を提供しなければならない。そのやりがいは提供できているのだろうか?受け入れるためには、何が提供できるのか、その価値を自分自身も理解すること。映像制作の技術の習得ができてよかった、というのは果たして本当か。それは今後長期的に見ないとわからないですよね。そこが不安でした。

それに起因して、住環境も、崎くんの人生のためになる空間を提供できているかの答え合わせがまだできない、ということ。これからも課題を見つけて進んでいく、その一歩目にはなったのかなと思いますが…。

(at LOCAL)堀田
私も立川さんと全く同じです。「やりがい」の提供は本当にできているのか?提供するためには自分自身にも余裕がないといけないですよね。当初「社長の右腕」という募集はしていたけれど、私自身が左腕、右腕の使い方がわかっていない未熟な状態だったというのを痛感しました。だからうちの社員を含めて、本当にインターンに参加してよかったか、と思ってもらえているかは常に不安です。

中西
ドット道東に興味を持ってくれている人はある意味「前のめり」な人が前提で、takeの精神…つまり一方的になにかを受け取りたいというマインドの人はあまりいないはずなんです。道東各地で実践している人の近くにいられるということだけで価値だな、その姿勢から学ぶということだけでも意味があると思っていて。それを求めている人たちが来てくれているのだと思っています。

立川
これは面白いテーマかもしれないですね。例えば、僕は今40歳なのですが20代でテレビのADをやっていたり、船橋で起業したてのときは本当に土日もずっと働いていました。でも、それはどうなのかなと最近は思って、なるべく休もうとしている。そのなかでインターン生の受け入れとなると、「家族ぐるみのおつきあい」みたいなものは実は苦手なんです。プロフェッショナル同士、ビジネス軸で仕事を構築していったのが今までの形なので、そうではない領域で家族的に受け入れるのは、できなくもないけど、しにくいというのはありましたね。

中西
距離が近いから難しいですよね。

立川
住む場所の提供となると生活面も関わってくるので、どれくらいのお付き合いをしたら良いのかは悩みましたね。でも、僕も27歳くらいのときにお世話になった人のところに居候していたこともあって、その人たちが何をしてくれたかを思い出すと何をすべきか出てくるのかもしれないです。

中西
強要できるものではないですが、インターン生はそのぐらいの気持ちで来てくれてるんじゃないかなと思います。そういうところを違和感なく、不安なくマッチングできるようにすることが我々の目的だと思います。

堀田
私がすごく感じたのは、私自身はやりがいの提供ができているか不安があるのですが、インターン生の3人は勝手にやりがいを拾うのがうまいと思うんです。右代くんの発表にもあった東京での販売の件は、もともとプロジェクトに入っていなかったのに、右代くんが企画書を書いて、自ら提案してくれました。自分が心配する以上に、やりがいを作ってくれていたと思いました。

中西
受け入れ先としての不安は多くあったと思うのですが、この制度を自発的に活用してどんどんやってくれるのはすごいことですよね。こちらも、それを促進できるようにしていきたいです。

立川
崎くんのようなあらかじめスキルを持っている人であれば、お願いできる仕事もあるので仕事付きのワーケーションという形で、インターンではなく仕事をお任せするのはアリかもしれないですね。

中西
去年のコロナ禍で宿の利用者が減ってしまったときに、クリエイターの方に無料で各地に宿泊してもらい、映像作品などを作ってもらえないかと告知をして、それもすごく反響があったんです。そのような地域の資源を活用して、スキルトレードのような形もアリだと思います。


全体ディスカッション

神宮司
全体をとおして参加者の皆さんから質問やコメントを頂ければと思います。

中西
先ほど「やりがいを提供できていたのか」という、受け入れ先の2社からあった不安に対するアンサーをインターン生からもらえたら嬉しいです。

佐藤
僕も右代くんもやりがいを「与えられる」というよりも「取りに行く」というイメージで来ていたので、そこに対する不満はないですね。


僕も、住環境に関しては個人的には住める環境だったので、そこは大丈夫でしたとお伝えしておきたいです。。やりがいという部分でも、例えば生配信をNHKでやろうとすると、十数人の人員が必要なんだそうです。道東テレビでは、それが3人でできる。そのうちの1人になれたということや、そもそも全く経験のない僕が映像制作をたった2ヶ月で学べたことは、自信になりました。

立川
例えば「こんな珍しい機材を使えます」というのは魅力になりますか?


そうですね。本来であれば絶対触れない機材が動いているところを見るだけでも、いい経験になりました。

神宮司
やりがいの提供という部分で不安に思っていたとおっしゃっていましたが、私はもっとすごい価値を今回受け入れてくださった2社は提供してくださっていると思っていて。堀田さんも立川さんも、地域の人との関係性があるからこそ仕事ができていますよね。それがそもそもの2社の資産で、都市部と違ってその関係性がないとできないことが地方ではたくさんあると思うんです。

スキルがあっても関係性がなくて、活かす場所や機会がないことに悶々としている人も多い。そんな人たちがドット道東が発信する「#道東ではたらく」に反応してくれているんじゃないかなと。

2社に共通して言えるのは、地域の人との関係性を大事にして築いているからこそ、その場所でチャレンジできているということ。その舞台を提供しているということ、それがむしろ一番の提供価値だと私は思いました。その上でどのようなプロジェクトを設計し、より成果が出るようにしていくかはコーディネーターである私たちのミッションですが、その前提がまず第一だと思います。

浜中 裕之さん(NPO法人北海道エンブリッジ 代表理事)
学生のお二人にお聞きしたいのですが、「地域でチャレンジする」という機会は広がっていると思います。ただ、自分の周りにいる他の学生がそれを求めている、関心がある人はいると思いますか?

