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【インターン生滞在記】日本で唯一の「水牛大学生」!北大生が新得町で挑戦中!
皆さんこんにちは!!しんとく未来創造プロジェクトインターン生の古市陽太(ふるいちようた)です!普段は札幌市に住み、北海道大学の学生として過ごしています。
今回の記事では、私がこれまで半年間取り組んできたインターンシップの活動で見つけ出した「自分事として取り組む」ということの面白さを、「水牛」にフォーカスしてご紹介しようと思います。

地域活性化に関わりたいとの思いからスタート
私はもともと地域おこしや地域振興にめっちゃ興味があって、今回のインターンシップも「十勝の地域おこしに役立ちたい!」との想いで活動をスタートさせました。受け入れてくださる事業者さんは酪農家の「北広牧場」さんを中心に3つの事業者の方々。最初はこれまで縁もゆかりもなかった「新得町」に向かうところから活動がスタートしました。

酪農の問題意識を自分事に
私たちが普段飲んでいる牛乳。その生産方法を詳しく知る人はあまりいないのではないでしょうか。私自身も、このインターンを始めたときは全く酪農の知識はありませんでした。
6月中旬。インターン活動の第一歩である牧場体験のために新得町に降り立ちました。受け入れ先は、北広牧場の第二牧場として去年スタートしたばかりの「REKA」牧場。体験の中では、北広牧場を経営する若杉さんや太田さんから酪農や牧場についてのお話を聞いたり、業務の体験を行ったりしました。多忙な酪農家の一日を体感する中で、これまで知らなかった牛乳生産の源流の部分を知ることができました。
酪農の仕事は朝が早く、4時から始まります。放牧地から牛を連れてきて、牛乳を搾る。絞り終わったら、エサをあげてまた放牧地に戻す。というのが大まかな流れです。このほかにも、フン掃除や乾乳群(ミルクを絞っていない牛)のお世話など、たくさんの仕事があります。
とにかく大変だけれども、絞ったミルクがやがて加工され、スーパーに出荷され、最終的には食卓に並んで消費者の口まで届くことを考えると、身近な当たり前を作るかけがえのない仕事だな、と感じました。同時に、消費者は酪農の仕事が「成り立って当然」「牛乳の存在」=「自明のもの」として考えていることに課題感を抱くようになりました。もっと、消費者である私たちが酪農のことを知る機会を作れないか。そんな意識を持つようになりました。

謎の黒い生物「水牛」
みなさんは「水牛」と聞いてどんなイメージがあるでしょうか?東南アジアや熱帯のイメージを持つ人が多いかもしれません。私もはじめはそんな感じのイメージでした。
インターン受け入れが決まってから「北海道新得町の牧場に水牛がいる」ということを聞いたとき、私自身すごく驚きました。インターンの募集には水牛のことなど一切書いてなかったからです。
REKAでは今年度から20頭の水牛を飼育し始めています。日本全体で200頭もいないとされる希少な生き物である水牛。北広牧場の若杉さん曰く、「水牛飼育や乳製品作りで新得を盛り上げたい。」そんな想いで水牛を飼い始めたとのことでした。
実際にREKAに足を運び、若杉さんや太田さんから水牛を見せてもらったときに「こいつらめちゃくちゃ面白そう。熱中できそうだ。」そんな思いが私の心のどこかで沸々と湧いていたのを今でも思い出します。そして、若杉さんや太田さんのお話を聞く中で、水牛事業こそが消費者が生産者(酪農家)や生産地(新得町)のことを知るきっかけとなる大きな切り札になると確信しました。
私こそが水牛調査のパイオニアだ。
なんて言いすぎですかね。水牛飼育開始と私のインターン受け入れはほぼ同タイミングでした。水牛と私は北広牧場の「同期」ということになります。(笑)そして私はインターン受け入れが決まって間もなく、「水牛」なる謎の生物の調査役を任せられることになります。
まずは、若杉さんをはじめとする北広牧場さんの方針に従って水牛の系統、生態、地域、歴史、活用法やブランディングなどありとあらゆる情報を網羅的に調査しました。日本語資料が少ないので、時には英語論文を読んだりもしました。
そして、調査を通じて発見したことが1つありました。「水牛って思ったより日本で情報が出まわっていない…?」ということです。現代日本では、水牛に関して体系的にまとめられた情報源がほとんど存在せず、私の知る限りはWikipediaに情報ソースが整理されていたくらいです。
そんな中で、「私こそが現代日本唯一の『水牛有識者』になれるチャンスだ!」なんて思ったのです。未開拓分野の「パイオニア」たる存在になれると思いました。知らないからこそ面白い、誰もやってないからこそ自分事として考えられる。かくして私は水牛の探究活動に熱中していきました。

めちゃくちゃむずい水牛飼育
水牛は、牛とは全然違う生き物です。なので、なかなか理解されていない生態がたくさんあるのです。酪農の現場体験を通じて、机上の調査ではわからなかった飼育課題のリアルが次々と浮かび上がりました。特に繁殖期の長さは頭を悩ませる課題でした。水牛は牛に比べて発情兆候が弱く、人工授精のタイミング把握が難しいのです。ゆえに、水牛の繁殖はハードルが高い状況でした。
また、REKAの水牛にはオスもいるのですが、彼らは牛乳を生産するわけでもなく、エサだけを消費しているという状態でした。こういった場合、普通の牛ならお肉にするのですが、水牛は肉として流通しておらず、こちらもマネタイズが難しい状況でした。
繁殖が難しい。雄の活用法がない。そのほかにも課題は山積していました。
どうする!?水牛パイオニア
「水牛といえば沖縄県が有名だよね。」若杉さんの一言がヒントになりました。「そうだ。すでに水牛を飼っている人に話を聞きに行こう」。こうして水牛の課題解決に向けて沖縄県への調査訪問の計画が始動します。しかし、この沖縄訪問の実現も一筋縄ではいかず、多くの苦労が伴いました。(次回につづく)