右代
結構いるんじゃないかな思います。僕の通う早稲田大学でも、地域系のサークルで20〜30団体あるというのが現状で、潜在的な需要はあると思います。ただ期間との兼ね合いで、今回はコロナ禍だったからこそ半年も滞在できた。来年度以降は、短期間のインターンであれば需要があると思います。

佐藤
僕の周りにはほぼいないですね。今後、長期のインターンをしようと思えば、大学生は休学をして来ることになります。そういう意味では、来る前にやりがいを「見える化」するのが大事かなと思います。今回の僕は、動機としては「なんかできそうだな」というくらいのわりと軽いものがあったのですが、休学という選択をさせる以上、どんなことをさせるのかは「見える化」することが必要だなと思います。

浜中
At LOCALさんや道東テレビさんには受け入れ企業として魅力を感じますが、道東には他にも良い企業がたくさんあるという印象です。今後そういうネットワークが増えたら良いなと感じました。

中西
「#道東ではたらく」で届けられる母数は今は多くはないのですが、モチベーションを持ってきてくれる方がとても多いです。。かたや道東で普段から共に仕事をしている企業は、可能性や魅力を秘めていて、質の高いマッチングをしたいと思っています。たくさんの人にリーチして、たくさんの人を取るのではなく、地域や企業にフィットする前のめりな人を、道東のイケてる企業にマッチングすることが僕らの役目だと思っています。そういう意味で、今回は優秀で志を持った3人が来てくれたことは本当に自信になりました。

浜中
今後も続く関係性ができそうですね。

中西
そうですね。願わくば、インターン生には今後も何かしらの形で、受け入れ先や道東と関わっていただければなと思います。単発ではなくそういう関係性をつくっていくことに意味がありますよね。

視聴者
地域の魅力を発見したインターン生の話を聞いて、さらにそこからファンが増えるということもあるんだろうなと思いました。しかし、今後は大学との兼ね合いで、大学がある地域でないとインターンができないとなるとそれは難しいなと思いました。今、浦幌の地域おこし協力隊として働いていて、大学がない町はどういった関わり方や可能性があるのかなと考えていました。

浜中
それは日本全体の課題でもあると思います。大学の単位としてインターンが認められていくのが大事ですよね。例えば、高知大学はこのような取り組みに参加すると12単位、立教大学だと18単位取得できます。

今、新しい大学の創設に携わっているのですが授業の1/3がインターンシップというような授業構成の大学をつくろうとしています。こういった取り組みの意味や意義を伝えていくことで、自治体や大学が受け入れやすい環境を作ることは重要なことかと思います。

神宮司
特にドット道東だとクリエイティブに強いところもあるので、副業人材のような、社会人も含めて壁を溶かしていくような枠組みが展開できるといいなと思いました。各企業で受け入れたインターン生など、道東に入ってきた人同士がゆるく繋がって、お互いの情報を共有したり、モチベーションを上げたりできるとドット道東らしくなると話を聞いていて感じました。

チャットでの質問
今回のエントリーは3名だったのでしょうか?

神宮司
士幌町は4名いて、1名は時期的な問題でマッチングができませんでした。もう1名は、大学1年生の女の子だったのですが、ヒアリングをしていると道の駅よりも農業をやりたいということで、実は堀田さんのご実家の農場に10日間インターンで受け入れてもらいました。数は多くないのですが、機会があれば今回マッチングできなかった1名にもお声がけできればと思っています。数がたくさん来て、その中から選ぶというより、応募してくれた全ての人が道東に関わりたい人だという認識で関係を築いていきたいです。

終わりに 代表 中西拓郎

「道東に関わりたい」と思っている人は潜在的にたくさんいて、関わり方やどこを頼って良いかわからない人が多いと思うんです。かたや、道東には担い手不足や面白い人材を求めている企業はたくさんあってそこを埋めたいと考えています。

今回は、普段から僕たちもお世話になっている、ドット道東とも親和性の高い企業に賛同頂いたのですが、全く関わりのないところと進めていればまた違う苦労があっただろうし、齟齬も生まれただろうと思います。受け入れ先のat LOCALさん、道東テレビさんには改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。

道東へ飛び込んできてくれた3名のインターン生も、僕らが思っていた以上に熱い想いをもっていて、大きな力になってくれたことに驚いています。こいうことをどんどん道東で起こしていきたいので、ぜひ今後ともよろしくお願いします。ありがとうございました。


(※)今回のプログラムは、札幌市のNPO法人エンブリッジが提供する実践型インターンシップの枠組みを活用して実施しました。

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